まちづくり支援 東京ランポ 東京ランポは、市民主体のまちづくりを支援する非営利団体です。
http://www.la-npo.org/
ホーム | ランポを知る | ランポの活動・主張 | ランポに参加する | ランポに依頼する | そのほか
まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
パートナーシップ市民フォーラムさがみはら始動
2006/4/11


●2006年4月9日(日)午後2〜4時、相模原市のけやき会館2階職員研修所大会議室にて、パートナーシップ市民フォーラムさがみはら設立総会が行われた。筆者は、取材に訪れた。

●平成15(2003)年2月に策定された「さがみはらパートナーシップ推進指針」で、推進のための中心的な組織と位置づけられたのが、市民主体による「(仮称)さがみはらパートナーシップ市民委員会」であった。その市民委員会を立ち上げるための準備会による検討が、平成17(2005)年4月から平成18(2006)年1月にかけて行われた。
 平日夜・土曜夜を中心に15回行われ、公募と依頼による準備会委員34名のうち、各回15名前後が参加した。また、準備会の企画・運営は、参加自由の運営会によって行われ、14回開催された。
 東京ランポは、パートナーシップ推進課の推薦により、準備会で承認を受けて、準備会と運営会のファシリテーター、市民参加の組織に関するアドバイザーとして関わった。
 準備会での検討の結果、市民委員会の正式名称は「パートナーシップ市民フォーラムさがみはら」(以下、市民フォーラム)に決まり、平成18年1月以降は、会員を公募して市民フォーラム設立に向けた準備を行い、この日、設立総会が開かれたのである。

●設立総会は、開会後、来賓として、市長の代理で出席した助役よりあいさつがあり、この3月20日に合併したばかりの新・相模原市(相模原市、津久井町、相模湖町)も、パートナーシップによる市政を継続していくこと、また、市民フォーラムの発足は、相模原市の住民自治にとって記念すべき一歩となることが述べられた。
 次に、準備会委員より経緯説明があった。それは、市民フォーラムの直接的な準備期間であった、過去1年間だけのことではなく、平成13(2001)年、さがみはらパートナーシップ推進指針の策定に向けて設けられた「市民活動促進懇談会」「パートナーシップ型まちづくり推進指針策定懇談会」にまでさかのぼる話であった。いわば「相模原市のパートナーシップの歴史」と言える5年間を、準備会委員が市民としての思いを込めて振り返った。

●続いて、この日の議事である、会則(案)の検討に入った。準備会では、検討の結果を、会のルールである会則(案)と市長との間で結ぶパートナーシップ協定(案)の2つの文書に結実させた。
 そのうち、この日は、設立するうえで不可欠となる会則(案)のみを議事の対象とすることで、会員となる人たちが会則(案)について十分に共有できるようにした。
 会則(案)では、市民フォーラムは、選考や人数制限のない全員公募によるもので、相模原市に在住・在勤・在学・在活動の16歳以上の者で構成され、相模原市長とパートナーシップ協定を結んで活動する、市民の自主的・自立的な組織であるとなっている。
 2年任期であるが、再任可能であり、第1期(平成18・19年度)は、(1)協働事業の仕組みの提案、(2)パートナーシップの基本を定める条例案の提案、(3)さがみはらパートナーシップ推進指針の運用・検証、に取り組む会議体であることになっている。

●準備会委員からの説明の後、質疑応答に移った。一度も途切れることなく、会場から質問や提案が飛び交ったが、特に大きな焦点になったのは次の2点であった。
 まず、活動の内容についてである。準備会が出した結論は、市民フォーラムの第1期の役割は、パートナーシップに基づく行政が行われるための制度をつくることである。それが具体的には、市民団体からの提案などによって行政と協働して行う事業の仕組み、また、それらを包括したパートナーシップのための基本条例づくりである。
 それに対し、会場からは、行政の欠点を取り上げて指摘していくようなオンブズマン的な役割が必要であるとか、市民が問題と思うものを集めて行政にぶつけるのが役割で、そのためには、市民フォーラムとしての合意は必要ではなく、市民から提起されたものをすべてぶつければよいといった意見も聞かれた。
 実は、このような議論は、すでに準備会でも行っていた。行政のあらゆる分野に対応する部会を設けてチェックをしていこう、個々の市民の不満や要望を吸い上げて行政に伝えよう、といった意見は準備会でも出ていた。
 しかし、準備会での結論は、行政の仕事は既存のシステムのなかで行われているものであるから、不満や要望をぶつけたところで対応が変わるものではない。むしろ、システム自体を変えることで行政の仕事の仕方を変えていく必要がある、というものであった。
 複数の準備会委員からは、そのような準備会での議論を踏まえた回答がされた。

●もう1点は、市からの補助金で運営費用を賄うことに関するものである。普通の市民団体は、補助金など受けず、あるいは、必死に提案してようやくわずかな補助金をもらうなどして運営しているのに、なぜ市民フォーラムだけが優遇されて、「特等席」に座ることができるのか。また、補助金をもらうことは行政主導のやり方であり、時代に逆行しているのではないか、むしろ会費を集めて活動すべきである、というものであった。
 これらも、準備会で活発に議論された点であった。優遇されているのではという点については、市民フォーラムは1個の市民団体ではなく、各市民団体とのパイプ役となる場であり、個々の活動ではなく、市民総体の活動をつくるものであり、この場で制度づくりなどの大きなことを行って、個々の活動は各団体が現場で行うものであると、複数の準備会委員が自分なりの表現で口々に回答した。
 また、補助金についても、行政を変えるための活動をするものであり、自分たちの税金を市民のために使うことであること、市民が主体的な運営をすることができれば、お金が市から出ていても問題ないこと、また、補助金を受けるということは、市に対する役割と責任が会員には生じるものであることが、これまた複数の準備会委員から口々に回答された。会費についても、できるだけ多くの人に参加してほしいことから、とりあえず設けない方向にしたという、準備会での議論が説明された。

●活発なやりとりがなされた後、拍手多数によって、会則(案)が原案通りに承認された。
 会場から出された修正提案をめぐって、1つひとつ結論を出すことはせず、議長が意見として引き取る形にしたのは、設立総会という性格上、やむを得ない面もあろう。確かに、1年間かけて出した準備会の結論を変更するには、2時間の設立総会のやりとりだけでは簡単過ぎる。
 まずは、準備会の結論を共有することを設立総会の目的として、様々に出された意見は記録をきちんと残しておいて、今後、少しずつ市民フォーラムを改善していく際の材料にできればよいのだろう。会則(案)を共有するということでは、十分な時間であった。
 最後に、5月21日(日)に予定されている定時総会で検討する予定の、相模原市長とのパートナーシップ協定(案)について、準備会委員より説明が行われた。
 以上で、設立総会のすべてのプログラムが終了し、ここに、「パートナーシップ市民フォーラムさがみはら」が正式に設立された。代わって、この1年間の準備を行ってきた準備会は、任務を終えて解散した。

●準備会に1年間、ファシリテーター兼アドバイザーとして関わってきた筆者としては、設立総会のやりとりを見て、自分の役割も十分に果たせたのだなと実感できた。
 先に見たように、会則(案)をめぐるやりとりで、会場から出された質問や提案の内容は、すべて準備会で検討済みのものであった。もし準備会の議論が内容の薄いものであったなら、会場から出されたような鋭い質問・提案に答える材料を持ち合わせなかったであろう。たった一人の疑問であってもゆるがせにせず、準備会で丁寧に取り上げて1つひとつ答えを出してきたことが、決してムダではなかったことが確かめられた。
 しかも、その準備会の結果を、準備会の各委員がしっかりと理解して、自分なりの言葉に直して説明していたのを聞いて、さらにその思いを強くした。また、司会、議長、説明者、回答者、受付、資料配付、マイク、撮影など、様々な役割を分担してこなし、充実した設立総会に仕上げたチームワークも見事であった。
 準備会委員の1人が言っていた、筆者や行政の担当者が準備会に出なくなったことで、「これから自分たちでやらなくてはならないんだ、と結束が強まった」という話は、筆者の役目が無事に終わったことが感じられて、とても嬉しかった。
 準備会委員たちが、1年間の共同作業の成果を自分たちのものにして、こんどは市民フォーラムの分厚い土台となっていく姿が、この日はっきりと見てとれた。

●実は、設立総会の成功には、裏話がある。
 準備会の議論のなかで、市民フォーラムの内容を誤解して入会する人もいるかもしれないので、事前に説明会を行うことが決められて、3月19日(日)に事前説明会が開催された(筆者は出席していない)。
 そこで、予想を上回る80名程度の出席者があったのはよかったものの、様々な質問・意見が出され、準備会委員たちの表現を借りると「紛糾」したという。会場も説明者と応募者が向き合う教室型で、説明・回答に立った準備会委員も改まってネクタイなど締めてきたものだから、「役所が裏で糸を引いているのでは」という疑念を持たれたようであったという。ともかく、説明会の内容は、準備会委員に先行きへの不安を抱かせるものであった。
 説明会の終了後、準備会委員たちは会場に残って、ヒートアップしている気持ちのまま、率直に意見交換をした。そこで、当初は設立総会の1回で、会則(案)、パートナーシップ協定(案)、事業計画(案)、予算(案)、役員(案)を決めるとしていた予定を見直した。最初だからこそ丁寧にやろうということで、設立総会では会則(案)のみを議事の対象とし、まずは設立した後、運営会(市民フォーラムの進め方などを話し合う、参加自由の運営組織)でその他の案件を検討して、5月に開く定時総会で決定しようということになった。
 会場も、机を取っ払い、扇形にすることで、参加者同士の顔が見えやすいようにし、質問・提案への受け答えも、参加者に混じって座った複数の準備会委員が、自分の席で思い思いに発言するスタイルとした。経緯や会則(案)の説明も、事前説明会で出された質問・意見を踏まえて、話にアクセントがつけられていたように感じた。
 野球に例えると、チーム内での練習はばっちりのつもりで試合に臨んだら、初戦にボロ負けしてしまった。そこで、ミーティングを行い、一発頼みの野球から、確実に打って走ってつなぐ野球に変えたところ、勝利を得たというところだろうか。事前説明会で、応募者の反応を確かめ、運営の方法を反省できたことが、設立総会で活きたことは間違いない。

●そのように順調な船出を切った市民フォーラムであるが、もちろんこれからが本番である。元準備会委員が基盤になりつつ、それを市民フォーラムの会員全体に広げて、活動を軌道に乗せていかなくてはならない。この日、真剣な議論を交わした後、参加者みんなで会場をあっという間に片付けてしまったのは、小さなことではあるが、仲間になるための一歩であるのを感じた。
 制度づくりという、決して簡単ではない課題に、2年という期限を設けて取り組むには、運営会でのスケジュールの立案と進捗管理がポイントになってくる。これは、筆者のようなファシリテーターを生業とする者が、最も重要視している点の1つである。しかも、応募の意思表示や説明会への参加などのあった人が105名、うち設立総会の出席者が66名、途中加入も可能であり、いずれにせよ決して少ない人数ではない。大人数での会議の運営の仕方にも工夫が求められる。
 また、設立総会でも会場から寄せられたように、市民フォーラムが「特権団体」のような誤解を受ける可能性は常にある。この3月で解散した志木市民委員会も、そのような印象を市民の間で持たれてしまったことが、2期4年で終える原因の1つとなった。広く市民、特に市民団体や地域団体で活動する市民に、市民フォーラムの存在意義を知ってもらい、できれば会員になってもらえるとよい。
 市民フォーラムには、多様な市民が集まったようである。準備会委員だけでも、動物愛護、福祉、少年野球、市民オンブズマン、教育、市民活動サポートセンターの受託団体、農業、建築家、市民桜まつり実行委員会、青年会議所、企業、大学など多様であったが、それに加えて、様々な活動をする市民が集まっている。そのような、各自の現場の活動経験を活かし合いながら、制度づくりを進めて行けるのが理想である。
 船出した市民フォーラムがどのような航海を行うのか、ときどきの航路や寄港地での動きに、今後も注目していきたい。

 準備会検討項目一覧 (2006年3月31日 業務完了届資料)
 運営会検討項目一覧 (2006年3月31日 業務完了届資料)
 ファシリテーター&アドバイザーレポート (2006年3月31日 業務完了届資料)
 パートナーシップ市民フォーラムさがみはら準備会ホームページ 会議録や配付資料が見られます。

『季刊まちぽっと7号』(2006年2月発刊)の「特集 ワークショップの設計法」で「さがみはらパートナーシップ市民委員会準備会」のプロセスを解説しています。合わせてご覧ください。

「旭児童公園ワークショップでネイチャーゲーム実施」ワークショップを庁内に広げていく方法−相模原市の場合「[解説]市民会議と自治体が結ぶパートナーシップ協定」もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

[ ページの先頭に戻る | ホームに戻る ] ( 更新)
まちづくり支援・東京ランポ copyright(C) Tokyo LA-NPO 2003 All Rights Reserved.
当サイトに掲載された記事・写真・図表等の無断転載を禁止します。詳しくは「このサイトについて」をご覧ください。