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都市計画関連のまちづくり まちづくり制度改革プロジェクト 景観法案・市民版パブリックコメントに寄せられたご意見 景 観 法 に 対 す る 見 解 2004年4月23日 新建築家技術者集団 政策委員会 景観法案が国会へ上程されました。成立すると、建築の設計に際し準拠すべき基本的な法律は都市計画法、建築基準法に新たに景観法が加わり、直接的には景観計画区域では形態,色彩等の意匠が規制されることになります。法案概要と法文案が公表されてから政策委員会で検討してきましたが、ここに委員会の見解を発表します。なお、委員の中には今回の立法自体に反対の意見もあります。 【見 解】 全国各地の個性豊かな都市景観が失われ、画一化して現在の混乱した様相を招来した大きな要因は、住民の願う確かな将来像をもたず、もっぱら経済効率優先の論理にまかせて勝手な開発・建設事業を容認し、時には促進してきたことであると言えます。 一方、これまでの都市計画法、建築基準法は全国一律であり、地域に即した規制の困難性も心ある人々から指摘されてきました。法定都市計画は市街化区域、同調整区域の線引き、用途地域等の色分け、容積率、建蔽率等の数字で抽象され、住民にとって具体的な空間像を想像しにくいものです。町並みや地域の生活空間を生み出す建築も、建築基準法の集団規定は各種の斜線制限で保健衛生面の最低条件確保が目指されたものであり、良好な景観を形成するには限界がありました。これに対し全国の相当数の自治体が景観に関する自主条例を制定してきましたが、近時、後ろ盾となる基本法が求められてもいました。したがって、地域に固有な景観の保全、回復と新たな創造、形成を目指す景観法を制定することは、それなりに意義あることといえます。また、本法案の元になったといわれる「美しい国づくり政策大綱」は、国立マンション問題の宮岡判決がきっかけになったものと考えられます。その意味で本法案の背景には国立をはじめ各地の、景観を守ろうとする住民運動があるといえます。しかし法文(全7章107条)には多くの問題と限界を含んでおり、見過ごすことはできません。以下、その問題と限界を指摘し、改善を要求するものです。 1, 第2条(基本理念)が不十分である点 第2条(基本理念)は5項から構成されているが各項とも「良好な景観は」で始まる文章である。このような基本法ではまず最初に「景観とは何か」が定義されなければならない。本法案で「景観」とは何を指すか定義し、その上で「良好な景観」とはいかなるものか、「良好な」と判断する基準は何か、判断する主体は誰か等が書かれるべきである。 たとえば第2条3項に「良好な景観は、地域の固有の特性と密接に関連するものである〜」とあるが、そもそも景観は良好であろうとなかろうと「地域の固有の特性と密接に関連する」ものである。したがって,「良好な」というのはどのように判断するかが問われるわけであるが,案文のように「地域住民の意向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するよう、その多様な形成が図られなければならない。」というだけではその判断に恣意的な解釈がいくらでも入り込む余地が残されている。「地域住民の意向を踏まえ」は重要な文言であることには違いないが,ただ「意向を踏まえ」というのでなく,地域住民が何をもとに自らの意向を表明するかというところに明確な基盤を提示する必要がある。 そこで、第2条(基本理念)の最初に「景観は、地域の自然,歴史,文化等と密接不可分であることにかんがみ,良好な景観の基準はそれらを総合した地域の特性の地域住民による評価によらなければならいないこととする」といった内容の文章が必要である。「地域の自然,歴史,文化等」は人々が地域で生活する以上,誰にとっても共通の基盤である。判断の基準としてそれらを総合する方法はそれぞれ地域の事情により異なって当然であるが、判断する主体は地域住民であることを明記すべきである。 2,まだ中央集権的・上意下達的な考え方が残っている点 たとえば上に引用した第2条第3項でも、計画にあたっては「地域住民の意向を踏まえ」などの表現はあるが、条文中にはまだまだ中央集権的・上意下達的な考え方が強く残っている。 都市計画法では都道府県の権限が大きいが、本法では政令指定都市(人口50万以上)、中核市(人口30万以上他)、その他の市町村であっても知事の同意により「景観行政団体」となり、計画,実施権限をもつとしたのは法の性格からしても当然のこととして評価できるのであるが、たとえば第8条4項で、景観計画に全国総合開発計画、各圏整備計画等「国の計画との調和が保たれるものでなければならない。」としている点は問題である。一方的に国の計画との調和を図るのでなく、少なくとも地域の景観計画と国の計画の双方が歩み寄るのが筋であろう。 また第79条1項で、国土交通大臣は市町村長に「期限を定めて、必要な措置をとるべきことを指示することができる。」、同2項で、市町村長は大臣の指示に「したがわなければならない。」、同3項で、従わなければ大臣は自ら「必要な措置をとることができる。」と念入りに明記している点は、市町村自治への不当な介入になるおそれがある。この79条の趣旨は市町村が怠慢である場合の是正となっているが、市町村にはそれなりの判断があるし、常に大臣が正しいとは限らないのであるから、一方的に「指示」するのでなく「協議」すべきではないだろうか。十分な取り組みのできない市町村への援助については別に配慮すべきである。 事務手続以外に後述するように、市町村に委ねるべきと思われる面積や指定基準など政令、省令によるとするものが多々ある点も問題である。 3,住民の計画参加権利が明確に保障されていない点 住民の計画参加権利は明確に保障しておらず極めて限定的で前進がみられない。たとえば景観計画策定の手続(第9条)では「・・あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとする。」、同条7項において、手続に関して「条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。」 とあり、“よきに計らえ”的な内容である。この条文は都市計画法(第17条の2、第18条の2)と同じ表現であり、住民の計画参加の権利を明確には認めておらず、不十分である。 一方、一部の住民等による提案(第11条)を認めているが制限は大きく限定的である。先の景観計画対象区域内の土地所有者等か、まちづくり関係のNPOのみがその区域内の政令で定める規模以上の一団の土地の区域について条件(所有者等の同意と土地面積ともにその区域の2/3以上)付きで計画提案ができるとしているが、行政側の応答義務を含め、これも都市計画法(第21条2〜5)と名称以外は同文である。第6条「住民の責務」では「良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努める」とし、都市計画法より強く責務を課しながら住民の提案する権利の新たな拡張はない。 また、第19条等では景観計画区域内の良好な景観の形成に重要な建造物や樹木を「景観重要建造物」、「景観重要樹木」として景観行政団体の長は指定できるとあるが、これは「省令で定める基準」によるとし、住民側の指定の提案権は所有者だけである。重要文化財、天然記念物は別の法律での指定である。所有者の同意が前提であるから全住民に提案権を保障できない理由はないはずである。 4,「景観整備機構」に関する疑問および改善要求 「景観整備機構」(非営利団体−第94条に業務規定)なるものの役割・権限が異常に大きいと思われる。景観協議会(第15条)を組織できるのは行政団体、公共施設管理者とこの機構の三者のみである。この協議会に住民その他を「加えることができる。」が加える義務はない。また、この機構は行政に対し第20条で景観重要建造物、第29条では景観重要樹木の指定の提案ができ、第36条では双方の所有者と、行政と並んで協定を結び管理できるとしている。さらに第57条では農地法の特例を受けて、景観農業振興地域整備計画に従って利用されてない土地を市町村長の指定によりこの機構は所有権、使用・収益権を得ることができるとしている。 このように大きな権限を持つ組織について、必要条件等を明記せず、単に景観行政団体の長が「業務を適正かつ確実に行うことができると認め」ればよいというのは問題である。官僚の「天下り」組織になるおそれがある。少なくとも、資格要件等を明示し,公正に認定されるようにすることが必要である。 以上から本法案は、自治の主体たる住民の計画する権利を明確には認めず、中央集権的思想を残存し、景観整備機構なる行政の代行機関ともいうべき組織に過大な権限を与えるなどいくつかの問題点があると思われます。市町村の一部の顔づくりはともかく、住民に身近な小景観・生活空間から全域わたる大景観まで、真に良好な景観を形成し、まちづくりと統合した生活環境の向上を目指すには大いなる限界と問題を含むものであり、それらの諸点の改善を要するものと考えます。 (以上) 景観法案・市民版パブリックコメントに寄せられた他のご意見へ 景観法案・市民版パブリックコメントへ |
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