市民のまちづくり活動
| 北九大の学生による中間支援組織「キャンパステーション」の紹介 |
2004/9/15
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●2004年8月20日(金)午後6時30分〜8時30分、北九州市立大学にて、「キャンパステーション」主催による「市民座談会」が開かれた。北九州市立大学の学生さん、市内のNPOの方々、北九州市役所の職員の皆さんなど、33名の方が参加した。
筆者は、北九州市立大学法学部政策科学科助教授の楢原真二さんと知り合いであったことから、講師として招いていただき、「自発的な市民を育てよう」というタイトルのもと、話題提供をして、参加者の皆さんと意見交換をした。
意見交換のなかでは、福岡県出身の筆者が、今回の帰省時調査のテーマとしていた「自治的なコミュニティ組織」に関連して、北九州市が1995年から概ね小学校区単位に整備してきた「市民福祉センター」における、「まちづくり協議会」の話題も出てきた。
●この企画の主催者であった「キャンパステーション(Campustation)」は、北九州市立大学の楢原ゼミの学生が中心となり、2004年7月3日に設立したばかりの中間支援組織である。学生が主体となって活動を行い、市民の社会活動を促進させることを目的としている。
設立のきっかけは、楢原助教授が主導した、北九州市内のNPOを紹介する『北九州NPOハンドブック』(第1版53団体、第2版96団体)の作成に、学生たちが携わったことである。実際にNPOを訪問して取材するなかで、運営基盤の脆弱さゆえに、設立当初のミッションが失われつつある団体が多いことを知ったという。また、市内にどのようなNPOが存在し、どのような活動をしているのかといった質問が、学生を含む市民から多く聞かれたという。そのような経験が、市民活動を促進させる中間支援組織の必要性を感じさせ、全国でも珍しい、学生による中間支援組織「キャンパステーション」の設立につながった。
●現在の活動状況であるが、情報収集・発信として、設立のきっかけにもなった『北九州NPOハンドブック』の第3版の企画・作成を行っている。また、市民活動を活性化させるためのセミナーを、学生、市民、市職員などを対象に開催している。その第1回が、筆者が参加した「市民座談会」であった。
また、学生たちは、市内のNPOとの交流を行ったり、実際に市民活動の現場に出て行って協力したりもしている。環境・福祉・まちづくりの3つをテーマとしており、環境NPOのビオトープネットワーク研究会に協力しての活動(写真左)や、小規模作業所におけるフリースクールの子どもたちと一緒になってのコミュニティカフェ運営(写真中央)、NPO法人や市と協働しての都心部における放置自転車対策(写真右)などを行っている。
●運営は5名の学生スタッフが中心となって担っているほか、楢原助教授ら2名の教員がアドバイザーとなっている。また、多くの市民が、ボランティアやアドバイスをして協力しているという。
財政的には、会費、寄付、セミナーでの会費等が収入であり、交通費、講師謝礼、雑費等が支出となっているという。
また、現在は楢原助教授の研究室を事務所として使っているそうだが、専用の部屋を学内に確保できるよう学生課に働きかけているところだという。
●代表の執行秀一さん(2年生)は、「中間支援組織として北九州市内にある多くのNPOの方々と交流することができ、組織同士のつながりをつくっていくことができます。これからは、北九州市内だけではなく多くの市町村や国との交流を深めていきたいと思っています」とのことであった。
また、事務局の船津美幸さん(4年生)も、「いまは会を運営する人数が少ないので、他大学等に活動の輪を広げていければいいと思っています。また、NPOに関するアンケート調査やNPOの評価をはじめ、セミナーやNPOが交流できる機会を定期的に設け、北九州市の市民活動が活性化するお手伝いができればと考えています」と抱負を語ってくれた。
●筆者が大学生の頃は、NPOという概念もそれほどは知られておらず、ましてNPO法もなかったので、社会に関わる活動と言っても、一般的には大学のサークル活動止まりであった。その点、いまの学生は、NPOというツールを手に入れ、社会に関わる活動がしやすくなったと言える。身近なところでは、芝浦工業大学の学生を中心に結成され、東京ランポスタッフの深田祐子も参加していた「場助っ人(ばすけっと)」も、都市計画系の知識・技能を活かしながら市民活動を支援する、中間支援組織としての活動を行っている。
「キャンパスステーション」の場合、北九州市立大学という自治体が持っている大学であることが、またユニークなところである。自治体への分権が進み、まちづくりの活性化が期待されるなか、「市立大学」の学生がネットワークの核となり、学生、市民、市をつないで、市民のまちづくりを促進する役割を大いに期待したい。今回の「市民座談会」に、「キャンパステーション」の呼びかけで、様々な方々が参集したことは、まさにその第一歩と言えるだろう。
●なお、振り返ってわが身を見ると、東京ランポも中間支援組織の看板を掲げている。だが、中間支援組織としての役割を十分に果たせているだろうか。
最近、筆者は、個人的な仕事で、埼玉県入間市の中間支援組織(名称は「推進市民組織」)の立ち上げのお手伝いをしている。1つの市町村(と言っても、規模は様々であるが)を対象とする中間支援組織であれば、市民とNPOと行政など、それぞれのニーズを把握しながら間をつないでいくような「コーディネーター」としての役割が重要であろう。
また、神奈川県にあるNPO法人アリスセンター(まちづくり情報センターかながわ)のように、県単位を主な対象とする中間支援組織の場合、アリスセンターのメルマガ「らびっとにゅうず」に象徴されるように、域内のNPO同士の「情報ネットワーク」の役割が重要になろう。
転じて、東京ランポのように、特定の地域を対象としない中間支援組織の役割とは何だろうか。筆者自身の仕事を見ると、公募市民会議のような市民参加手法について調査・研究に基づく開発・提案をしたり、自身で改良・開発したワークショップのような市民参加手法を市民や自治体職員向けに研修したり、といったことが大きな比重を占めている。他のスタッフの仕事を見ても、都市計画の制度研究・提案などが中心であり、東京ランポの場合、「調査・提案」や「ノウハウ提供」が、中間支援組織としての仕事であると言えようか。
もっとも、特定の地域を持たない活動は、現場を知らない「机上の空論」や「空中戦」になりやすい。そのような反省もあり、筆者は、今年からは特に、市民参加型の会議や市民運営の施設などに頻繁に足を運んで、現場とできるだけつながるようにしている。東京ランポ全体としては、まだまだ現場から遠いところもあるが、むしろ多くの現場とつながることこそ、中間支援組織の存在意義の要であろう。
若い学生たちの元気な挑戦に接して、そんなことも考えた次第である。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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