市民参加・協働のまちづくり
| [解説]市民会議と自治体が結ぶパートナーシップ協定 |
2005/9/24
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●2005年度、相模原市では、「さがみはらパートナーシップ推進指針」に基づく、指針の迅速かつ的確な運用、指針に基づく取り組みの検証、施策やルールの見直しなどを行うための中心的な組織である「さがみはらパートナーシップ市民委員会」を市民主体で設置するため、準備会(30数名の公募市民が参加)で検討を行っている。
東京ランポは、会議の進行や企画協力を行うファシリテーター、学習会講師など市民が主体となる会議に関する情報を提供するアドバイザーとして関わっており、筆者が担当している。
●これまで、2005年4月23日(土)の第1回準備会から9月20日(火)の第9回準備会まで行われ、市民が主体的に設置して市とパートナーシップ協定を結んで活動すること、協働事業の仕組みの提案やパートナーシップの基本を定める条例案の提案などを当面2年間で行うこと、定員なし選考なしの16歳以上の在住・在勤・在学・在活動の公募市民によって構成すること、などの中間的な決定をしてきた。
中間決定に基づき、今後、パートナーシップ協定の案を作成する必要があるため、第9回準備会では、「パートナーシップ協定」の先行例を読みながら、どのような内容が盛り込まれているのかを学習する機会を持った。そのとき、筆者が説明した内容を、せっかくなので、以下でご紹介したい。
●当日使用した資料を下記に掲載しているので、ご覧いただきながら、以下の説明をお読みいただきたい。
パートナーシップ協定について
パートナーシップ協定の比較表
また、先行例としてとり上げた「パートナーシップ協定」ならびに「会則」「基本ルール」の文については、それぞれのホームページをご参照いただきたい。
みたか市民プラン21会議(総合計画づくり)
会則 http://www.mitaka21.city.mitaka.tokyo.jp/pln/kask010.htm
ルール http://www.mitaka21.city.mitaka.tokyo.jp/pln/rule010.htm
協定 http://www.mitaka21.city.mitaka.tokyo.jp/pln/pnsp010.htm
多摩市市民自治基本条例をつくる会(自治基本条例づくり)
会則・ルール・協定
http://www.city.tama.tokyo.jp/machi/keikaku/jichi_j/04kaisoku.pdf
豊島区自治基本条例区民会議(自治基本条例づくり)
協定・会則(ルール含む)
http://www.city.toshima.tokyo.jp/jiti/kaigi_4.html
日向市まちづくり100人委員会(常設型の提言活動)
会則 http://www.city.hyuga.miyazaki.jp/100com/member/
ルール http://www.city.hyuga.miyazaki.jp/100com/rule/
協定 http://www.city.hyuga.miyazaki.jp/100com/paatona/
相模原市都市内分権のモデル協定(地区コミュニティ会議の活動)
協定 http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/profile/survpage/kyoudou/kyoudoutop/data1_2.pdf
さらに、パートナーシップ協定ではなく、要綱によって市長が設置して委員委嘱するタイプとして、志木市民委員会の「要綱」「規約」「ルール」も比較に用いた。
志木市民委員会(常設型の提言活動)
設置要綱 http://www.shiminiinkai.jp/yokokiyaku/setchi.htm
運営要綱 http://www.shiminiinkai.jp/yokokiyaku/unei.htm
規約 http://www.shiminiinkai.jp/yokokiyaku/kiyaku.htm
ルール http://www.shiminiinkai.jp/yokokiyaku/rule.htm
●さがみはらパートナーシップ市民委員会のような、公募市民を中心とする「市民会議」であるが、行政が設置する場合は、首長による委員委嘱の形をとるのが一般的である。しかし、市民が設置して自主・自立的に運営する場合は、市民会議と自治体とは法人(団体)として対等の関係となる。そこで、一種の契約であるパートナーシップ協定を結ぶことが増えている。
その最初の事例は、1999年10月、三鷹市の基本構想を見直し、第3次基本計画策定に向けた提言を行う組織である「みたか市民プラン21会議」(公募市民375名)と三鷹市が締結したものである。その後、全国各地でパートナーシップ協定が採用されている。
●では、パートナーシップ協定には、どのようなことが書かれるのか。最古典とも言える「みたか市民プラン21会議」(以下、市民21会議)のものをベースに、他の事例と比較しながら見ていきたい。
●まず、正式名称として「みたか市民プラン21作成に関するパートナーシップ協定」とある。続く前文からわかるのは、市民21会議の役割が「基本構想・基本計画の市民プラン作成」であること、締結主体が「市民21会議と市(法人)」であることである。
会議の役割としては、多摩市、豊島区の事例は「自治基本条例案の作成」、日向市の事例は常設で「提言作成、市が提起する課題への回答」を行うこと、相模原市都市内分権のモデル協定は「地区の課題解決や魅力づくり」である。
締結主体は、多摩市、豊島区、日向市は、会議と市・区というように、法人同士が締結する形となっているが、相模原市のモデル協定だけは、法人としての市の代表機関である市長が締結相手となっている。パートナーシップという対等な関係を約す協定なのだから、本来は法人(団体)同士で結ぶのが適当であろう。
●次に、「協定の目的」、「協働(パートナーシップ)の原則」といったものが、どの協定の場合にも出てくる。
「協定の目的」は、三鷹市では、「会議と市の関係、役割分担、相互協力の内容などを定める」ことになっており、他の事例もほぼ同様の内容である。
「協働(パートナーシップ)の原則」は、三鷹市では、「1.対等な立場に立った議論、意見交換」「2.それぞれの自主性の尊重」「3.進捗状況の相互連絡、互いに協力」であり、多摩市、豊島区、日向市もこの3つを採用している。相模原市都市内分権のモデル協定だけは、「1.自立」「2.対等」「3.相互理解」「4.役割合意」「5.目標共有」「6.公開」「7.説明責任」となっているが、これは「さがみはらパートナーシップ推進指針」に掲げられた「パートナーシップの原則」と同じである。自治体としての「原則」が明文化されている場合、市民会議との間でそれを共有できるのが望ましい。
●さて、続く締結主体それぞれの「役割と責務」こそが、パートナーシップ協定の要である。それぞれの主体が、何を行うのかを約束する部分である。
まず、「会議の役割と責務」であるが、三鷹市の市民21会議では、8つのことが出てくる。
会議の《目的》にあたるものとして、「1.自立的な組織として市民プランを作成」「6.計画素案(市民プランを受けて市が作成)への意見表明」の2つがある。条例案づくりを目的とする多摩市の事例でも同様の2つ(案の作成、行政案への意見表明)があり、豊島区の事例でも前者の1つ(案の作成)がある。常設型である日向市の事例では、「2.提言作成にあたっての積極的な論議・行動」「3.市から提起される課題等に積極的な論議・回答」が目的となる。コミュニティ会議のための相模原市のモデル協定では、「1.自主的な課題解決や魅力づくりを行う」が目的である。
それらの目的に取り組む《手段》として、三鷹市の事例では、各種フォーラム、ワークショップ、アンケート、学習会など開催して「2.市民の意見・要望を幅広く集める」とあり、「3.市民相互(既存団体等と)の意見調整に努める」ともある。この点も、多摩市、日向市、相模原市都市内分権では同様の2つがあり、豊島区でも前者の1つが見られる。
手段よりさらに基本的な《姿勢》を表すものとして、三鷹市の事例では、「4.情報の公開と提供」「5.プライバシー(個人情報)の保護」がある。これも、多摩市、日向市では同様の2つがあり、豊島区でも前者の1つがある。相模原市都市内分権では2つに加えて、「7.特定個人・団体の利益となる活動、政治・宗教活動は行わない」も入っている。
補助金などの形で、自治体から資金協力を得ている場合、《お金の使途》を明確にする必要がある。三鷹市の市民21会議は、市から年間約640万円の補助金(2000年度)を得ていたため、「7.費用の使途の明確化」が入っている。多摩市や相模原市都市内分権にも、同様の項目がある。
あと、計画案や条例案の策定のような単一の目的を持ち、時限的に設置される会議の場合、提出の《期限》を定める項目がある。三鷹市の事例では、「8.2000年10月末に市に提言」とある。条例案づくりである多摩市や豊島区の事例でも、同様の項目がある。
三鷹市の事例にないもので、他にあるものとしては、《職員組織との協力》を定めた、多摩市の「4.職員プロジェクトチームとの十分な情報交換」がある。また、相模原市都市内分権のモデル協定では、《メンバー構成》に関して、「2.幅広い参加、より多くのメンバー、メンバーは対等、参加希望を拒まない」が見られる。
●一方、「市(市長)・区の役割と責務」であるが、三鷹市の市民21会議では、やはり8つのことが出てくる。
《成果物の取扱い》として、「6.市民プランを最大限反映」「7.計画素案(市民プランを受けて市が作成)を提示・意見調整」というように、「会議の役割と責務」の1番と6番に対応するものがある。多摩市、豊島区などは、別に「成果物の取扱い」を定めた節に含まれるものもあるが、日向市、相模原市都市内分権とともに、「案の尊重・反映」「行政案の提示・意見調整」「反映状況の説明責任」などが見られる。また、常設型の日向市、相模原市都市内分権では、「課題を随時提起し、会議に意見を求める」ことも含まれている。これらの項目こそ、市民による自主的な会議が自治体の意思形成に影響を及ぼすことを担保する、パートナーシップ協定で最重要の項目と言える。
具体的な《協力の内容》として、三鷹市は、「1.情報の収集・提供・公開」「2.市の各セクションとの連絡・意見調整」「3.活動場所の提供」「4.専門家の派遣や調査活動の支援」「5.市民相互の意見調整の支援」を約束している。豊島区で2番と5番、日向市と相模原市都市内分権で5番に該当するものがない以外は、多摩市を含め同様の項目がある。豊島区には、「2.情報の提供、職員プロジェクトチームによる調査・研究と資料提供」と職員プロジェクトチームに言及したものや、「5.広報・情報公開に関して媒体の提供を通じた協力」という独自のものも見られる。また、日向市では、「1.市民への委員会に関する啓発」が含まれている。
《お金の協力》については、三鷹市は、「8.運営に必要な経費(会議開催、調査、講師など人材派遣、事務局人件費)を負担」としている。担当課の予算で処理した豊島区を除くと、多摩市、日向市、相模原市都市内分権でも同様の項目が見られる。但し、市民が事務局を担った三鷹市の事例でのみ、事務局人件費が明記されている。
三鷹市の事例にないもので、他にあるものとしては、多摩市の「6.職員の参加の保障」というのがある。
●このほかに、「相互の連絡調整」として、会議と自治体の間で連絡調整の会議を持つことが、いずれの会議の場合も規定されている。「協定の有効期限」については、計画案や条例案の策定のような単一目的を持ち、時限的に設けられた三鷹市、多摩市、豊島区の事例では見られる。「案の作成後・提言後」にも、市民(会議)が協力し、市も状況を報告(広報)するといった規定が、三鷹市と日向市の事例で見られる。「その他」として、協定に定めていない事項は、会議と自治体の合意で追加できることも、全ての会議で規定されている。
●上記のような取り決めを行うのがパートナーシップ協定であるが、首長が要綱等によって委員委嘱する場合でも、同様のことを定めるのは可能である。常設で市への提言活動や市が提起する課題への回答を行っている志木市民委員会の「設置要綱」を見ると、例えば、「第7条 市は、委員会の運営に関する経費を、予算の範囲内で助成する。」「第8条 市長は、委員会の意見を市政に反映するよう努めるものとする。」などが見られる。
但し、「運営要綱」には、「第2条 市民委員会は、次の事項を行います。」として、「(1)市政全般にわたる、調査、研究及び政策提言、並びに政策提言に関わる財源調整」など5つの活動内容が書かれているが、パートナーシップ協定であれば、「会議の役割と責務」のなかで、会議自らが「これをやります!」と宣言するスタイルにできることは大きな違いであろう。要綱の場合だと、首長から「これをやりなさい」とお達しを受ける形になってしまうのである。
●なお、パートナーシップ協定は、市民会議と自治体の間での約束事として結ぶものであるが、みたか市民プラン21会議以来、他に会議内部の取り決めとして、「会則」と「基本ルール」も定め、3点セットを備えるのが一般的となっている(3点セットは、みたか市民プラン21会議の「発明」と言ってもよい)。会則、基本ルールについては、ここでは詳しくは触れないが、次のようなことが定められている。
会則 ◇メンバー構成(人数・選考方法、メンバー種別、参加資格など)
◇組織・体制(代表、運営委員会、事務局、全体会、分科会など)
基本ルール ◆原則・ルール(時間の厳守、自由な発言、徹底した議論、合意の形成など)
◆発言の公平性 ◆意見集約方法 ◆会議の公開
なお、さがみはらパートナーシップ市民委員会準備会では、5つの論点を立てて検討しているが、それぞれの論点との対応で見ると、次のようになる。
会則 …論点2「機能・役割」、論点3「メンバー構成」、論点4「組織・体制」
基本ルール …論点5「運営方法」
パートナーシップ協定…論点1「権限・位置づけ」、論点2「機能・役割」、論点5「運営方法」
●さがみはらパートナーシップ市民委員会準備会でも、検討の最終決定はこの3点セットの形で行うのがよいのではという話が出ている。今回、比較対照した会議を見ると、会則、基本ルール、パートナーシップ協定のいずれも、元祖のみたか市民プラン21会議のものに、若干手を加えた程度のものであると言ってよい。
相模原市の場合も、先行例の優れたところは使うとして、準備会での議論を反映した独自性のある項目も盛り込むのが望ましい。例えば、市民委員会の委員として継続的に活動するのは困難であるが、自分の専門性を発揮できるテーマに取り組むときには「市民有識者」として協力する「人材ネットワーク」のアイデアや、16歳未満の子どもについては、夜間の会議開催など参加のしづらさもあることから委員にはなれないが、別に「ジュニア市民委員会」のようなワークショップなどの場を設けて意見を反映するといったアイデアも出ているが、これらは独自色のある内容であろう。
準備会の皆さんの思いが反映されるようなパートナーシップ協定(セットとしての会則、基本ルール)ができるように、筆者としても、最後まで気を抜かずにお手伝いしていきたい。
さがみはらパートナーシップ市民委員会準備会ホームページ
※ 「[書評]市民会議と地域創造」、「パートナーシップ市民フォーラムさがみはら始動」もご覧ください。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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