まちづくり支援 東京ランポ 東京ランポは、市民主体のまちづくりを支援する非営利団体です。
http://www.la-npo.org/
ホーム | ランポを知る | ランポの活動・主張 | ランポに参加する | ランポに依頼する | そのほか
事業報告


理事会提出資料(2005年7月9日)
2005年度上半期(1〜6月) 事業詳細報告 (庄嶋担当分)


<活動支援>

○相模原市パートナーシップモデル事業相談(委託:100万円 04年4月〜05年3月
                             
/委託:100万円 05年4月〜06年3月)
 「さがみはらパートナーシップ推進指針」に記載された、市民参加や協働によって実施されるモデル事業の相談を受けるもので、主にワークショップ関係を担当した。
 一昨年より行われていた、愛川線TDM(交通需要管理)ワークショップが3月で終了した。このWSは、愛川線の朝夕の交通渋滞を、交通量の抑制によって解消する方策を考えるもので、沿線住民らが毎回20名前後参加して9回行われた。このWSなどを通して作成したTDM方策を国土交通省に提示し、補助金を得て社会実験を行うことを目指している。各回のプログラム作成の相談を受けるとともに、アドバイザーとして可能な限り出席した。
 2月には、「さがみはらパートナーシップ推進指針」に基づく市政運営の浸透を図る目的で、職員向け「パートナーシップ研修(入門編)」の講師を担当し、市民参加・協働の理念や制度について説明した。アンケートによると、良い評価をもらえた模様で、次は手法(ワークショップなど)に関する研修をしてほしいとの要望が多かったという。
 6月には、新たに取り組む2つの公園づくりワークショップについて、プロセス設計やプログラム設計の相談を受けた。1つは、移転して広くなった公園の一部に設ける、ニュースポーツ(3on3やスケボーのような少人数で行うスポーツ)ゾーンの設計を、若者たちの参加を得て行うWS。もう1つは、文化センター跡地を街区公園として整備するため、地元自治会などによる運営委員会が中心となって行うWSである。

○相模原市「実践!まちづくりワークショップ講座」(委託:12万円)
 相模原市では、「さがみはらパートナーシップ推進指針」に基づいてワークショップが増えていることから、今後WSが予定されている施策に関わる、職員と市民の両方に受講してもらうWS講座を、1〜3月の4回にわたり実施し、講師を務めた。
 いつものWS講座と同様、演習を主体とした内容であるが、上記の文化センター跡地の街区公園WSの関係者が多く参加していたことから、当該地を題材としてより実践的なものとした。近隣地域には、別の街区公園と子どもセンターが整備されるが、そちらの関係者も参加した。
 WSらしいにぎやかな雰囲気で進み、担当職員にも好評だったが、市民の参加者はシニア層が多いこともあり、講座で学んだことをWSの運営にすぐに活かせるかは未知数。

○相模原市パートナーシップ助成制度審査会(謝礼:2万円=1万円×2回)
 相模原市では、昨年度から、NPO、地域団体、企業、大学などが協働によって実施する事業に対して、上限30万円で事業助成を行う制度を導入した。今年度は2回目であり、6月に公開提案会と審査会が実施された。昨年度に引き続き、審査員を務めた。
 助成総額が、昨年の100万円から200万円に倍増したが、申請団体は10団体から9団体に減った。単なる事業助成ではなく、協働相手を必要とする助成であること、地域団体などは役員改選したばかりの時期で、十分に準備できないという課題があるようだ。
 審査員は、市内団体2名、市外団体2名(うち1名が庄嶋)、学識経験者1名の計5名で、担当課が準備した6つの審査項目(連携性、公益性、継続性、計画性、先駆性、将来性)について、相対評価する方式で行った。上位のものは、各審査委員とも高く評価したものであるが、当落線上のものは、審査員によって評価が分かれたものになった。

○さがみはらパートナーシップ市民委員会準備会(委託:120万円 05年4月〜06年3月)
 「さがみはらパートナーシップ推進指針」で推進のための中心的な組織と位置づけられたのが、市民主体による「さがみはらパートナーシップ市民委員会」である。昨年度、辻事務局長が委員を務めた「相模原市市民参加手法検討会」で、まずは準備会を設置して検討したうえで、市民委員会本体を立ち上げる方式が提案されたことから、4月から人数無制限・途中加入可の市民公募により、準備会が立ち上がった(6月末現在32名)。
 進行役(ファシリテーター)を東京ランポに委託することが、第1回準備会でいきなり担当課から提案されたため、市民主導で準備会を進めるのが筋であると考える市民から異議があった。もっとも、その市民は庄嶋と旧知の人であり、手続き的な不備を問題にしただけで、東京ランポへの委託自体には異存はなかった。結局、進行役の必要性が確認され、東京ランポを知る数人の市民から推薦をもらう形で、進行役を引き受けることが決まった。
 仕事の内容は、準備会における進行役と、進行役の立場で必要な資料の作成。また、準備会のルールやプログラムを提案する組織として、希望者でつくられた運営会でも、進行役、会議結果メモの作成を行っている。また、公募市民が中心の会議に関する専門家として、情報提供を行う役割もしている。経験に裏打ちされた手法ときちんと時間管理した進行により、進行役への信頼は構築されつつあると実感している。
 4〜6月には、準備会4回、運営会4回が開催された。

○和光市市民参加条例施行に伴うワークショップ研修(委託:20万円)
 昨年10月に、佐々木理事長が和光市市民参加条例制定1周年フォーラムにパネリストとして参加した縁で、市民参加条例の『手引き』に手法として例示されているワークショップの研修を委託された。2月の2日間にわたり、1日ごとに受講者を変えて行った。各課最低1名ずつという担当課の目標には届かなかったが、幅広い課からの受講を得られた。担当課からは高い評価をもらった。
 市民参加条例は施行したものの、なぜ参加が必要であるのか、どんな手法があるのかについては、まだまだ浸透していないことを感じた。また、せっかく訪れたので、市民参加条例の運用状況についても取材したが、目玉である「市民政策提案手続」(市民10名の連署で市に政策提案できる制度)もいまだ例がなく、条例の活用はこれからであろう。
 研修後には、担当課と懇親会も持ち、今後へのつながりもできた。

○小平市自治基本条例づくりに向けた学習会(謝礼:6万円=3万円×2回)
 4月に、小平市に小林正則・新市長が誕生した。政策協定を結んで、選挙応援をしていた小平・生活者ネットワークは、自らが政策協定に盛り込み、市長も就任に際して制定を明言した、自治基本条例づくりに向けて動き出した。
 まずは、自治基本条例とはどのようなものかを学ぶため、5月にネットメンバー向け、6月に友好団体も含めて、2回の学習会が開催され、講師を担当した。多摩市と大和市の条文を実際に比較して読み進めながら、自治基本条例とは何かを説明した。「自治体の憲法」とも言われ、市民・市議会・市長の関係、市民の権利・責務、市政運営のルールなどを定めるものであり、子育てや環境のような具体的なテーマに取り組んできた人には、すぐにはピンと来なかった模様であるが、繰り返し学習することで見えてくると思われる。
 小平ネットとしては、条例づくりの具体的な手順も提示したいとのことで、学習会の終了後にも相談を受けた。公募市民を中心とする会議で、ワークショップ的な手法を使って取り組む場合は、ファシリテーターとして東京ランポを推薦したいとのことであった。
 なお、第一法規・自治体法務NAVIの6月号に寄稿した『自治基本条例で自治体のカタチを描く』が、講義した内容の要約版となっている。

○志木市民委員会全体委員会(謝礼:3万円)
 立ち上げ直後の全体会合の場で基調講演をして以来、アドバイザー的な立場で関わってきた志木市民委員会であるが、その生みの親であった穂坂邦夫市長が、6月の市長選に出馬せず、6月末で勇退した。
 5月に行われた、今年度第1回の総会・全体委員会は、そんな市長勇退がわかった後に行われたため、これから市民委員会はどうなるのかという雰囲気に包まれていた。コメンテーターとして出席したなかで、「常設型の市民会議にとっては、市長勇退は、自らの存在意義を各自が考えるよい機会」「市民委員会の特徴は、専門家の意見でも、単なる市民の思いつきでもなく、異なる立場や考えの市民が、市政情報や学習を踏まえながら、市民同士で一定の結論を出し、市長に提示できること」といったコメントをした。
 市民委員会会長とは随時情報交換をしており、新市長を初めて迎える、秋の全体委員会(今年度第2回)にも、コメンテーターなどの形で出席することを要請されている。

○つくば市の行政と市民の協働を推進する会・学習会(謝礼:2万円)
 東京ランポ会員でもある、元つくば市議の野口修さんらが、つくば市の市民参加の制度化を市民提案していく活動を展開している。まずは、審議会等の公開や委員公募に関する条例を制定しようと、条例案を作成して議員の賛同の取り付けを行っている。そういった市民参加の制度などに関して、市民を対象とした学習会が2月に行われ、講師を務めた。講義内容は好評であった。

○高崎経済大学地域政策研究センター研究会(謝礼:5万円)
 高崎経済大学地域政策学科専任講師の佐藤徹さんからの依頼を受けて、「公募型市民会議の現状と課題」について、3月に講師を務めた。佐藤さんは、公募市民を中心として、市民が自主的に運営するような「市民会議」の研究をしており、3月には『市民会議と地域創造 市民が変わり行政が変われば地域も変わる!』(ぎょうせい)を出版している。本書の執筆にあたっては、『季刊まちぽっと』創刊号の公募市民会議特集や庄嶋の公募委員制度に関する論文なども参考にしている。また、草稿のチェックにも協力した。
 高崎経済大学の研究者、高崎市役所職員、佐藤さんがアドバイザーとして関わった市民会議である「たかさき市民参加推進会議」の市民委員などが受講した。市民委員からは、「こういった話を会議の前に聞いていたら、もっと楽に進んだ」といった感想が聞かれた。


<調査研究>

○公募委員調査2004
 昨年度実施した、東京・埼玉・千葉・神奈川の全市区(142自治体)で2000〜03年度に設置された審議会等と市民会議のうち、公募委員を採用しているものを対象としたアンケート調査のまとめ作業を行った。
 この調査は、2000年度に実施した調査の後継調査となるものであるが、前回が90.2%の高回答率を得られたのに対し今回は60.5%に止まったこと、前回は対象期間が3年間であったが今回は4年間であるなど、単純な比較はできない面がある。回答率が下がったのは、前回は、資金的な裏付けとしてトヨタ財団からの研究助成があり、また、庄嶋が入職したばかりの時期で公募委員調査だけに専念できたこととの差がある。
 それでも、回答のあった86自治体のうち、公募委員を採用している会議がある自治体は83自治体(96.5%)であり、前回の85.3%(110/129)より増加した。また、前回・今回と続けて回答した自治体を比較すると、公募委員を採用している会議の数が増えた自治体が多く、また、前回採用のなかった自治体で採用があるものも11自治体あった。こういった結果から、公募委員の採用はさらに広まっていると結論づけ、『季刊まちぽっと』4号特集で報告した。
 一方、公募委員としてどんな市民を期待するかについて、実践活動などの裏づけのある「専門家(活動家)市民」と、ごく普通の市民感覚を持った市民とがうまく整理できていないため、期待していたのと異なる市民を採用してしまうケースも、今回の調査結果から見えてきている。そのあたりは、第一法規・自治体法務NAVIの2月号に、『市民参加において「公募」が持つ意味』で試論を述べたところであるが、『季刊まちぽっと』5号特集で、まとめて論じる予定である。

○公募市民会議調査
 昨年度より、全員または大半が公募市民であるような会議を「公募市民会議」と呼び、その運営実態の調査を行っている。文献・ホームページによる調査や、事後のヒアリングでは見えてこない実態を把握するため、会議そのものを傍聴取材している。
 自治基本条例づくりに関して、豊島区自治基本条例区民会議(公募40名)と平塚市自治基本条例を考える市民委員会(公募58名)を継続取材してきた。
 豊島区の区民会議は、3月末に区長に提言書を出して終了した。途中、検討の成果がなかなかまとまらず、中だるみして出席者が10名を切るような時期も続いたが、何とか提言書がまとまった。出席者が低迷した時期にも、根気強く出席していたのは、自治会長やシニア世代のメンバーであった。また、学習院大学の大学院生やNPO関係者がファシリテーターを務め、議論をよくまとめていた。長年地域に住む市民と新しい技法を持つ市民とが、うまく一緒になって活動を展開していたと言える。
 一方、平塚市の市民委員会は、プログラムの設定などを行う運営委員会などをきちんと組織化しなかったことから、条例の内容ではなく、会議の進め方をめぐる議論に時間を費やし、最後まで会議が迷走した。7月上旬で終了した模様であるが、終盤は合意の取り方なども雑で、委員が十分に納得できるものにはなっていないようである。大久手計画工房という経験あるファシリテーターがついたが、市民が自主運営を主張したため、ファシリテーターそのものはさせてもらえず、補助的な役割を務めるに止まった。
 昨年5月のカレッジランポ『公募市民会議は市民参加をどう変えたか』のパネリストに来てもらった、大和市自治基本条例を考える会、自治基本条例をつくるみたか市民の会とは、その後も情報交換を続けている。
 大和市では、4月より自治基本条例が施行され、「大和市自治基本条例をつくる会」(公募26名など32名)はそのPRのため、5月に施行を記念するシンポジウムまで行って解散した。つくる会がPI(パブリック・インボルブメント)と称して行った、約60回に上る市内各所に出向いての意見交換会は、それまでの公募市民会議の手法を超え、公募市民会議が一般市民を巻き込み、市民の声を踏まえて議論するというスタイルを実践した。この手法は、他自治体の公募市民会議(上記の豊島区や平塚市など)にも大きな影響を与えたが、現実には、1回程度のフォーラムや数回の出前説明会を開催するのが精一杯で、大和市の手法はまだ他の追随を許していない。なお、大和市は、自治基本条例で位置づけた市民参加条例の策定も、同様の手法で行う予定。
 三鷹市では、自治基本条例を策定中で、6月議会に条例案を上程した。基本構想・基本計画づくりでは、みたか市民プラン21会議を設けて、公募市民会議による計画策定のスタイルを全国に先駆けて打ち立てた三鷹市であったが、自治基本条例では、審議会的な「まちづくり研究所第2分科会」での検討と、パブリック・コメントや説明会などを通した市民意見の把握にとどまり、行政が市民、市議会、市役所の意見のバランスをとりながら条例案をつくる方式をとった。市民21会議第9分科会(自治体経営)のメンバーが中心となって結成した「自治基本条例をつくるみたか市民の会」は、独自に条例試案をつくるなどの活動をしてきたが、市の対応には不満を持っている。
 豊島区と平塚市の自治基本条例づくりに関わる2つの公募市民会議から見えた、運営の課題などについては、『季刊まちぽっと6号』(10月発行予定)のアクションレポートで報告したい。

○緊急調査「10年後の市民と自治体の関係」
 公職研・月刊「地方自治職員研修」8月号の特集「こうなる!あなたの10年後」(仮)で、市民はどうなるかについての原稿を依頼された。原稿作成の参考にするため、ホームページ上で「10年後、あなたと自治体の関係はどうなっている?」という緊急調査を行ったところ、東京ランポ会員や普段仕事で関係している市民・職員を中心に、42名から回答が寄せられた。
 市民が主役となる自治体を目指している職員からは、「市民が役所の仕事を担う部分が増えている」「職員は数も減ってコーディネーター的な仕事が主になっている」など、期待も込めた予想が聞かれた。市民にも同様の意見がある一方で、「市民の意識はそれほど変わっていない」「役所の対応に変化はなく市民は疲れている」など、経験に基づくシビアな予想も聞かれた。また、「自治体によって取り組みに差が出ている」「サービス内容をもとに市民が自治体を選択している」「低下した行政サービスの回復が課題となっている」「予算や権限が地域に付与されて域内分権が進んでいる」などの予想もあった。
 この緊急調査の回答も参考にして、『そして、市民も変わる?−自治体運営への関わりはどう変わるか』を執筆した(7月下旬発行)。


(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

[ ページの先頭に戻る | ホームに戻る ] ( 更新)
まちづくり支援・東京ランポ copyright(C) Tokyo LA-NPO 2003 All Rights Reserved.
当サイトに掲載された記事・写真・図表等の無断転載を禁止します。詳しくは「このサイトについて」をご覧ください。