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市民参加・協働のまちづくり 市民公募委員制度調査2000 アンケート結果概要 調査対象 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の全市と東京都23特別区 計143自治体(全数調査) 平成9〜11(1997〜99)年度に設置された審議会・懇談会・委員会等 調査方法 郵送による発送・回収、督促状1回 各自治体の企画担当課に依頼 調査時期 平成12(2000)年4月14日〜7月25日 回収状況 回収数 129自治体 有効回収数 129自治体 有効回収率 90.2% 結果概要 まず、市民公募委員(以下、単に「公募委員」)を審議会・懇談会・委員会等(以下、単に「会議」)に採用するための、庁内で統一された根拠規定(以下、「一般的な根拠規定」)があるかを調べた。全国的には、大阪府箕面市が「市民参加条例」の中で、「市の執行機関は、市民の資格において附属機関の委員を任命しようとする場合は、その全部又は一部の委員を公募により選考するよう努めなければならない」と定めているのが有名である。 今回の調査対象となった、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の市区でも、主に要綱や指針で、公募委員を「採用できる」「採用に努める」と定めている自治体がいくつか見られる。ただ、このような「一般的な根拠規定」を持っていても、実際に公募委員を採用する際の根拠にしているという自治体は、相模原市や目黒区など少数であった。一方、所沢市、飯能市、相模原市など、委員総数に占める公募委員割合まで規定している自治体では、実際の数字も規定に近いものになっている。 全体的に見ると、公募委員の採用は、個別の設置条例・要綱などで定めているケースが一般的である。 次に、公募委員を採用している会議の数を調べた。 公募委員を採用している会議のある自治体は、有効な回答のあった129自治体のうち110自治体(85.3%)であった。公募委員を採用している会議数の平均は、4.75である。また、各自治体において会議全体のうちどのくらいが公募委員を採用しているかであるが、平均で10.0%(概数)となっている。 テーマ別に見ると、「女性」、「行財政運営」、「高齢者福祉・介護保険」、「情報公開・個人情報保護」、「総合計画」、「ごみ・リサイクル」、「地域保健福祉 他」といった会議が、公募委員を採用していることが多い。これは、今回の調査対象期間に、計画の改定期を迎えたり、国レベルで法律ができるなど、世間一般でも話題性の高かったものと一致している。 自治体別に見ると、公募委員を採用している会議の数・比率、委員総数に占める公募委員割合が高く、公募委員の採用に積極的と言える自治体を見つけることができる。志木市、杉並区、多摩市、新宿区などである。川崎市、所沢市、相模原市などは、「一般的な根拠規定」を持つこともあって、公募委員を採用している会議の数こそ多いものの、同時に公募委員割合(数)が全会議にわたって低めとなっている。 公募委員を採用している会議の詳細情報は、以下のようにまとめられる。 公募委員のいる会議は77.0%が公開され、傍聴できるようになっている。45.0%の自治体では、公募委員のいる会議を100%公開している。テーマによる差はあまりないが、都市計画の「具体的事業」や環境・土木の「緑・公園」など、事業をテーマとする会議では、非公開になることがやや多い。 公募委員を採用する根拠としては、要綱が51.8%を占める。『保健・福祉』ではこれが69.7%とさらに多くなる一方、市民の理解や自身での行動が必要とされる『環境・土木』では、「環境審議会」や「廃棄物減量等推進審議会」など条例を根拠とすることで、市民の納得性を高めていると考えられるものが多いため、条例と要綱が拮抗している。 委員数に占める女性委員割合は、自治体平均で、対委員総数38.4%、対公募委員数55.5%である。公募委員に女性を多く採用することで、委員総数に対する女性委員割合を高めていることがうかがえる。テーマとして、女性委員割合が高いのは、「子ども」「地域保健福祉 他」「女性」「消費者」といったものである。 委員数に占める公募委員割合は、自治体平均で29.5%である。テーマ別に見て目立つのは、『環境・土木』が34.5%と高いことである。市民の協力なしには進まないテーマであるため、市民を多めに入れて、市民自身に施策の推進を担ってもらうという考えがうかがえる。一方、『保健・福祉』は、既存の関係者が多いためか、あるいはテーマに関する専門性が必要と考えられるのか、18.3%とかなり低い。 公募委員を選考する基準としては、作文や面接などによって、人物の考えや能力を見ているものが、60.5%と最も多い。ただ19.9%は、人物とともに、年齢、性別、地域、職業など、属性も合わせて考慮しており、限られた公募委員枠をいかにバランスよく構成するかに配慮している様子がわかる。また、抽選が最も多い選考基準(方法)であるという自治体もあり、「公平」な選考に対する1つの考え方があらわれている。 公募委員をなぜ採用するかについては、市民意見や市民ニーズの把握・反映が58.1%、ついで会議の活性化が17.2%と多い。従来の「市民」委員であった町内会・自治会の代表が、それら住民組織で活動しない市民の考えを代弁できなくなったことや、長期化・兼職化などによる委員構成の固定化で、会議が不活発になったことが背景に考えられる。テーマ別で見ると、『環境・土木』で協働が15.0%であるのが目立ち、環境政策で実効性をあげるには、市民にも行動してもらう必要があると考えられていることがわかる。 公募委員を採用した目的の達成度は、「高」77.2%、「中」22.0%であり、概ね高い評価と言える。しかし、テーマによっては、40%以上が「中」であるなど、今後改善の余地があるものもある。 主にテーマによる特徴の違いに注目してきたが、市民自身が行動しないことには効果のあがらない『環境』で、公募委員の採用が先行している印象がある。 市民参加による計画策定や事業実施が優れているのは、市民自身が責任を持つことで、「言いっぱなし」では通用しなくなり、自分に何ができるか・何をすべきかを考えて行動するようになるからである。市民自身が問題解決の担い手となることで、政策・施策の実効性もあがる。公募委員になるということは、市民にとっては、その担い手となる1つのきっかけを得ることであると言える。 もっとも、政策・施策の実効性をあげるために市民参加が必要であると発想するには、その自治体が成果重視に立って仕事をしていることが前提となるのは言うまでもない。 最後に、公募委員の採用以外の市民参加手法についてたずねた。様々な回答の中で、三鷹市と日野市に見られる、希望する市民全員が参加して、総合計画等の策定に関わるという手法は、公募委員の採用からさらに進んだ市民参加の仕組みを予感させる。数百人規模で集まった市民が合意形成をしながら、自治体の将来を決めていくことの難しさはかなりなものと考えられるが、新たな試みの第一歩として注目しておきたい。 (『市民参加の新しい扉を開く−市民公募委員制度の実態調査と提案−』に収録) |
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