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事業報告


市民参加・協働のまちづくり 相模原市・村富公園ワークショップ
相模原市・村富公園ワークショップ報告


 平成13(2001)年度より相模原市(神奈川県)で取り組まれている、「パートナーシップ型まちづくり推進指針策定事業」。その指針づくりのためのモデル事業として、@街区公園の再整備計画、Aまちなみウォッチング、B障害者団体のNPO法人化の支援、C市民活動サポートセンターの設置の4つが、策定懇談会の審議と並行して実施された。東京ランポでは、@とBを受託して実施したが、ここでは、@にあたる「村富公園ワークショップ」の事業報告を行いたい。

ワークショップとは

 村富公園ワークショップは、街区公園の再整備計画を、地域住民が参加するワークショップによって作成するものであった。ワークショップとは、情報を出し合う ⇒ 一緒に調査する ⇒ アイデアを出し合う ⇒ 議論する ⇒ 合意形成する、というように、あたかも参加者全員で1つの作品をつくり上げていくようなプロセスを踏む会議である。
 そのため、誰にでも開かれているという「開放性」と誰もが対等に参加できるという「対等性」があることが原則となる。「開放性」を実現するために、@希望する人が誰でも参加できることや、「対等性」を実現するために、Aゲーム感覚を取り入れることで、声の大きな人だけでなく、全ての人にとって意見が表明しやすくなることや、B参加者全員で結論を出すこと、といった特徴がある。


村富公園ワークショップの概要

 村富公園ワークショップの目的は、街区公園の再整備計画を、地域住民の意見を取り入れて作成することであった。
 村富公園は、矢部2丁目にある960.69uの公園で、街区公園(半径250mの住民が対象)の標準が2,500uであることから見ても、小さな公園である。現在の利用状況は、公園全体に児童・幼児向けの遊具が配置され、主に子どもたちの遊び場となっている反面、高齢者や大人が利用する施設がない。課題としては、設置から30年以上が経過する、市内でも3番目に古い公園であるため、遊具等が老朽化していることや、樹木の成長等により、外部からの見通しが悪いことなどが、従来からあった。
 そこで、平成13年6月から12月にかけて、オリエンテーションを含め5回のワークショップを行い、住民60人(子ども13人)、延べで住民124人(子ども25人)が参加した。ワークショップを通して、住民各自と行政から出された情報と希望を共有し、参加者同士が合意形成することで、新しい公園(案)が完成していった。
 新しい公園のコンセプトは、「地域の人たちの交流の輪が広がる公園」であり、「幼児・児童」「憩い」「広場」の3つのゾーンで構成されている。主な特徴は、次の3点である。@公園のシンボルとして住民に親しまれている既存のヒコーキジャングルジムを、補修したうえで残す。A現在は、幼児・児童向けの遊具が主であるため、高齢者も利用できるオープンスペースなどを設置する。B見通しを悪くしている道路側の植栽や遊具を撤去する一方、隣接する村富神社とのつながりもよくして、神社と公園が一体となった景観にする。
 この住民がつくった公園案に沿って、平成14(2002)年度に工事が行われ、平成15(2003)年4月にリニューアルオープンする。


村富公園ワークショップの経過と運営委員会を設置した効果

 ワークショップの経過を下図にまとめてみたが、全体の構成は6つの段階に整理できる。@事前準備、A参加機会の提供、B課題の共有化、C合意形成、D自主活動への方向づけ、E評価、である。このうち、核となるのはABCであり、Aは前述の「開放性」の原則に、BCは「対等性」の原則に基づいている。
 ワークショップと言えば、Cにあるデザインゲームの様子などをイメージされる方が多いと思われるが、それは要素の1つであり、参加者を集めることや、参加しない住民への配慮(ニュース発行、アンケート調査)、自治会や隣接者など地域の理解の取り付けなど、様々な条件整備を行うことで、当日の運営は成り立っているのである。
 ところで、住民参加のワークショップと言っても、当日だけ「お客様」として来ていただくというのでは、住民が自ら自分たちの地域の問題を解決することにはほど遠い。そこで、東京ランポの発案で、上記の条件整備の段階から担う運営委員会を設けることになった。運営委員はワークショップ参加者から公募し、5人の方が自主的になってくださった。公園隣の保育園に勤める保育士の20代女性、法律が専門の大学教授である40代男性、市役所職員でもある40代男性、神社や自治会に人脈のある60代男性、もう1つの自治会の役員を務める60代男性、という面々である。
 運営委員会は、ワークショップ各回の前後に開催し、合計12回行った。東京ランポからも2名が運営委員として入ったほか、行政はオブザーバーとして検討に加わったり、行政情報の提供を行ったりした。この、住民、ランポ、行政の3者が一体となって、ワークショップの企画・準備・運営・調整・調査・渉外・広報を行った。
 住民が運営委員を務めたことが、村富公園ワークショップの最大の成功の要因であることは、相模原市、東京ランポとも一致した評価であるが、その具体的な効果も、下図にまとめさせてもらった。深くタイムリーな地域情報を把握できたことや、自治会から参加している委員には自治会とのパイプ役をしてもらえたこと、住民が運営委員を務めることでワークショップへの住民の信頼が高まったことなどが主なところであるが、行政と東京ランポだけであればできなかったことをいくつもやっていただけたと考えている。


村富公園ワークショップの成果と難しかった点

 今回の成果をまとめておこう。まずは、住民同士がニーズを共有し、自分たちのほしい公園に合意できたことである。特に、「ひこうき公園」という愛称にも表れている、ヒコーキジャングルジムへの住民の愛着の強さが明らかになり、老朽化のため除去することになるだろうとの公園課の予期に反して、補修したうえで残すことになったことである。
 また、小学生未満の子どもから70代後半の高齢者まで一緒に参加できたことである。特に、しっかりと自分の意見を述べる子どもたちの様子は、大人たちにとって大きな発見となった。さらに、住民の関わりが公園案をつくるだけで終わらず、管理運営委員会の立ち上げが合意され、開園後も住民によって自主管理・運営されることになったことである。このワークショップを契機に、地域づくりの新たな活動が起こってくることを期待したい。
 一方、難しかった面にも触れておこう。村富公園の1つの特徴は、2つの自治会の境界近くに位置していることであった。そのため、2つの自治会に協力と理解を求めることになったが、地域の課題をめぐる過去の行き違いから、両自治会が協力をしづらい状況があり、ワークショップでも、オープンスペースの利用方法などで結論を出せなかった。ただ、管理運営委員会を両自治会が協力して立ち上げることが決まったため、開園後の管理・運営での協働を通して関係改善がなされ、積み残した課題の解決につながることを期待したい。
 また、発足当初の運営委員会では、行政や東京ランポに対して、ポーズだけの住民参加ではないかと不信感を抱く運営委員もいて、議事が予定通り進まないこともあった。しかし、会議の回数を重ね、会議外の場でも率直な意見を交わすにつれ、互いの人柄や熱意がわかるようになり、非常によいチームワークが育った。市民が参加する会議は、最初から順調に進むものではなく、粘り強く信頼関係を築く必要があることを、この経験は教えている。

東京ランポの役割と評価

 相模原市としては、平成11(1999)年度に、公園課が自前で街区公園整備のワークショップを行ったことがあり、今回は住民と行政の間にコーディネート役となる第三者を入れるという、実験的な意味合いもあった。
 前述の通り、村富公園ワークショップの企画・運営等は、住民を含む運営委員会によって行った。ただ、住民の委員にワークショップの経験者がいなかったこともあり、運営委員会にかけるワークショップ当日のプログラムやニュースの原案、運営委員会の会議録はこちらで作成した。また、ワークショップ当日の資料・道具や記録の作成も、主にこちらで行った。住民の委員が事務的な仕事まで担う方が、より自主的な運営の形になるのは間違いないが、予め半年という時間の制約があり、十分な体制を整える時間もなくスタートしたことを考えると、やむを得ない面があった。
 ワークショップ当日のファシリテーター、運営委員会の司会については、ワークショップ運営のノウハウが必要なことや、住民の運営委員にも当事者として議論や作業に集中してもらえるように、こちらで引き受けた。また、住民の考える公園案に対し、公園の専門的見地からのコメントも行って、住民の夢が具体的な形になるための課題などを示した。
 東京ランポに対する評価であるが、「パートナーシップ型まちづくり推進指針策定懇談会」へのモデル事業報告会の席上で、公園課職員から、自前でワークショップを行ったときより、住民からの意見が出やすかったとの感想が聞かれた。また、最終回の運営委員会で行った反省会では、住民の運営委員から、運営委員会での議論をうまくとりまとめ、会議録を素早く作成して配布したことや、第三者でありながら熱意を持って関わったことに、評価の言葉をいただくことができた。また、ワークショップに参加した住民からも、参加者アンケートなどを通して、ときには率直なご指摘を受けながらも、好意的なコメントを多くいただいた。反省すべき点は多々あるものの、住民、運営委員、相模原市のいずれからも、合格点の評価をいただけたと考えている。

 なお、このプロジェクトは、メインファシリテーターを務めていただいた理事の山内洋さん、公園の専門家としてアドバイザー的にも関わっていただいた会員の峰岸久雄さん、プロジェクト全体のコーディネートと事務局を務めた庄嶋の3人が中心となって担当した。

(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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