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まちづくりニュース

市民参加・協働のまちづくり
大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討開始
2004/3/22


・2004年3月20日(土)午前9時30分〜午後5時30分、大和市役所5階の第10・11研修室にて、大和市自治基本条例をつくる会の第22回全体会議が開催された。筆者は、午後2時から終了まで傍聴した。

・大和市自治基本条例をつくる会は、2002年10月、自治基本条例の策定に向けて、「条例素案」の策定などを行うために設けられた組織で、公募市民26名、学識経験者1名、市職員5名の合計32名で構成されている。また、会議進行のために、ファシリテーターが1名いる。
 これまで、条例に盛り込む内容について検討を重ねるとともに、市民、団体、職員、はたまた市内高校に出向いての説明や意見収集を行ってきた。また、「素案たたき台」ができた今年2月には「自治基本条例フォーラムPart2」を開催し、一方で、委員が直接、議会各会派にも説明を行っている。このように、つくる会だけの議論ではなく、徹底したパブリック・インボルブメント(PI)によって、「条例素案」の策定が行われている。

・今回の全体会議より、PIで寄せられた意見をもとに、「素案たたき台」を「条例素案」に発展させていく作業が始まった。3月20日から4月25日まで毎週1回、午前9時30分〜午後5時の丸一日仕事で全体会議が開かれる。この日、確認されたスケジュールでは、前文を後回しにして、第1条から一文ずつ検討していくことになった。

・この日、筆者が傍聴していた時間帯には、19名の委員が出席していた。
 主に議論になっていた第1点は、第3条にある「市民」の定義をめぐってであった。「素案たたき台」では、「市民」は「市内に居住する者、市内で働く者、学ぶ者、活動するもの、事業を営むもの等」となっているが、「市内に居住する者(=住民)」に限定すべきだと主張する委員が1名いて議論になった。この委員は、PIのなかで、住民に限るべきという意見が多かったこと(但し、住民に限らない方がよいとの意見は、それ以上に多かった)などを、その根拠にしていた。結局、この時点では結論を出さず、他の条文を検討しながら考えることになった。

・主に議論になったもう1点は、同じく第3条にある「市」の定義についてである。「素案たたき台」では、「市民、市議会及び市の執行機関」となっているが、大和市の他の条例では、「市=市の執行機関」という場合が普通ではないかと、委員の1人である法制担当の職員から提起があった。「最高規範性」を志向する条例である以上、自治基本条例での定義が、他の条例にどのような影響を及ぼすのかをめぐって議論が行われた。最終的には、「この条例において」と条文中にあるのだし、他の条例については、用語を変更するまではなく、解釈レベルで対応すればよいのでは、との結論になったように思われる。

・ここで紹介した論点はほんの一例であり、ファシリテーターの方針かもしれないが、一つひとつの論点について、かなり徹底した議論を行う形で進められている。7時間以上に及ぶ会議(しかも、これから毎週末続く)でこの方式をやり抜くには、相当な根気が必要である。

・筆者の感想を、いくつか述べておく。
 「条文」をめぐる議論は、やはりなかなか難しい。上述した「市民」の定義、「市」の定義をめぐる論争では、いずれも学識経験者の委員が議論の相手方となったが、「言わんとすることを条文としてどう表現するか」が、専門的あるいは技術的な作業だからでもあろう。もちろん、「条文の表現」を委員全員で考えることはよいことだが、あまり細かい表現に注力するより、「言わんとすること」を条文解説として表明しておき、細かい詰めは、素案を受けた行政による「条例案」を見ながら行うのでもよいのではないかと思った。

・それは、「言わんとすること」のレベルで、まだ詰めきれていない箇所も見受けられたからだ。例えば、前文に「参加と協働を基調として、自立した自治体を目指していきます」とあるのだが、「参加」と「協働」の違いが明確でなく、第3条でも「協働」の定義はあっても「参加」の定義はない。大和市の場合、2002年に先行して制定された「大和市新しい公共を創造する市民活動推進条例」があり、「協働」という言葉が、市民及び市民団体、事業者、市といった、異なる主体が「事業」ベースで協力・連携する意味で使われているように思う。従って、「参加」の方は、市の執行機関による「権力の行使」に参加することとするのがよいのではないか。つくる会では、「市民参加条例」を別に制定することを提起しているようであるし、「自治基本条例」のもとで「参加条例」と「協働条例(市民活動推進条例)」が両輪となるイメージにも合うと思われる。

・また、かなり徹底したPIを行っていることは紹介した通りだが、その意見の扱いについて気になった。PIで出た意見を尊重するのは当然だが、あくまで短い時間で説明を聞いて、議論などを経ずに個々人が思っていることを表明しただけのものも多いと思われる。なかには、誤解しているだけのものもあろうし、議論すれば意見が変わるものもあると思われる。つまり、そのような様々な意見の存在を知ったうえで、様々な人たちが納得できるような議論を深めるのが、つくる会の役割であるので、その意見を言った人の真意もわからないまま、委員が自分の意見への賛成票のような扱いをすることは慎まなくてはならない。

・そのこととも関係するが、新しい制度をつくる、特に法律や条例をつくるというのは、とても創造的な作業である。その作業を通して、新しいルールだけでなく、新しい概念も生み出すことになる。
 先に紹介した、「市民」の定義をめぐる議論は、整理すると次のような構図になる。


 筆者は、この議論に口を出す筋合いはないので、どちらがよいとも言わない。但し、委員の誰かが言っていた、「市民=住民と一般感覚的に思っている人が多いから」というのは、あまり理由にならないと思う。それは、「○○町」の住民が、自分たちを「市民」とは思わず「町民」と思っているという程度の感覚だからである。「市民」という概念は、「市民革命」が指す「市民=ブルジョワ」とも異なるし、新しい概念なのである。かつて「民衆」という言葉で表現されていたものの、リニューアルと言ってよいかもしれない。
 ともかく、新しい制度をつくる際には、新しい概念も生むことになる。つくる会という場は、委員同士が議論することを通じて、これまでにはなかったが、これから必要になる新しい概念を創造しようという場なのである。「市民」という概念は、自治基本条例にあっては要である。自治基本条例そのものが新しい概念であることを再認識したうえで、条例に合った「市民」という概念づくりに取り組んでほしい。

・あと、会議が長丁場に及ぶこともあり、第三者として入っているファシリテーターも疲れるのではないかと思われる。もう一人くらい第三者を、委員の輪の外にも配置して、ときどき冷静な立場から議論の構図を整理して示し、ヒートアップしがちな会議をクールダウンするような工夫があってもよいかもしれない。

 大和市ホームページ 自治基本条例策定に関するWEBサイト

「大和市自治基本条例をつくる会 条例素案の検討終了」「大和市自治基本条例案が市議会総務委で修正可決」大和市自治基本条例修正案が市議会本会議で可決」「自治基本条例の『自治体の憲法』としての論点」「大和市自治基本条例施行シンポジウム開催、つくる会も終了」もご覧ください。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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