まちづくり支援 東京ランポ 東京ランポは、市民主体のまちづくりを支援する非営利団体です。
http://www.la-npo.org/
ホーム | ランポを知る | ランポの活動・主張 | ランポに参加する | ランポに依頼する | そのほか
事業報告


都市計画関連のまちづくり 次世代都市構想研究会
第4回次世代都市構想研究会 議事要旨


日時:2002年7月13日(土) 14:00〜17:30  会場:東京ランポ事務所・地下会議室
参加者(12名):浅野幸子、蔵方博史、K、〆野啓子、野田哲平、松宮綾子、横山大輔【一般】
          佐々木貴子、庄嶋孝広、辻利夫、早川淳、山内洋【理事、スタッフ】
必読テキスト:『コンパクトシティ−持続可能な社会の都市像を求めて』(海道清信) 学芸出版社

テーマ:コンパクトシティ
コンパクトシティ(1)  報告者:蔵方 博史(都市計画コンサルタント)
 1987年の”Our Common Future”でサステイナブル・ディベロップメント(以下SD)の考え方が示され、それを実現する都市像として、1990年にEUによりコンパクトシティ(以下CC)が示された。SDの命題は、@自然環境の保全、A生活の質の向上、である。CCの特性には、自動車だけに依存しない、人口・住宅密度が高い、市街地の境が明確、多様な居住者が公平に必要な場所にアクセスできる、などがある。また、CCに期待される効果は、環境性(地球的規模、地域的規模)、社会性、経済性に及ぶ。「コンパクト=高密、移動時間が短い」だけではなく、多様な指標での評価が必要である。
 CCは、アーバンデザイン(以下UD)の手法で、専門家と住民等が対話しながら実現される。「デザイン」は、いまある課題に対処する「計画」と違い、新しいものを作り出す行為である。また、UDは、住民参加やイベント・祭りなどソフト面も含む。イギリスでは、課題−戦略−目的−方針からなる計画主導システムがあり、CC(課題)は、UD(方針)で取り組まれている。

コンパクトシティ(2)  報告者:K(都市計画コンサルタント)
 テキストのなかで、都市規模に応じたCCの3つのモデルが示されているが、規模だけでなく、都市の成り立ちといった歴史性も考慮する必要がある。東京のような大都市でCCを考えるなら、多摩などにもコンパクトな市街地が必要で、それら複数のコンパクトな市街地が、多心的・段階的になって、東京圏全体を構成する必要がある。ただし、各市街地が自給自足的であることはなく、広域連合を組みながら運営する必要がある。
 一方、日本の農村の現状を見ると、車に完全に依存しており、農村地域でCCができるかは疑問。また、大都市になるほど複雑になるが、CCの適正規模や、都市をどのようにコントロールするかといった課題がある。国立市や狛江市は、市域を自転車でグルッと回ることができ、生活圏と行政区域が一致しているという点では、CCを考える題材としてはよいかもしれない。

神戸市におけるコンパクトシティ構想  報告者:浅野 幸子(東京都生協連職員)
 神戸市は大都市だが、六甲山が後ろに迫っていて市街地が狭いこともあり、CCの考え方が当てはまりやすい。自然、都市、観光など、もともと狭い範囲にいろいろなものが集まっているのを生かしていける。CCが市民権を得ているわけではないが、震災復興の目的に掲げられたこともあり、CCを理解しているリーダーが市全域にいることは確か。
 阪神大震災後に感じたのは、意思決定の規模が重要であるということ。震災後の区画整理では、昨日まで東灘区にいた職員が、今日からは長田区に来るというように、地区の事情を知らない人が担当せざるを得なかった。行政区に権限がないため、市民の矛先は常に神戸市に向くしかない。行政区が権限を持っている方が、市民としては対話がしやすい。

参加者同士の議論
サステイナブル・ディベロップメントがなぜコンパクトシティにつながるのか
・イギリスの場合、既成市街地が空洞化するインナーシティ問題が大きかったのでは。また、海外からの労働者が住める空間を、既成市街地に作り出す必要性があったと言える。
・温暖化で水没してしまう島では、他国への移住をお願いしている。地球環境問題の深刻さが原動力になっているのを感じる。
・地方自治、分権の流れが大きい。課税権を持って、住み続けられる環境を自らつくっていく。
・20世紀型の成長型社会や中央集権的な統治システムに対するアンチではないのか。
コンパクトシティの前提としての都市間連携
・CCは、ヒューマンスケールとコントロール可能性が必要。つまり、適正規模がある。
・より大きな経済圏としては、東京都市圏として一体化していても、日常生活やコミュニティ活動はもっと狭い単位で行い、市民はそこに責任を持つ。また、経済活動についても、東京都心でやる必要のないものは、周辺区や多摩地区に点在するコンパクトな市街地で行える。
・コンパクトな市街地が多数独立的にあっても、それらの広域連合で効率性は克服できる。
・CCは、各都市に自給自足を求めるものではなく、全体でバランスをとるもの。1都市だけが人口密度を高めても、他が衰退しては意味がなく、人口を抑制して全体に寄与することも必要。
生活圏とコンパクトシティ
・生活圏を考えないで物理的な線を引いても、CCは成立しない。
・「近隣」とは、人がつながれる範囲、見て把握できる範囲。「生活圏」というと、近所、駅前、数駅先の街など、点と点の関係になってしまうのが実態ではないか。
・近いところで何でも揃う生活圏をたくさんつくっていくのが、CCの考え方としては大事。
・日本の場合、CCの背景には高齢化がある。遠くまでは行けないので、小さな生活圏が必要。
中心市街地活性化とコンパクトシティ

・自分の場合も、行動範囲は、家−駅−会社だけから、自宅から広がる生活圏になっている。地域社会への回帰は起きているという実感。商店街も、生活圏の人を相手に商売できるか。
・多摩地区では幹線道路にショッピングセンターができると、商店街は衰退する。狭隘道路に面してやっているような商店街だけが生き残っている。
・中心市街地に多様な魅力を見つけ、引き出すためには、多様な人が関わらなくてはいけない。
・市場の流れがあるので、全てを政策誘導して、例えば業種まで誘導するのは難しいのでは。
都市のコントロールと近隣政府
・政策誘導といっても、誰がその政策をつくるのか。市民自身がつくらなくては意味がない。
・近隣政府は、ニューヨークで、1960年代のリンゼー市長時代に打ち出されたもの。結局は、事務作業が増えて、財政難になってしまった。ただ、ニューヨークには、いまでも59のコミュニティ委員会があり、市長がコミュニティ委員を任命する。市予算や都市計画、建築規制について、コミュニティ委員会がまず審議してOKしないと、市長まで上がらない。
・大田区にも「わがまち委員会」というのがあるが、予算要求はできず、区政について上から下に伝えるだけの仕組みになっている。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
[ ページの先頭に戻る | ホームに戻る ] ( 更新)
まちづくり支援・東京ランポ copyright(C) Tokyo LA-NPO 2003 All Rights Reserved.
当サイトに掲載された記事・写真・図表等の無断転載を禁止します。詳しくは「このサイトについて」をご覧ください。