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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
まちづくりワークショップ展覧会でギャラリートーク開催
2004/4/13


・2004年4月2日〜17日の期間、吉村順三記念ギャラリー(目白)にて開催されている「参加するまちづくり〜まちづくりワークショップの現場を生け捕る〜」で、4月10日(土)午後2〜5時、ギャラリートークが開催された。
 この展覧会は、これまで数多くのまちづくりワークショップを手がけてきた大久手計画工房が、「参加するまちづくり ワークショップがわかる本」(伊藤雅春+大久手計画工房 農文協−百の知恵双書シリーズ)の出版を機に、ワークショップの準備や小物、ニュースなど細部まで丸ごと伝えようと開催したものである。(主催:OM研究所)
 このギャラリートークには、自治体職員、コンサルタント、ワークショップに参加している市民などが参加した(40人以上はいたと思う)。筆者も参加した。

・この日は、静岡県浜松市のJR浜松駅の南にある高竜(こうりゅう)地区で、土地区画整理事業(市施行)に関してワークショップを行った事例が、トークの材料となった。
 高竜地区の区画整理は、戦後復興のために計画された浜松駅周辺の区画整理の一部である。浜松市では、このような都市計画事業を進める場合、地権者に「街づくりの会」を作ってもらうとのことで、このワークショップは、その「高竜街づくり会」の青年部の勉強会という位置づけで開催された。
 ワークショップを行う以前から、勉強会の取り組みはあったが、いつも同じ話で始まって同じ話で終わるという感じで、区画整理に対して自分たちの意見をまとめるには至らない状況であった。しかし、2005年3月に仮換地が迫り、地権者の間に焦りの色が出始めた頃、浜松まちづくりセンターの大和田清隆さんが勉強会に参加し、ワークショップという手法を紹介したことで話が進み、大久手計画工房の伊藤雅春さんに実施を依頼して、ワークショップが開催されることになったという。
 このワークショップの実施にあたっては、市施行の区画整理事業にもかかわらず、市から一切お金は出ず、勉強会の費用と日本都市計画家協会からのアドバイザー派遣制度を利用して、資金を捻出した。

・ギャラリートークは、「街の魅力づくりワークショップ」と題された高竜地区の実践について、次のようなプログラムで、ワークショップ的に進められた。
 ステップ1:高竜地区にまちづくりワークショップを仕掛けた理由
       浜松まちづくりセンター 大和田清隆さん
 ステップ2:『街の魅力とは何かを考える』まちづくりワークショップの概要
       大久手計画工房 伊藤雅春さん
 ステップ3:高竜街づくりの会青年部がまとめた「浜松で一番住みたいまち高竜」計画
       高竜街づくりの会青年部 足立陽詳さん
 ステップ4:まちづくりワークショップの成果と今後の展望
 ステップ5:質問提案何でもポストイット
 ステップ6:会場全体でポストイットトーク

・高竜地区の「街の魅力づくりワークショップ」は、予算や時間の都合で、2003年12月から2004年2月にかけて3回だけ行われた。当初は、街の将来像のコンセプトがまとまればよいと考えていたが、青年部のがんばりもあって、図面にまとめるところまで行えた。この地区の地権者は約4〜500人、青年部の会員は約20人だが、ワークショップには、平均すると各回50人ほどが参加した。
 第1回(12月13日)では、まず自己紹介で、地図上で自分の住まいにシールを貼り、「どんな街が魅力的だと思いますか?」「この街にあって、他の街にないものは何ですか?」を発表しあった。次に、高竜地区の人口と出来事が記入された「まちづくり年表」に、みんなで各自の個人的な出来事や覚えている出来事などを記入した。そのうえで、グループに分かれて、いつ頃の時代に戻りたいかを基準として、その時代の人口を根拠に「2020年の街の人口目標設定」を行い、そうなるための「変身キーワード」を考えて発表した。
 第2回(1月25日)では、まず、第1回で出た「変身キーワード」をもとにまとめた8つの「まちづくりキーワード」を確認した。次に、グループに分かれて、そのキーワードを実現するためのプロジェクトを、予め準備された選択肢から各自が選んで、それを発表しながら自己紹介を行った。そのうえで、各自が選んだプロジェクトを「まちづくりプロジェクトカード」から選んで、それを実施したい位置に地図上で貼って、グループの「まちづくり計画提案」とした。
 第3回(2月28日)では、第2回で6つ出てきたグループ案を青年部で1つにまとめた案を、まずは説明して、参加者に現在住んでいるところと青年部案のなかで住みたいところにシールを貼ってもらうという、「お試し申し出換地」を行った。また、その場でアンケートをとった結果、「青年部案を今後のまちづくりのタタキ台としたい」が18票、「どうしても納得できない点があるので修正したい」が4票、「青年部の案としたうえでもっと多くの地権者で案を練り直す」が13票、「絵に描いた餅であり実現するとは思えない」が0票であった。そのうえで、グループに分かれて、青年部案に追加したい提案を図面上で出し合って発表し、ワークショップの全工程は終了した。
 今後は、第3回での追加意見などをもとに修正した青年部案をもとに、「誰の土地をどう動かすか」という具体的なレベルの「住民意向調査」を行うそうである。その調査にあたっては、市も発送などで協力するとのことであった。

・ここでは、青年部案の詳細には触れないが、役所とコンサルが描いた図面に従って、地権者と個別交渉を行うのに比べ、多くの当事者が一度に顔を突き合わせて練り上げたという効果は十分に見受けられる内容である。単純なオフィスやマンションの高層化ではなく、どうしても低層住居に住み続けたいという声も活かして、低層地域もできるだけ現在地から動かさないように混在させてある。
 また、青年部の人たちの話では、例えば、青年部案にあるマンションは誰が施工するのかといった、以前には聞かれなかった具体的な話が地権者間で交わされるようになり、ワークショップが地域のコミュニケーションをとるのに役立ったことを認めている。当初はワークショップという言葉を聞いたこともなかった青年部の人たちが、それぞれの特技を活かしながら、6つのグループ案を青年部案に集約する作業を自発的に行ったり、毎回のワークショップ後に「温故知新 かわら版」というニュースを自分たちで作って配布したりしたことも、ワークショップを行った大きな成果だろう。
 一方、今後課題があるとすれば、ワークショップに参加していなかった地権者や周辺住民の理解をどのように得ていくか、事業採算やマンション施工主体の確保など実現性の点で問題がないかを明らかにできるか、などがあるように思われる。

・このワークショップは、わずかに3回(1回2時間半)ということで、大変厳しいスケジュールであったと思うが、にもかかわらず図面に表現して、それを評価するまで行えたところは、さすが大久手計画工房のノウハウである。
 筆者は、もちろん現場は見ていないのだが、自己紹介のなかで合わせて意見を言ってもらったり、準備したカードや選択肢から選んでもらったりすることで、短い時間でも具体的な話に入っていけるような工夫がなされており、テンポのよいワークショップの光景が想像できる。

・以上、ギャラリートークについて紹介したが、展覧会の期間中は、大久手計画工房が取り組んできたまちづくりワークショップが、惜しげもなく展示してある。
 小物類として、まち歩きで写真を撮る際に対象物を明らかにする「指差し棒」「額縁」「自分の分身(ダンボールを切り抜いたもの)」、街頭インタビューを行いやすくする「腕章」「マイク(本物ではない)」、投票を楽しくする「招き猫型の箱」などが展示してある。
 また、実際のワークショップを紹介するものとして、丸池第二期ワークショップ、三愛ホームワークショップなどが展示されている。
 それから、ワークショップへの期待と不安を、「花びら」(期待)と「葉っぱ」(不安)に見立てた紙に記入して、木の枝に見立てた模造紙に貼る「期待の木、不安の木」が、この展覧会をテーマに、来館者に貼ってもらう形式で展示されている。
 その他、高竜地区のワークショップで実際に配布したものを机に並べて臨場感を演出したり、これまで大久手計画工房が携わったワークショップの報告書が陳列されたりしている。

 高竜地区ホームページ
 浜松市ホームページ 浜松まちづくりセンター
 大和田清隆さんのホームページ
 大久手計画工房ホームページ
 OM研究所ホームページ

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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