市民参加・協働の手法
ワークショップのエッセンス
ワークショップを簡単に言うと・・・
ワークショップは、誰にでも開かれていて、誰でも対等に参加できる会議です。そのため、参加者が多くなります。
ただ、多くの人が参加しても、声の大きな人や話し好きの人だけが発言するのでは、多くの人が参加する意味がありません。
そこで、参加者が持っている情報や意見を出し合い、話し合うなかで結論を出すのに関わっていけるような工夫が必要になります。
1つめは、議題を漠然とではなく明確に設定し、参加者の力を結集できるようにすること。
2つめは、限られた時間のなかで、全ての参加者が情報や意見を出せるようにすること。具体的には、グループに分かれての討議(1グループ8名まで)、付箋(ポストイット)を使った意見出し、タイムキープしながら順番に発言などです。
3つめは、出された意見を大切にし、議論の過程を明確にするため、記録をとること。みんなから見える位置に貼った模造紙に記録することもあれば、参加者各自が付箋に書き出すこともあります。
ワークショップには、単発的に開催されるものと、継続的に開催されるものがあります。
単発的なものは、計画づくりなどの初期に情報を集めることや、計画案ができた後に意見を聴くことが、目的となる場合が多いでしょう。
継続的なものは、複数のワーク(作業)を積み重ねながら、自ら計画案や公園の設計案をつくっていくことが、目的となる場合が多いです。
ワークショップと言うと、何かやたらと紙に書かされるイメージがありますが、基本はやはり“しゃべる”ことです。口に出して話し合う時間をとらないと、「言いたいことを話す機会がなかった」という不満が必ず残りますので、注意してください。
ワークショップには、「○○法」(KJ法など)とか「△△ゲーム」(デザインゲームなど)といった、様々な技法が存在しますが、たくさんの技法を覚えることが大切なのではありません。
同じ技法でも、参加者の構成や雰囲気、運営側のスキル、時間や予算の制約などによって、実際の使われ方は異なります。ファシリテーション(議論の手助け)のポイントや企画の仕方、技法の選び方といった“エッセンス”を理解することが、様々な状況に対応してワークショップを使いこなすためには、もっと大切なことです。
ファシリテーションのポイント
ワークショップは、中立なファシリテーター(進行役)が進行します。ファシリテーターは、議論の内容に意見を述べたり、結論を出すのに加わったりするのではなく、参加者が議論をしやすいように手助け(ファシリテーション)します。
よく、議論の「内容」には中立だが、「プロセス」を管理する役だと言われます。
具体的には、下図のような役割をします。普段の会話や普通の会議でも、話が脱線したときに議題を思い出させてくれたり、議題を明確にしたり論点を整理したりする「役回り」を自然にこなす人がいますが、それを明確な「役割」としたものがファシリテーターです。
また、ファシリテーションで大切なことは、「対話」を促すようにすることです。
「対話」は「会話」とは異なります。「会話」は目的がはっきりとせず、結論が出なくても構いませんし、“なあなあ”の雰囲気に終始することも多いでしょう。一方、「対話」は、意見の違いに注目し、論点を明確にして、互いの意見を尊重しながら結論を探ることです。
条例案や計画案、公園や会館の設計など、目的を持って行われるワークショップで必要なのは「対話」です。
そのため、ワークショップでは、どんな意見とどんな意見をめぐって議論しているのかを、折に触れて、明確にする必要があります。具体的には、予め示された案があれば、それが「原案」となり、異なる意見が出れば、それが「対案」となって、「対話」のカタチが成立します。予め案を示さなくても、議論のなかで、最初に示された意見を「原案」と位置づけ、それへの異なる意見を「対案」とすれば、「対話」となって議論が促進されます。
企画の仕方、技法の選び方
ワークショップも、問題解決のために行われる会議の1つの形です。条例案や計画案をつくる、公園や会館を設計するなど、様々なテーマで用いられますが、企画の仕方は、かなり共通化できます。まずは、問題解決に共通する、次の3段階に分けて考えることです。
次に、ワーク(作業)のタイプに合わせて、適切な技法を選びます。(1)[現状の問題点]では、事例報告をじっくりと聴く場合と多くの情報を付箋(ポストイット)などで出し合う場合があるでしょう。(2)[ビジョン、コンセプト]では、各自の意見を付箋に書き出して、共通点や相違点を整理しながら、多くの意見を包括できるような結論を導くことが多いでしょう(個別→包括)。(3)[具体的方策]では、コンセプトに沿いながら、予め準備した選択肢から方策を選んだり、独自に方策を考案したりします(抽象→具体)。
例えば、公園の設計をするワークショップであれば、次のように当てはまります。
(1)[現状の問題点]
・公園予定地の現地調査…調査票を持って予定地の特徴を調べる。
・地域にあるもの・ないもの…「子どもが遊べるところ」「大人がくつろぐところ」などを地域地図に付箋で貼り出し、地域に何が足りていて・足りていないかを確認する。
・地域の気に入っていること・気になっていること…話し合って、記録をとる。
(2)[コンセプト、ビジョン]
・「○○が△△できる公園」「□□な公園」という文型で、公園のコンセプトを付箋に書き出し、似たものを分類する。分類をもとに、ファシリテーターなどがコンセプトの候補を示し、追加・修正・削除して、公園のコンセプトを導く。
(3)[具体的方策]
・公園のコンセプトに沿いながら、公園内に具体的にあるとよいものや場所を、「○○が△△できる□□(もの・場所)」という文型のカードに書き出し、公園図面のふさわしい場所に配置する。貼られたカードを調整しながら、公園内をゾーニングする。
・遊具や植栽の絵が描かれたキットを使って、それぞれのゾーン内の配置を検討する。予算枠と個々の遊具等の金額が示されていれば、予算も考慮した設計ができる。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
|