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市民参加・協働のまちづくり
●以前のニュースでもお伝えしたが、筆者は、市民参加研究会(代表:若松征男・東京電機大学理工学部教授)が主催し、笹川平和財団の助成を受けて行った、「市民が考える脳死・臓器移植−専門家との対話を通じて−」というワークショップで、ファシリテーターを務める機会があった。 ワークショップは、2005年1月から3月にかけて、4回にわたって開催された。主催者によって公募選考された17名(途中1名が仕事のため離脱)の「市民パネル」が議論の主体であり、脳死・臓器移植に関して、その「是非」ではなく、「いま社会として何をどう考えるべきか」について「市民の提案」をまとめることが目的であった。また、1日目と3日目に、移植医、救急医、移植コーディネーター、移植経験者、倫理学者、法律家、市民団体、ジャーナリストなどの「専門家」から情報提供を受け、意見交換するというのが、このワークショップの大きな特徴である。 4日間の流れは、次の通りである(ワークショップ資料より)。 第1日目 基礎知識をまなぶ 1月29日(土)午前10時〜午後5時 日本教育会館 専門家や説明者の情報提供を受け、脳死・臓器移植に関する基礎知識を学習します。 第2日目 鍵となる質問をつくる 2月5日(土)午前10時〜午後5時 科学技術館 第1日目の情報提供を受けて、疑問・不安・意見・感想などを出し合って議論し、専門家に対する「鍵となる質問(KQ=Key Questions)」をつくります。 第3日目 専門家と対話する 2月26日(土)午前10時〜午後5時 日本教育会館 市民パネルが、専門家(情報提供者)と直接対話し、市民パネルによる「鍵となる質問(KQ)への回答を受け取ります。 第4日目 市民の提案をまとめる 3月5日(土)午前10時〜午後5時 日本教育会館 第3日目までの成果を踏まえて、脳死・臓器移植に関して「いま社会として何をどう考えるべきか」について「市民の提案」をまとめます。 ●ワークショップの内容は、主催者に帰属するものであるため、具体的な内容の紹介は、ここでは行わない。4月23日(土)に、ワークショップの成果と分析・考察を広く社会に向けて発表する、公開シンポジウムが開催される(時間・場所など詳細は未発表)ため、ご関心のある方は、ぜひそちらにご参加いただきたい。 ●まず、このワークショップは、当日くじ引きによって決められた3つのグループによる「グループ討論」と市民パネル全員が一堂に会する「全体会」の繰り返しで進んだ。グループ討論は、少人数であるため、市民パネルとしても発言しやすいのだが、全体会になると、発言が少なくなってしまうことが、初めのうちはあった。 ●次に、このワークショップでは、市民パネルが自分の意見を付箋(ポストイット)に書き出すことが多かった。また、グループ討論のテーマも、付箋をどう分類するかが占める割合が大きかった。つまり、「脳死・臓器移植について自分はこう考える」という「議論」が、市民パネル同士では最後まで行われることなく、各自が表明した意見を分類して、専門家への「鍵となる質問(KQ)」や「市民の提案」を構築していくという「作業」が、主体となってしまったように思われる。 ●専門家への「鍵となる質問(KQ)」にも入っていたし、3日目の専門家との対話のなかでも大きな話題の1つになったのが、「社会的合意」の条件についてであった。この問いに対し、ある専門家は、「経験がないことを判断するときには、専門家を集めて討論し、決めていくしかない」ときっぱりと言い切っていた。市民が専門家と対話して自ら提言していく、今回のワークショップとは正反対の考え方であるが、1つの考え方として面白いと思った。 ●もっとも、いま「普通の市民」と言ったが、新聞での募集記事などを見て、ワークショップに参加しようと思い立った市民は、果たして「普通」なのかというのはある。ワークショップの全日程が終了した後に、説明者(専門家とは別に、基本的な情報提供を行う運営スタッフ)の1人と話したところ、「それほど驚くような結論にはならなかった」という感想を述べていた。もともと関心のある人が学習をすると、かえって納まりのよい、予測可能な範囲の結論になってしまう面はあるのかもしれない。 若松征男教授ホームページ 市民が考える脳死・臓器移植−専門家との対話を通じて− ※ 「市民と専門家が対話する会議手法の創造に向けて」、「『市民討議会』をきっかけに参加手法について考えたこと」、「地球温暖化問題で討議制意見調査の試み」もご覧ください。 (東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広) |
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