市民参加・協働のまちづくり
| 志木市民委員会による市予算編成いよいよ大詰め |
2004/11/26
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●以前のニュースでもお伝えしたように、公募による常設型の市民会議である志木市民委員会が、8月末より市予算編成の作業に入っている。今回で2年目となる予算編成も、12月11日(土)の「市民予算説明会」に向けて、いよいよ大詰めを迎えている。
8つの部会単位での作業は概ね終了し、11月23日(火、祝)午後2〜7時には、志木市民総合センター4階会議室にて、部会長会による予算編成ワーキングが行われた。6部会の部会長と事務局(市民)のほか、市民委員会を担当する政策審議室長と予算編成を所管する財政課長が出席した。筆者は傍聴した。
●ワーキングの主要な議題の1つ目は、市民委員会が編成した市予算を表現する「市民予算書」の形式についてであった。
各部会が対応部課ごとの予算を編成することになっており、具体的には、款項目ごとに「金額」「コメント」「優先順位」を付けるというものである。各部会ともその3点について検討結果を出していたが、書式は統一されていなかったため、会長(兼企画部会長)の原藤光さんより示された書式に合わせることになった。書式は見やすさに配慮し、部会ごとに、最初のページに「款項目」とその「金額」「優先順位」が一覧化されたもの、以降のページに担当課順で1つひとつの「款項目」への「コメント」が示される形になった。
「金額」については、各課より示された、今年度と比較しての来年度における「増減要因」も判断材料となっているが、三位一体改革などの影響で、各課自身に歳入の予測がつかない点もある。もし予算が確保できれば今年度並みに行いたいとの希望的観測が書かれている場合もあり、部会としても判断に迷う点もあったようだ。
「コメント」は、昨年に引き続き付けることになっているが、今年は金額の積算まで行っているため、昨年より一歩踏み込んで、積算の根拠を示すコメントも見られるようである。部会によっては、対立する意見も含めて全てを載せているところもある。
●「優先順位」は、事業区分(「1.法定」「2.義務」「3.維持管理」「4.継続」「5.政策」「6.新規」「7.建設」の7区分)ごとに、例えば、「4.継続」に区分される20個の款項目のなかでの優先順位を付けるというものである。これは、行政の部内でも同じように優先順位を付けていることに対応したものである。行政の場合、各部に配分された予算枠に款項目が入りきれない場合、優先順位の低いものから切られる仕組みになっている。
「優先順位」の付け方は、予算編成を進めるうち、部会の事情に合わせて、様々なバリエーションが生まれていた。1位から最下位まで番号を振るものもあれば、○△×などで表現するものやA〜Eで表現するものもあった。どの部会のものが、他の部会でも通用するものであるかを検討した結果、都市整備部会のものが採用された。具体的には、下記の通りである。
A … 予算をアップしてでも実施
B … 条件付実施 主として予算の削減を求む
C … 予算に余裕があれば、実施
D … 延期またはなるべく中止
E … 中止
1位から最下位まで順位を付けることは、部会によっては大変な困難を伴うことであったようだ。教育部会では、学校教育を重視するか、学社融合を重視するかで、上位と下位が全くひっくり返ってしまう。そのため、順位は付けてみたが、複数案を容認せざるを得なかった。
財政課としても、市長部局の判断で勝手に事業を切ってしまうのではなく、市民がどういった事業を残したいかがわかることが重要であるため、ぜひ必要なら「A」、必要ないなら「D」「E」といった、わかりやすい意思表示があれば十分であるようだった。
●また、1位から最下位まで順位を付けることは、上記の通り「増減要因」が不確定な事業についてはやりづらいことや、市民側の順位を無理にがんばって付けてしまうと、上位にもかかわらず採用されなかったときに、市民の不満が強くなる、といった声も聞かれた。
あまり厳密に順位を付けることより、また、金額についてもあまり精緻に出すことより、コメントで市民の意思を表現することを充実させた方がよいのでは、との意見もあった。
さらには、1年後に訪れる、来年の予算編成を見据えた意見も聞かれた。財政規模の縮小下では、そのうち削る余地もなくなってくる。例えば、教育部会などは、教育はお金をかけてでも充実してほしいというのが本音である。それでも切り詰めるところを探すとすれば、複数の部課で重複している部分であり、来年は重複部分を整理していくことが課題ではないか、ということであった。予算編成も2回目になり、複数の部会で同じ事業の予算を細切れに扱っていることに気が付いての弁である。
●この日の主要な議題の2つ目は、12月11日(土)に行われる「市民予算説明会」についてであった。
市民委員会が編成した市予算をめぐって、市長、助役以下、担当部長と公開の場で直接意見交換を行う。昨年の様子は、NHKの『クローズアップ現代』でも紹介された。昨年は、初めての試みということもあって、市民委員会がつくった資料を使って、先に部長が答弁を始めたため、資料のどのページを見ているのかわかりにくかったこと、部長→部会長の順で1回ずつしか発言がなかったため、討論にはならなかったこと、会場からの発言時間・方法も十分でなかったことなど、が課題として残った。
その辺りを今年は改善し、部会長が先に予算説明をし、それに部長が答え、さらに部会長→部長の順でもう1回ずつ発言ができるようにして、討論の形となるように配慮する。限られた時間でメリハリのついたものとするため、3つ程度に論点とする款項目を絞り、やりとりをすることになった。また、会場からは、紙で質問や意見を集めて、部会長が整理したうえで、全体で共有したいと思うものを選んで、会場から発言してもらうことになった(この方式は、筆者がコーディネーターを務めた、11月14日(日)の志木市民委員会全体委員会のパネルディスカッションで採用したものである)。
●原藤会長のご配慮で、最後に、筆者に質問の機会があった。
筆者が聞いたのは、部会間の調整、つまり市民委員会全体としての金額や優先事業の調整などは行わないのか、ということであった。
これについては、主に財政課長より回答があり、数字合わせということで、部会間のぶんどり合戦のようなことになってはいけないし、誰しも自部会を優先したいものなので部会間で調整することは難しいのではないか。各部会が担当する各部課の事業のなかでの優先度がわかれば、市としては十分であるとのことであった。
確かに、部会単位で活動している現状では、予算全体を視野に入れて、特にどの分野に重点配分しようといった作業までは難しいであろう。また、現在の方式は、個々の款項目を審査して積み上げるものであり、全体的な視点から分野ごとの配分を決めるとすれば、同じ志木市が導入を検討している、住民税1%分の使途を「世論調査」によって決める方法ではないが、異なる方式が必要になってこよう。
●このワーキングで決定した事項は、11月27日(土)の部会長会で正式に承認されて、予算編成の仕上げに向かっていくことになる。
「市民予算説明会」は、12月11日(土)午後1時30分〜4時40分の予定で、いろは遊学館3階ホールで行われる。誰でも参加可能であるので、ご興味をお持ちの読者は、ぜひ足を運んでいただきたい。
●なお、市予算編成については、本当に市民委員会がやるべき仕事なのか、という声も委員の間にはある。作業が膨大で、各部会が独自に取り組みたい調査・提言活動などに支障をきたすからである。教育部会などは、予算編成の依頼を全く返上してしまうか、それとも徹底してやるかを議論した結果、後者を選択し、大量のコメントを付した予算が出来上がっている。そこまで徹底してやって、最終的にあまり反映されないようだと、不満を言う者も出てくる、と教育部会長の福本正さんは述べる。
一方、財政課長の原田隆一さんは、予算編成に市民が携わることの意義を強調する。総合計画や分野別マスタープランなど、計画策定への市民参加は、すでに例も増えてきているが、計画というのは実現されるかわからない面もある。その点、予算は翌年度に執行される直接的で具体的なものであり、そこに市民が関わることの意義はやはり大きいという。
財政縮小下にある今日ではなおさら、限られた自治体資源をどう使うべきかを市民自身が考えることは、一種の権利であるとさえ言えるかもしれない。もっとも、市民自身の意思で行政サービスの付け替えや縮減を図れば、市民は誰にも文句を言えなくなる面もある。そうなると、市長の役割も変わってこよう。穂坂邦夫・志木市長の言う、市民がオーナーで、自分はオーナーの意思で動くシティマネージャーというのは、そういう面もあるのだろうか。
いまのところ、市政について一定の知識のあるオーナーが顔を揃えている「オーナー会議」は、(市議会を除けば)恐らく市民委員会しかない。その意味でも、オーナーとして予算に物申していく役割は、当面は市民委員会が担い続けることになるのだろうか。
●最後に、余談であるが、先週の11月18日(木)、筆者は、(社)日本経営協会の自治体職員向け講座である「住民参画型行政の推進講座」で講師を務めた。そこで、志木市民委員会とはやや異なる形の、常設型の公募市民会議を担当する職員の方とお話する機会があった。その会議では、参加者の数も減少し、活動も停滞してきているという。
志木市民委員会の場合も、11月14日(日)の全体委員会の出席者が半数足らずであったことを見ても、実質的に参加している人数は減っているようであり、部会によってもまちまちである。また、この日のワーキングでも、運営に難しさのある部会の話も出ていた。決まったことを後でひっくり返す人、高い目線からものを言って聞かせるような人など、市民参加ではお決まりの人たちがおり、部会長の方々の苦労も耐えないようである。
それでも、市民委員会が市予算編成のような大きな仕事ができるのは、牽引役としての部会長会が機能しているからであると、この日のワーキングを傍聴して思った。互いの部会について情報交換をすることで、競争心も芽生えよう。また、部会長にとっては、同じ苦労を共有できる部会長会が、精神的な支えにもなっているのではないだろうか。
もちろん、恒常的に参加している委員の多くも、立派な働きをされていると思う。先日の全体委員会でも、パネリストを務められた方々、会場から意見を寄せられた方々など、豊富な人材の存在を感じさせた。そのような委員が一堂に会して、他部会とも交流を図れる全体委員会のような場は、部会間のよい意味での競争心を盛り立てる面などあり、今後も有効に活用していただければと思う。
志木市民委員会ホームページ
※ 「志木市民委員会・平成15年度全体委員会開催」、「志木市民委員会の第2期が発足」、「志木市民委員会が来年度市予算編成を開始」、「志木市民委員会による市民予算説明会開催」、「志木市の市民予算編成、来年度予算への反映結果」、「志木市民委員会が全体委員会を開催、市長勇退後に向けた動き」、「志木市民委員会が4年間の活動にフィナーレ」もご覧ください。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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