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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
第9回平塚市自治基本条例市民委員会開催
2004/9/6


●2004年8月29日(日)午前9時30分〜午後12時50分、平塚市役所研修室にて、第9回平塚市自治基本条例市民委員会が行われた。筆者は、午前10時以降を傍聴した。

●筆者は、以前、第6回を傍聴している。その日のテーマは、市民委員会の運営について話し合うことであり、市民委員会の運営組織としての世話人会の設置が正式に承認された回であった。
 世話人会も正式に設置され、この日(第9回)は、自治基本条例の内容に関する議論が聞けるだろうと期待して出かけた筆者であったが、次第をいただいて、正直驚いた。この日のテーマもまた、市民委員会の今後の運営について話し合うことだったからである。

●確かに、第7回の会議録を見ると、後半のグループワークで、今後の市民委員会で検討したいテーマが話し合われ、自治基本条例に盛り込むにあたって検討したい様々なテーマが挙げられている。また、まだ会議録はできていないが、第8回のテーマは、平塚の将来像(こんなまちにしたい)を考えることであった。さらに、第8回と第9回の間には、「行政の基礎を学ぼう」と題した、自由参加の学習会も2回開かれている。そういう意味では、それらの検討したいテーマや将来像を踏まえて、挙げられた検討テーマをどのような手順で検討していくかを第9回で話し合う、ということになったのであろう。
 しかし、世話人会という場ができた以上、それらの運営手順を決めるなり、全体会(市民委員会)に対して具体的に提案するなりといったことは、世話人会が行うべきで、全体会(市民委員会)の場では、簡単に了承を得た後、自治基本条例に盛り込む内容に入っていくべきではないかと思われる。
 第7回では、そのような世話人会の選出方法や位置づけについても、グループワークで話し合われているが、会議録を見る限り、時間が足りず、位置づけについて十分な検討がなされたようには見えない。そのような中途半端な結論の出し方が、世話人会に十分な権限が与えられない大きな要因になっているように思われる。
 また、8月23日(月)に行われた世話人会の報告を見ると、今後の市民委員会の運営についての話し合いを全体会(市民委員会)で行うという発想は、世話人会自身のものであることがわかる。本来自分たちでやるべきことを、全体会(市民委員会)でやってもらおうという、世話人会のこのような姿勢にも、大きな問題がある。

●この日も、「これまでの市民委員会を振り返り、これからの流れについて考える」というテーマのもと、今後の市民委員会の運営について話し合われたのだが、その運営案は世話人会によって出されたものではなく、委員各自が提案したものであった。
 提案Aは、議会、行政、市民、まちなどのテーマ別に部会をつくって検討を進めるというもの。提案Bは、世話人会のなかに「意見整理ワーキングチーム」や「広報・公聴ワーキングチーム」をつくるというもの。また、市民委員会当日は討議を中心に行えるように、次回テーマについて事前に意見を提出する「意見提案書」方式も提案されている。提案Cは、もし部会を設けるなら、広報やPI(パブリックインボルブメント)、PC(パブリックコメント)、フォーラムといった目的別に設けるべきで、条例の内容については部会を設けるのではなく、全員で検討すべきというもの。その他、当日その場で提案されたものとして、問題点をカルテの形で整理していこうというものや、まずは足元(市民委員会)を固めて、それから外にPIに出て行こうという手順に関する提案もあった。

●各提案に対する質疑応答(と言っても、賛成・反対意見の表明になっていたが)の後、それらの提案をもとに、8つのグループに分かれて、議論が行われた。
 グループの議論の仕方は様々で、(1)模造紙に結論を直書きしているグループ、(2)ポストイットに書き出した意見をもとに議論して、グループ全体で出した結論を模造紙に書き出したグループ、(3)とりあえずポストイットを分類して、どんな主張が何人いたと説明するグループ、(4)ポストイットに書き出したものを、ただ読み上げて発表しただけ(自分の意見だけは詳しく説明)のグループ、といった具合であった。
 一定の結論を出したグループについて言えば、部会設置は必要という意見が多かった。但し、全体で話し合うべきもの(基本的な理念など)もある、部会は設けるとしてももう少し先でよい、部会と全体会での話し合いを繰り返しながら進める、といった留意点も示された。
 しかし、その後の全体討議では、条例の全ての項目を全員で議論することが市民委員会の意義であるといった主張や、部会で出した結論をもう一度全体で議論する以上、かえって部会方式は時間がかかるといった主張も示され、部会設置に関して容易に結論は出なかった。

●そうこうしているうちに、自治基本条例に関する勉強会が必要であるとか、市民委員会は条文までつくるのか考えを示すだけでよいのかという、市民委員会の役割をめぐる認識の違いや、部会で話し合う以前に条例の理念の共有ができていないといった議論が百出した。議論していることの結論が1つも出ないうちに、次から次に新しい論点が示されるといった展開であった。
 予定時間であった午後12時30分に近づいてきたため、委員から、今日出たことをもとに、後は世話人会で決めるのでよいのではとの提起もあったが、他の委員から、ここまで話し合っておいて何の結論も出さずに世話人会に任せるのはおかしい、といった意見も出てきた。
 結局、ある委員が提起した、今日はここまで意見が出た、次回は出たものをまとめあげる、ということが結論ということでよいのではないか、ということに落ち着いた。しかし、これでまた1回分、条例の内容に入るのが遅れることになったわけである。

●今後の市民委員会の運営に関する話し合いを、いったん世話人会が全体会(市民委員会)に投げてしまったため、世話人会で引き取ろうとしてももはや返してもらえなくなったという状態である。運営に関して決める権限がないとしたら、世話人会は何のためにあるのかわからない。
 委員みんなで決める方が民主的、という「原理」が基本にはあるのだろうが、そのせいで、なかなか自治基本条例の内容を議論するところに入っていけず、委員が欲求不満をためているとしたら、本末転倒である。要は、役割分担の問題であり、限られた時間のなかで、委員みんなが気持ちよく議論できるように、世話人会が運営の舵をとる。それだけのことのように思うが、いかがだろうか。

●市民委員会には、自治基本条例づくりのワークショップ経験も豊富な大久手計画工房さんが、ファシリテーターとして関わっているが、第9回市民委員会を傍聴した限り、ほとんど役割を果たせていない、あるいは、果たさせてもらっていないように見えた。進行は、世話人会が決めた司会者(委員)が行うことになっているため、議論の記録をとるのが大久手さんの仕事だが、そこに書かれた記録が、司会者が論点を整理しながら、1つひとつ合意を積み重ねていくことには、十分に活用されていないようであった。
 世話人会の報告を読んでも、ポストイットに書くのに時間をとられて議論できない、グループの議論も全体の議論も不十分、何回やっても結論が出ず議論も深まらない、こういう意見があったという報告だけで結論がない、グループ中心の進め方だと細切れになる、1回にやるテーマが多すぎるといった、ワークショップ手法自体に対する批判も多く見受けられる。第9回のなかでも、ポストイットに書くだけでなく、多くの人が発言できるような司会をすべきだ、という意見も聞かれた。
 市民委員会に、自主運営の気概を持った大勢の委員がいることは、非常にいいことである。しかし、そのつど全員が同じ土俵で主張しはじめると、まとめるのには膨大なエネルギーが必要になる。そのため、世話人会やファシリテーターの役割を承認し合いながら、秩序を徐々に築いていき、不必要なエネルギーの浪費が起こらないようにしていく必要があろう。
 もっとも、平塚市の場合、大久手さんのとっているようなワークショップ手法が、自治基本条例づくりにおいて有効な手法だという実感を、委員が得るまでに至っていないのも感じる。手法面への信頼を高めることができるかも、今後の市民委員会の行方に大きく影響してくると思われる。

●ところで、平塚市では、この自治基本条例策定と時を同じくして、総合計画の策定が行われようとしている。その市民策定組織として、公募市民90人からなる「(仮称)ひらつか未来市民会議」の募集が行われている
 この「未来市民会議」には、自治基本条例市民委員会の委員は応募できない、となっているため、応募できるようにとの意見書を出したという話や、両会議間での合同会議を持つことを提案しようといった話も、この日出ていた。
 この日、出席していた委員のなかで、「未来市民会議」に出たいという人は1名だけであったが、本当はもっと多くの委員が出たいという気持ちはあるのではないかと推測する。しかし、2週間に1回のペースで行われる自治基本条例市民委員会と掛け持ちすることはかなり難しく、出たくても出られないのが実際のところであるように思う。
 自治基本条例と総合計画という、市政の根幹に関わる2つのものを同時に策定するというのは、市政に関心を持つ市民の立場からすると、いかがなものだろう。どの会議にも出てくる市民の顔ぶれは一緒だといった批判もあるが、全員が公募市民である公募市民会議は、公共的な課題に関わるきっかけとしての心理的なハードルが低い(自分と同じような初心者が多そうだ、という予想があるため)のが特徴であり、そんな公募市民会議を2つ同時に行うのは、市民の力の結集という意味では得策ではない。
 1期目の市長には、いろいろな政治的事情もあると思われるが、あせって市民の力を一気に投入しすぎても、着実な成果や市民の納得感が得られなければ、逆に致命的な失敗になりかねないので、気をつけるべきところである。

●なお、第6回の報告で、グループ議論が行われるような場合の傍聴者の権利について問題提起をしていたが、その後、改善に取り組んでいただいたようで、希望する傍聴者はグループ議論に直接参加できることになっていた。むろん、筆者は議論に参加することが目的ではなく、第三者として会議全体を観察することが目的であるため、グループ議論には加わらなかったが、この日は3名の傍聴者がグループ議論に加わっていた(この日は、その傍聴者3名を含めて、42名が参加していた)。いずれにしても、改善に取り組んでいただいたことには感謝している。
 とは言え、新しい問題がまた1つ発生。グループ議論に加わらなかった別の傍聴者から話しかけられ、心置きなく傍聴することができなかったのである。グループ議論のあるケースでの傍聴というのは、なかなか難しいものである。

 平塚市ホームページ 自治基本条例のホームページ

「第6回平塚市自治基本条例市民委員会開催」「第13回平塚市自治基本条例市民委員会開催」「第17回平塚市自治基本条例市民委員会開催」「第22回平塚市自治基本条例市民委員会開催」平塚市自治基本条例骨子の元市民委員向け説明会開催」もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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