市民参加・協働のまちづくり
| [解説]「参加」と「協働」はどう違うのか? |
2006/4/4
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●全国の自治体において、「市民参加」「市民協働」「市民自治」といった言葉が広く使われるようになっている。それぞれの言葉は異なる意味を持っているはずであるが、現実には首長や担当課の「印象」「好み」などで、その意味を区別しないまま、どの言葉を使うかが決められているのではないだろうか。
スローガンとして用いる場合はそれでよいが、条例として「市民参加条例」や「協働条例」、はたまた「市民参加と協働の一体型条例」をつくるとなると、「参加」や「協働」という言葉の守備範囲がどこまでかということについては、デリケートにならざるを得ない。
●現在、筆者がアドバイザーとして関わっている「四街道市市民参加条例市民委員会」でも、「参加とは」「協働とは」という議論が行われている最中である。
四街道市の場合、「市民参加と協働の一体型条例」として条例を整備するというのが、もともとの市長の意向である。また、公募を中心とする市民委員(19名)の多くも、市民活動や地域活動の経験が豊富であるため、行政活動への「参加」手続きにとどまらず、市民活動と行政との「協働」についてもルール化したいとの思いを持っている。
●ただ、委員によって、「参加」「協働」の意味するところが異なっており、それが明確に確認されてこなかったため、ある人が「参加」と「協働」を意識的に使い分けて話すと、他の人は「参加の方が意味が広く協働はそこに含まれる」と言ってみたり、また別の人は「協働に取り組めば参加はクリアできていると言える」と逆のことを述べたりする。
2006年3月29日(水)に行われた第7回市民委員会では、何人かの委員から「参加」と「協働」の違いが述べられたが、典型的な意見は下記のようなものであった。
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参加
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協働
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A
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市民が個人で行うもの。
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市民が団体を通して行うもの。
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B
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行政が呼びかけて行うもの。
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市民が提案して行うもの。
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C
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Plan段階で行うもの。
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Do-See段階で行うもの。
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D
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行政が決めたことを行うもの。
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企画段階から市民が行うもの。
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●いずれも、市民の感覚からすると「なるほど」と言うものばかりで、興味深い。もともと、「参加」も「協働」も造語だと考えれば、それぞれの自治体できちんと定義しさえすれば、どのような意味でも構わないと言える。
ただ、いくつもの自治体の条例や学者の論文などが言葉の定義を積み重ねるうちに、自ずとスタンダードな用法はできてきていると言える。もっとも、「これこそが!」と言えるものがまだ確立されていないために、条例づくりの現場では「参加」「協働」の言葉をめぐって格闘することになる。
特に、B〜Dに表れているように、「参加」に対して否定的なニュアンスを込め、それを克服して「協働」に向かうというような「発展段階説」で捉えられることが、市民や自治体職員の間ではしばしば見られる。
●簡単な打開の手段は、学識経験者の委員が「こうだ」とレクチャーしてしまい、市民の委員に「そういうものか」と思わせることであろう。ただ、四街道市の場合、アドバイザーである筆者は、委員の主体的な議論を重視して、少し引き気味に関わってきたため、これまで「こうだ」というものを強く述べてこなかった。
しかし、条例づくりにも制限時間があることであり、これまでの委員の意見を踏まえながら、「参加」「協働」の意味を整理して、全体で確認できるようにしなくてはならない段階に来ている。そこで、後述するようなものを、筆者なりに整理してみた。
●筆者の整理を説明する前に、委員から示された4つの典型的な意見について、スタンダードなものと比べて、どのへんが不十分なのかを見ておきたい。
まず、Aの「個人か団体か」という区別は、日本NPOセンターの山岡義典氏などにも見られるものである。山岡氏が策定に関わった「狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例」は、参加=個人によるもの、協働=団体によるもの、という区別になっている。 実際の条例では、協働について、団体の登録制度、団体を対象とした委託や補助金の制度などが規定されるため、協働=団体によるもの、でも問題がないことが多い。
ただ、仮に個人事業者の優れたノウハウを活用するとなったとき、対象を団体に限定していると対応できないことも考えられる。「市民との協働」という言葉が広まっていることもあり、「個人か団体か」という区別は、すでに受け入れられにくい面がある。
●次に、Bの「市民が提案できるか」であるが、これは、「和光市市民参加条例」「宗像市市民参画、協働及びコミュニティ活動の推進に関する条例」などで、市民が連署によって政策提案できる手続き(市民政策提案手続)が、行政活動への「参加」の手続きとして定められたことで、当てはまらなくなっている。
また、Cの「Plan段階かDo-See段階か」については、確かに、事業の実施を行う場面で、市民活動と行政が「協働」することは多い。しかし、成人式などイベントの実行委員会、リサイクルなどの推進委員などは、Do段階ではあるが、行政が行う事業に市民が「参加」するものである。また、Seeの段階は、行政評価委員会などのように、むしろ行政設置の会議に「参加」する場合が一般的であろう。
●最後に、Dの「企画段階から行えるか」は、条例づくりや計画づくりを行政が設置した会議に白紙委任するケースも出てきているので、これも当てはまらない。
もっとも、『新説市民参加 その理論と実際』(佐藤徹、高橋秀行、増原直樹、森賢三)のように、公募市民を中心に構成され、白紙委任するような会議については、審議会等への公募委員のような「行政主導の市民参加」と区別して、「協働」と位置付ける考え方もある(市民参加のエレベータ・モデル、同書25ページ)。有名なアーンスタインの「市民参加のはしご」の系譜に属し、参加の質的な面に着目して、レベル分けする考え方である。
一方で、同モデルは、「協働」のなかに、NPOと自治体などの組織間関係によるものなど、山岡氏の協働=団体によるもの、という系譜のものも含めており、折衷的に様々なものを取り込んでしまっている印象も受ける。
●さて、前置きが長くなったが、筆者の考える「参加」と「協働」の用法を説明したい。
ただ、いきなり他人から講釈を受けるよりも、まずは自分で考えてみた方が知識の定着率は高いと思われるので、読者の皆さんには、次のクイズにチャレンジしていただきたい。
Q. 次の7つの用語の関係図を描き、「参加」と「協働」について説明してください。
「市民」「NPO」「行政」「議会」「自治体」「コミュニティ」「企業」
解答例はこちら
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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