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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
志木市民委員会による市民予算説明会開催
2004/12/14


●2004年12月11日(土)午後1時30分〜4時40分、いろは遊学館ホールにて、志木市の市民予算説明会が行われた。筆者は、取材を兼ねて参加した。

●市民予算説明会は、公募による常設型の市民会議(139名)である志木市民委員会が、市からの依頼を受けて市民の視点で編成した平成17年度(来年度)市予算案をめぐって、市長・助役以下、各部長と意見交換を行うものである。今年度で2回目となる。
 平成16年度(今年度)予算の数字をベースとして、その金額の増減や廃止を示し、各事業(款項目)に対してコメントする形で行われている。それらの作業が行えるよう、事業ごとの積算根拠を示した資料が市より提示されている。
 予算編成作業の様子は、以前のニュース(10月7日11月26日)をご覧いただきたい。

●ここでは、市民予算説明会当日の様子に絞ってお伝えする。
 次第は次のようであった。
  1 開会
  2 あいさつ 志木市長
  3 市民との協働による予算編成の説明 財務部長
  4 予算編成取り組み方針の説明 志木市民委員会会長
  5 予算説明 各部会長−各部長
   (1)企画部会 (2)財務部会 (3)生活環境部会 (4)健康福祉部会(含・病院部会)
   休憩 会場からの質疑応答(1)〜(4)
   (5)都市整備部会 (6)教育部会 (7)IT部会
   休憩 会場からの質疑応答(5)〜(7)
  6 会長総括 志木市民委員会会長
  7 市長まとめ 志木市長
  8 閉会

●中心となるのは、予算説明をめぐるやりとりである。市民委員会は、市より提示のあった全ての事業(款項目)について検討したが、市民予算説明会の限られた時間では、当然ながら全てに触れることはできない。そこで、なかでも重要と考える事業だけを取り上げて、公開の場で意見交換をすることになった。もちろん、それ以外の事業については、資料として市側に提出されている。
 進め方は、まず部会長が、編成した予算の説明を行う。次に、市の対応する部長が、説明のあった内容について見解を示す。さらに、その見解を聴いた部会長が再度発言し、部長もいま一度回答する。このような、2往復のやりとりを、各部会15分ずつで行った。
 会場に詰めかけた、市民委員会委員や一般市民は、両者のやりとりを見ながら、配布された質問用紙に質問を記入する形で参加した。休憩中に回収され、休憩後に回答がなされた。部会長(市民委員会)でも部長(市)でもよかったのであるが、寄せられたのは全て部長に対する質問であった。

●以下は、予算説明でのやりとりを要約したものである(金額は省略)。これは、筆者のメモをもとにしているため、正式なものではなく、誤りがあるかもしれないことをお断りしておく。

部会
個別事業名
市民委員会

企画
文書事務
市民バスなどを活用して、公共機関間の配達を行うことで、郵便料金を削減できるのではないか。
一括発送をして特別割引を受けている。公共施設向けにはメールボックスを活用して、さらなる節減に努めたい。
企画
統計事務事業
統計しきのインターネット版を充実することで、市民がデータ加工などをしやすい形で情報を提供する。
ホームページの改訂に伴い、統計情報をホームページに掲載した。
企画
CATV事業
CATVの放送内容を、市民にとって必要な情報(議会、災害情報など)にしていく必要がある。
CATV会社としては、議会中継の予定はないという。災害情報は文字情報で行うことになっている。市民意識調査で、番組に関する項目も入れているので、結果を見て対応したい。
企画
市民協働フォーシーズンズ志木ふれあいプラザ運営業務
職員を行政パートナーに置き換える場合、職員1人に対して行政パートナー1.5人で計算しているが、時間帯による繁忙状況の違いも考慮して、午後4〜10時については、3人ではなく2.5人でよい。
食事時間や市役所との連絡調整の時間があるため、長時間1人だけにならないように、3人ということで積算している。
財務
庁舎維持管理に関する経費
公共施設ごとに管理業務を業者に発注するのでなく、一括発注することで経費の節減を図れないか。
項目(エレベーター等)ごとへの発注に切り換え、すでに3,500万円の経費削減に成功している。
財務
市税収納
車両借上費は、市所有の共用車をうまく融通することで不要になるのではないか。
市全体としては共用化しているが、滞納整理の時期に車の利用が増す収税業務など、専属車を配置している部署もある。
生活
環境
し尿処理事業
朝霞地区一部事務組合で対応しているが、その負担金が議会・総務費というだけでは不明朗である。また、下水道管への接続は、どのように誘導しているのか。
一部事務組合では、し尿、福祉施設、消防を行っている。議会・総務の負担金は、均等割と人口割で割り当てが決まっている。接続のための財政支援について、説明会や個別訪問で周知している。
生活
環境
ごみ収集業務委託事業
可燃ごみ、資源プラスチック、ペットボトルのそれぞれで、車1台当たりの収集コストが異なる。もっとも低いペットボトルに合わせていけないか。
車両の内容が異なっているため、一律にはいかない面があるが、努力したい。
健康
福祉
身体障害者補装具交付・修理事業
すぐ壊れてしまうので、最適なものを交付する。
補装具の交付は、国の基準に合わせて行っている。
健康
福祉
生活保護 ※資料中に該当事業なし
生活保護世帯の自立支援、就職斡旋、不正給付の見直しなどに、専門員を置いて対応する。
生活保護世帯は、年10%上昇中。50%は高齢者、30%は障害者なので、受給世帯を減らすのは難しい面がある。国でも自立支援・就労支援のしくみを検討しているので、動向を見て対応したい。
健康
福祉
重度障がい者入浴サービス事業
現在は週1回で計算されているが、週2回以上にする。
現在の財政状況では、週2回は厳しい。ヘルパー派遣による清拭、シャワー浴などでも対応している。
健康
福祉
家族介護者交流事業
役割が終了したのではないか。
介護から一時解放するため、重要性ある。在宅介護支援センターの事業に移すことは考えられる。
健康
福祉
手話通訳者派遣事業
専任手話通訳者を1名増やし、2名にする。
専任ではなく、登録通訳者を増やすことで対応したい。
健康
福祉
幼稚園保育所一体化促進事業
平成17年度は不要。
確かにまだ具体的になっていないので、平成17年度は見送りも考えたい。
健康
福祉
西原保育園施設整備事業
備品費はもっと削減できるのではないか。
地主に建物を建設してもらい賃貸する形に移行したいが、まだ交渉中である。備品費については、概算で要求している。
病院
訪問看護ステーション運営事業
今後は在宅医療が重要になる。看護師を増加させて、体制を強化する。
市内には、民間の訪問看護ステーションも9つあり、利用者の様子を見て対応したい。
都市
整備
都市計画事務に要する経費
都市整備課が単独で運営しているホームページを、市のホームページに統合する。
都市整備課のホームページを立ち上げた当初と比べ、市のホームページの容量が増加されたので、市のものに統合していきたい。
都市
整備
グリーンバンク事業
準備不足の状態なので、まだ取り組むべきでない。
初年度は調査研究や圃場整備を行いたい。
都市
整備
新築等記念樹木贈呈事業
贈呈を通知するはがきは中止して、別の方法で伝達する。
意思確認のために往復はがきを送っているが、費用のかからない方法を検討したい。
都市
整備
道路橋りょう事業
狭小道路を公認化する恐れがあるため、幅員4m以下の私道には補助すべきでない。
公道と公道をつなぎ、事実上「公道化」している私道に対するものなので、引き続き行いたい。
都市
整備
全体
道路、公園等の維持管理マニュアルをつくるべきではないか。
1つ1つ異なるうえ、マニュアル化しても予算措置できなければ実施できない。
教育
外国青年招致事業
家具購入費など経費がかかりすぎ。在日中の留学生などとの交流でもよい。平成17年度はまず半減して、段階的に廃止する。
確かに費用が大きいので、契約終了に合わせて、家具などの補助は見直していきたい。ただ、姉妹都市からの受け入れを廃止するのは難しい。
教育
校庭芝生化事業
芝生にするとかえって利用しづらくなる面もある。維持管理に、相当の費用と手間もかかる。校舎の耐震化・補修を最優先すべきである。
芝生は保護者、児童・生徒からも好評。メンテは学校自身で行うが、芝生化の要望のある学校が5校ある。情操、情緒面の効果にも注目している。
教育
保健衛生に要する経費
結核への感染の恐れがあり、結核検診を直接撮影で実施する。
全く同感であるので、ぜひ実現したい。
教育
学校図書館図書整備事業(小学校、中学校)
近隣3市と比較して、図書館の蔵書が少ない。財政難が、子どもの教育環境に影響すべきではない。
標準図書数の達成を目標にしたい。学校間、一般図書館との間での連携を行いたい。
IT
電子処理事業
委託SEを1名増員するのでなく職員2名を配置転換することで、適性のある職員にスキルを蓄積する。
職員で対応したいが、新規採用の凍結もあり、職員が足りない状況になっていて、簡単ではない。
IT
財務会計システム運用に要する経費
OSであるWindowsNTがサポート切れになり、セキュリティのためにリプレイスが必須。独自仕様のシステムではなく、パッケージ製品を使うことで、全体の費用を抑えられる。
リプレイスは必要。また、PCを導入した当初より、職員のエンドユーザーとしてのスキルも上がっており、パッケージ製品でも十分に対応できる。

●全体的な印象であるが、市長も最後に述べたように、役所は前例を大切にする面が強いため、市の壁はなかなか堅そうである。果たして、いくつくらいの事業で、市民委員会の考えが反映されることになるだろうか。市の予算案は1月に固まり、結果が市民委員会に説明される。なお、昨年度(今年度予算)の実績としては、市民委員会が編成した予算に基づいて、8事業1,510万円が削減されている。
 市民予算説明会の進め方については、昨年よりは進行、資料とも工夫が見られて、わかりやすくスムーズになったし、昨年はなかった会場からの参加手段を、質問用紙という形で設けたのもよかった。
 しかし、まだ改善の余地はある。参加者として会場に座った感想では、テーブルのないイスだけの席で、配布資料をパラパラめくりながら、部会長と部長のやりとりを追うのは、なかなかしんどい。まさにいま議論している論点については、パソコン画面から前面のスクリーンに映写するなどして、参加者が両者のやりとりに集中できるようにしてほしい。

●また、市の予算編成における市民と市の「協働」をより効果的に行うのであれば、市民委員会が市とは全く別個に予算を編成して、「これでどうだ」と市に突きつける形そのものを変えた方がよいのかもしれない。
 今回の予算説明をめぐる部会長と部長のやりとりを見ると、議会における議員と行政の質問−答弁の焼き直しのような印象さえある。あるいは、行政が開催する普通の説明会と、見た目こそ違うが、実質的にはそれほど変わらなかったのではないか。例えば、予算を提案する前に当然明らかにしておくべきことを、部会長がいまさら質問しているようなものも、わずかながらあった。また、「行政には行政の事情があるのですよ」という理由で切り返されているものが、ほとんどであった。「市民が要望(提案)する」「行政の事情を盾に行政が断る」というやりとりは、普通の説明会でも見られる光景であり、市民予算説明会もその域を出ていなかったように思う。
 もちろん、市民委員会の提案は、ぽっとやって来た一般市民には言えないくらいレベルの高いものであり、市民委員会の努力や能力が足りないということではない。問題なのは、「協働」と言いながら、市民委員会が単独で予算を編成して、編成を終えてからやっと行政とコミュニケーションをとるというスタイルである。これでは、「行政の事情」を踏まえた、行政が思わず「こりゃまいった」と提案を頂戴するようなレベルのものにはなりにくい。
 市民委員会と行政のそれぞれが、予算を編成した後に突き合わせるというやり方より、最初から両者が一緒のテーブルについて予算を編成する方が、市民委員会も「行政の事情」を踏まえたうえでの提案ができるだろう。もちろん、それには時間的・作業的な難しさが伴うし、そもそもそういった作業まで市民委員会がすべきなのかということもある(この日も、「ようやく予算編成が終わって、自分たちのやりたいことができる」と話している委員たちがいた)。ただ、予算をめぐってもっと深いやりとりを市民と行政が交わすとすれば、そのくらいのことが必要であるのを、市民予算説明会に参加してみて感じた。

 志木市民委員会ホームページ

『季刊まちぽっと3号』(2005年1月発刊)の「市民・まち・アクションレポート」に「予算づくりの市民参加 志木市における『市民予算編成』」を収録しています。合わせてご覧ください。

「志木市民委員会・平成15年度全体委員会開催」「志木市民委員会の第2期が発足」「志木市民委員会が来年度市予算編成を開始」志木市民委員会による市予算編成いよいよ大詰め「志木市の市民予算編成、来年度予算への反映結果」志木市民委員会が全体委員会を開催、市長勇退後に向けた動き志木市民委員会が4年間の活動にフィナーレもご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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