市民参加・協働のまちづくり
| おおたパートナーシップ会議 大田区長に答申 |
2004/3/26
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・2004年3月24日(水)午後4〜5時、大田区役所区長室にて、おおたパートナーシップ会議の答申が行われた。
おおたパートナーシップ会議は、正式には「区民活動との連携・協働に係る基本方針等策定検討会」という。これまで区などの行政機関が大半を担ってきた公共活動を、区民活動団体(NPOや自治会・町会など)や企業も行うようになってきた現状を踏まえ、それぞれの活動が重なり合う領域において主体間の連携・協働を進めることで、よりよい公共活動が展開されることをめざす基本方針の案を示すのが、会議の目的であった。
委員は、公募委員4名、区民活動団体5名(うち1名は町会長)、企業1名、学識経験者1名、区職員3名の計14名で構成されていた。筆者は、大田区に在住しており、「未来につなぐ大田まちづくりの会“まち丼”」という団体で活動している。この会議には、公募委員として入り、副会長を務めていた(2003年10月の会長の途中退任後は、会議の進行、作成文書の最終確認、事務局との連絡調整など、会長的な役割を務めた)。
・おおたパートナーシップ会議は、2002年11月に発会式を行って始まった。その後、12月からおよそ月1回のペースで会議を重ね、途中2003年10月の「中間のまとめ」を経て、この3月に答申の運びとなった。「中間のまとめ」までに13回、以後に6回の合計19回の会議を行った。また、区民活動団体の活動の実態と「連携・協働」への期待を知るため「区民活動フォーラム」を実施したり、「中間のまとめ説明・討論会」を行ったりした。
この会議の運営では、委員が主体的に役割を担った。会議録や事務的な資料こそ事務局(区民生活部区民活動担当)が行ったが、会議の進め方も自分たちで話し合って決め、答申などの各種文書も委員が分担執筆した。答申の執筆などは、事務局にやってもらう選択肢もあったのだが、誰からともなく自分たちでやろうという話になり、起草担当者が書き分けたものを、会議の場やメーリングリストを使って全員でチェックして練り上げていった。
時間的な限界もあり、答申文中には重複箇所などもあるのだが、表現は多少粗削りでも、委員が言わんとしたことは、十分に盛り込めたと考えている。
・詳しい内容は、大田区のホームページに掲載されたら、ぜひご覧いただきたいが、章立ては次のようになっている。
序章 連携・協働の必要性と基本方針策定の目的
第J章 連携・協働のあるべき姿
第K章 連携・協働の推進における各セクターの役割
第L章 連携・協働の推進に向けて
付章 区民活動支援拠点のあり方
終章 連携・協働とこれからの区民生活・地域社会
第L章が、連携・協働を推進していくための方策について述べた箇所で、情報、場所、モノ、人材、交流、コーディネート・相談、資金、事業開発など、連携・協働を推進する様々なタイプのシステムや、その前提となる区民活動をエンパワメントする仕組みについて論じている。今後、この答申をもとに、区で仕組みが整備されていくうえで、いわば核となるのが、この箇所である。
・しかし、実を言うと、私たち委員が最も思いを懸けた箇所は、終章と言ってよいと思う。
第L章を含む序章から付章までは、「中間のまとめ」の時点で概ねでき上がっていた。2回にわたる「中間のまとめ説明・討論会」でも、参加してくださった約130人の区民の皆さんから寄せられたのは、「熱い思い」をもっと盛り込んでほしいというものであった。「連携・協働」というテーマは、言うまでもなく、区民活動に携わる人をはじめとする区民一人ひとりがその気にならなければ、成果の現れないテーマである。
そういう意味で、「中間のまとめ」時点では、区、区民活動団体、企業など公共活動を展開する側、単純に言い切ってしまうと、「供給者」的な立場ばかり考えた記述になっていたのである。例えば、「連携・協働の必要性」も、財政難で多様化する区民ニーズへの対応が苦手な区、いつも資源不足に悩まされている区民活動団体、地域とのきっかけがつかめない企業といった供給者たちが、いかにそれらの課題を克服するかについて述べていた。
しかし、本来、「連携・協働」は、区民生活や地域社会を豊かにするからこそ必要なはずである。区民の皆さんの指摘をもとに、そのことに気づかされた委員の議論は、「中間のまとめ」以降、最も熱を帯びた。その成果である終章では、区、区民活動団体、企業が「連携・協働」しながら展開している公共活動の場に、思いを持つ一人ひとりの区民が「ふっ」と足を踏み入れることで、よりよい社会を築いていこうとのメッセージを込めてある。
第L章では「方策(仕組み)」について論じたが、この終章では、委員が体験した実例を「きっかけ(仕掛け)」として示すことで、「連携・協働」に参加することは決してハードルの高いことではないし、区民活動団体などの側もそのような「きっかけ」を提供していくことの重要性を述べている。最後に、「連携・協働」の社会のイメージを、「信頼」と「責任」という2つのキーワードで締めくくっている。
・筆者は、市民参加・協働を応援する活動をしており、公募委員の果たす役割などについて調査・提案も行っているが、自分自身が委員として自治体が設置する会議に参加したのは、これが初めてであった。普段、経験者からの聞きづてや、会議の観察などを通して分析したことが、今回は実体験として確認できた。
その最たることは、やはりこのような会議では、委員の主体性が重要であるということである。先にも述べたように、おおたパートナーシップ会議では、委員自身が会議の進め方を決め、答申も書いた。そのような作業は大変な労力を伴うものであるが、しかしそのような共有体験があればこそ、チームワークが醸成されたと言える。
これが、事務局のお膳立てのもとで進む旧来の会議であれば、最後まで各自が言いたいことを言って終わりであろう。もちろん、立場の異なる様々な人の意見を聞きたいというだけの会議もある。また、チーム意識を持ってしまうことで、異論を言いにくくなってしまわないかとの懸念もあるかもしれない。
しかし、私たちの会議では、最後まで互いにはっきりと主張する空気を保てた。逆に、チームワークができていくなかで、全体の空気や各人が大切にしていることがわかるようになり、どのあたりが合意点になるかが感覚的にわかるようになっていた。議論が深まるためにも、チームワークが醸成されることは効果があるのだ。
・また、「連携・協働」のようなテーマにあっては、一番重要で、なおかつ難しいのは、答申した内容を区民や区職員の間に浸透させていく実行段階である。私たちの会議は、自分たちで議論をするだけで手一杯で、会議の設置期間中に、十分に区民の皆さんと交流する機会が持てなかったことを、筆者は反省している。ただ、この会議で委員を務めたメンバー同士が志を結び合えたことで、答申した内容について、自分たちで率先して行っていこうという思いが高まっている。
すでに委員同士が、互いの活動に参加したり、呼びかけを手伝ったり、自分の持つネットワークにつないで事業の実現に協力したり、といった展開が起こり始めている。そのような実行段階の担い手を生み出すという面でも、会議を通じて醸成されたチームワークは大きな役割を果たしていくだろう。
区長答申後に行った解散式で、委員が口々に言っていた言葉が象徴的であった。「今日で会議は解散ですが、これは終わりの始まりです。今後ともがんばっていきましょう。」
大田区ホームページ 区民活動のページ
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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