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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
豊島区の自治基本条例づくり、区民会議案まとまる
2005/4/26


●平成16年度の年度末となる2005年3月31日、前年5月に発足し、区とのパートナーシップ協定に基づいて検討を行ってきた、豊島区自治基本条例区民会議が、区民会議案を区長に提出した。平成17年度、豊島区は、パートナーシップ協定に則り、区民会議案を最大限尊重する形で、区議会に提出する条例案を策定することになる。
 筆者は、最後の2回となった、第21回(3月17日)と第22回(3月31日)を傍聴した。

●前回レポートした第17回の後、区民会議は、それまでの検討をまとめた「中間まとめ」をもとに、1月29日(土)に区民フォーラムを行っている。また、フォーラム以前から開催していた出前説明会も継続し、「NPO推進協議会」「基本構想・基本計画ワークショップOB会」「区政モニター会議」向けに開催している。さらに、区議会との意見交換会も行っている。
 2月1日(火)の第18回では、それらの区民フォーラム、出前説明会の反省会のほかに、区民会議と並行して自治基本条例づくりを進めてきた、職員プロジェクトチーム(職員PT)との意見交換会を行っている。職員PTは、区民会議と別個の条例案をつくるのではなく、区民会議が検討している内容の条例ができたら、区の仕事がどのように変わるかをシミュレーションした物語をつくり、区民会議に報告している。
 また、最終案のつくり方として、起草委員会を設けることが決められた。「中間まとめ」をもとに起草委員会が作成した原案を全体で検討し、さらに起草委員会が修正したものを再度全体で検討して確定する手順となった。

●2月17日(木)の第19回では、「前文・総則」の原案を検討している。特に、前文において、自治基本条例を「豊島区の憲法ともいうべき」と表現することについて、活発に議論が行われた。日本国憲法の印象と重なって、改正してはならないものとの印象を与えないか、という懸念が示されたためである。賛否が半々であったため、決定は第20回に持ち越されたが、最終的には、区長が所信表明で同様の表現を使ったこともあり、「豊島区の自治の憲法ともいうべきこの条例を制定します」という表現を採用することとなった。
 3月1日(火)の第20回では、「参加・協働」と「議会・行政運営」の原案を検討している。原案になかったことで、職員が安心して働けるように、「職員の生活権保障」について盛り込んではどうか、との新たな提起がなされたが、民間に比べればすでに保障されているといった反論があり、入れないことに決まった。一方、同様に原案になかったことで、議会での議論の活発化と能力向上のために、「議員の研鑽」を求めることについては、盛り込むことになった。また、「参加」と「参画」のどちらの用語を使うか、というよくある議論では、決定的な理由は示されなかったが、「参加」の方が範囲が広そうだ、すでに市民語として定着している、などから「参加」に決まった。
 3月17日(木)の第21回では、「区民の定義、権利・責務」と「コミュニティ」の原案を検討している。コミュニティの定義について、組織・集団が生まれる基盤となる基層的なものとする一方で、自主的・自発的な意思に基づいて形成される人と人のつながりでもあるとしているのは、矛盾があるということで議論になった。この議論はだいぶ長引いたため、筆者は最後まで傍聴できなかったのであるが、最終的な区民会議案を見ると、コミュニティは「地域における多様な人と人とのつながり」(1階部分)、地域における活動や組織・集団は「コミュニティを基盤として形成される」(2階部分)と整理されたようである。

●このような議論を受けて、3月21日(祝)の午前9時から午後9時まで、起草委員会が缶詰めになって最終案をまとめた。
 そして、3月31日(木)の第22回で、区民会議案の採決が行われた。欠席がちであったメンバーからいくつか質問があったが、出席者16名(全会一致)、欠席者のうち7名の賛成、5名の会議への委任により、採決された。
 午後7時5分に区長が到着し、運営委員より『区民会議案(最終報告書)−区民のための自治基本条例をめざして−』が区長に手渡された。運営委員より、区民会議での検討の経過報告、区民会議案の内容説明が行われた後、区長より、感謝の言葉と合わせて、区民会議案の趣旨を十分に反映していきたい、できた自治基本条例は区政の一番の基本としたい、といったことが述べられた。

●その後、区民会議のメンバー1人ひとりからも、感想が述べられた。
 様々な立場の人たちが集まってまとめていくことの難しさを感じながらも、最終的にとりまとめることができたことの素晴らしさをかみしめるような感想が多く聞かれた。このような作業こそが、自治の原点かもしれないという声もあった。若い人の考えを勉強させてもらった、自治会・町内会の人たちと話せてよかったなど、立場・属性の違う人たちと議論できたことへの満足感も聞かれた。一方で、自分と同じ年配の人たちが毎回来ているのだから、途中しんどかったが自分もがんばって出席した、といった話もあった。
 いつもながら、最終報告を終えた人たちの感想は、市民参加の「金言」であると感じる。このニュースを書いた時点では、第22回の会議録はホームページに未掲載であるが、ぜひメンバーの感想もしっかり会議録に記載していただきたい。

●区民会議は、学習院大学の大学院生、町会長、市民団体メンバーをはじめ、様々な人たちが参加していた。
 筆者は数回傍聴してきたが、町会長のメンバーが熱心に参加していたことが、特に印象に残っている。出席者数が落ち込んだ時期も、町会長や年配のメンバーが根気強く出席していた。区民会議は原則公募ではあるのだが、もちろん行政からの依頼を受けて応募したメンバーもおり、町会長もそうであろう。
 しかし、単に関心を持つ人だけの市民参加では、集まる意見の幅にも、条例や計画ができた後の広がりにも限りがある。実際、区民会議案も、他者の意見を尊重しながらも、各人が自分の立場・属性にも引き付けながら議論できたことで、多様な市民感覚でもまれたものになっていると感じる。「公募」というスタイルをとりつつも、押さえるべき立場の人には必ず参加してもらうようにすることが、公募市民会議のアウトプットが市民案と呼ばれるだけのものになるには必須の条件であろう。
 また、それら多様な市民の意見を集約するには、議論の道筋を明確にするファシリテーションの技術が欠かせない。今回は、運営委員を務めた、学習院大学の院生や区内NPOのメンバーが、ホワイトボードに記録をとりながら進行したことが、議論を整理して活性化するのに大きく寄与していたと言える。
 このように、異なるタイプの市民が集まり、それぞれの持ち味を出し合うことが、公募市民会議の醍醐味であり、その自治体の市民力の発現された姿でもあると感じた。

 豊島区ホームページ 自治基本条例のホームページ

「第6回豊島区自治基本条例区民会議開催」「第7回豊島区自治基本条例区民会議開催」「第8回豊島区自治基本条例区民会議開催」「第10回豊島区自治基本条例区民会議開催」「第13回豊島区自治基本条例区民会議開催」「第17回豊島区自治基本条例区民会議開催」もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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