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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討終了
2004/5/1


・2004年4月25日(日)午前9時30分〜午後5時、大和市役所会議室棟の101・102会議室にて、大和市自治基本条例をつくる会(以下、つくる会)の第27回全体会議が開催された。筆者は、午後2時から終了まで傍聴した。
 以前のニュースでもお伝えしたように、市内各方面に向けて実施した「素案たたき台」へのパブリック・インボルブメント(以下、PI)の結果を受けて、3月20日(土)より毎週1回のペースでつくる会の全体会議を開催し、「条例素案」に発展させる議論を行ってきた。今回は、「条例素案」を検討する最後の回であった。

・この日、議題となったのは、(1)たたき台には入っていないもので盛り込むべき項目がないか、(2)議会からの案をふまえた議会の章、(3)前回会議で課題として残された「市」の定義、(4)全体を通しての最終チェック、であった。
 筆者が傍聴を始めた頃には、(2)については検討が終わっており、市議会7会派のうち、4会派からは修正意見なし、3会派からは修正案があったものの、つくる会としては、条例素案は修正案の趣旨を反映しているものと判断し、修正は行わないことに決めたという。

・最も議論となったのは、(3)についてである。
 筆者が前回傍聴した3月22日(土)の第22回全体会議のときは、「市民」の定義について、「在住の者」に限るべきか否かをめぐって、活発な議論が行われていた。それから1ヶ月、「市民」そのものをめぐる議論は、すでに「在住の者」に限らず広く定義するということで、収束をみていたようである。
 
しかし、こんどは、「市」の定義をめぐる議論が起こっていた。
 第3条(3)に「市とは、市民、市議会及び市の執行機関によって構成される自治体をいう。」とある。この定義に対する疑問は、法制担当職員である委員から提起された。すなわち、この定義でいう「市」は、地方自治法などで言う「地方公共団体」と同一のものなのか。同じであるなら、「市民」の定義を「住民(=在住の者)」以外にすることはできないのではないか、逆に違うのなら、従来の条例などで使ってきた「市」との整合性がなくなって行政運営が混乱するうえ、市民の感覚ともずれるのではないか、といったものである。
 ここで従来の「市」の定義と言っているのは、「市=市の執行機関」と捉えるものであるが、ファシリテーターが整理したように、それとは異なる見方をつくる会ではとっている。市は市民、市議会、市の執行機関で構成されるとしているのである。
 では、この条例で言う「市」は「地方公共団体」とは整合しないのかというと、学識経験者の委員が整理したように、そもそも地方自治法には、「地方公共団体」の構成要素などは書かれておらず、これを執行機関と同一と見なしてきたのは「官僚法学」の解釈であり、法学的にはもっと多様な解釈の余地がある。それを自主解釈しながら定義するのが、自治基本条例をつくる意義そのものではないか、という考えが、多くの委員が受け入れているところのように見えた。
 とは言え、法運用の厳密性が気になる法制担当職員の委員は、課内で検討したときの状況に照らすと、最後まで納得できなかったようである。ただ最後は、委員個人として、この場で折り合いをつけられるかで判断してもらい、もし法制として反論がある場合は、つくる会がつくった「条例素案」に対し、受け手の行政機関として反論してもらう、という学識経験者委員の提案で収束した。

・この学識経験者の委員が提案した内容は、市民参加による政策形成のプロセスの観点からは、大変重要な意味を含んでいる。
 市民参加の会議においては、最終的には、個人の立場としてその場の議論に納得できるかで行動することが重要になる。その場にいない所属団体などのことをあまりに意識していたのでは、いちいち持ち帰ってお伺いを立てなければ行動できないことになってしまう。つくる会のような、希望者全員が参加できる会議の場合は、なおさら個人としての行動がしやすい。
 つくる会の場合は、予め職員の視点も確保することを意図してか、市職員枠の委員が5名いて、全員が公募市民である場合の会議に比べると、合意形成の機能がやや強く期待されているのかもしれない。しかし、職員とて、市民委員と同様である。最終的には、委員個人として納得できるかで行動しなくては、先へ進めない。
 大切なのは、つくる会、PI、市長(行政)、議会などの機関や機会が、それぞれ付与されている権限のもとで役割を果たしながら、議論を深めていくことであろう。大和市自治基本条例の策定プロセスの場合、つくる会やPIを経てきた条例案は、最後は市長の権限において提案されるものであるし、最終的に条例を成立させるかは(独自提案することも含めて)議会の役割である。
 従って、つくる会は、その場に参加した者の判断で結論を出し、次の段階にバトンを渡して、市長(行政)や議会は、つくる会の議論の重みを勘案しながら、市民を代表する立場から最終判断を行っていく必要がある。
 その意味で、この学識経験者の委員の提案は、当を得たものであった。

・最後に、(1)たたき台には入っていないもので盛り込むべき項目として、市民の権利を定めた第9条に、「安心・安全に生活できる」などの権利が盛り込まれた。もともと条文に入っていた、政策形成等への参加の権利、情報を知る権利、行政サービスを受ける権利などと比べると、文脈や整合性という点でやや唐突の感があることもあって、最後は多数決になったが、市民にとっては大切な権利だと考える委員が若干多く、入れることになった。

・この日で条例素案の検討は終了し、付属資料などを整えた後、5月30日(日)に市長に提出する。
 つくる会は、委員が32名ということで、近年増えている全員もしくは大半が公募市民である「公募市民会議」のなかでは、決して大きい方ではない。しかし、登録人数は多くても実際の参加者は1/3とか1/5という会議が一般的ななかにあって、今回も筆者が傍聴していた時間帯に限っても19名が参加しており、週1回のハードスケジュールのなかにあっても、委員が熱心に参加していたのが印象的であった。また、徹底したPIの実施が、委員数を補って余りあるものにしていると思われる。
 筆者も、2回傍聴しただけであるので、短慮は控えなくてはならないが、委員の参加の深さという意味で、つくる会は大きな成功を収めているのではないかと思われる。

 大和市ホームページ 自治基本条例策定に関するWEBサイト

「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討開始」「大和市自治基本条例案が市議会総務委で修正可決」大和市自治基本条例修正案が市議会本会議で可決」「自治基本条例の『自治体の憲法』としての論点」「大和市自治基本条例施行シンポジウム開催、つくる会も終了」もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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