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事業報告


カレッジランポ2005(2005年12月10日開催)
市民参加条例の効き目を検証する


2.事例報告

◆狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例・・・参加・協働一体型 金築宏美さん(狛江市市民協働課)

 狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例は、平成15年4月1日に施行された。策定のきっかけになったのは、市民からの要望を受け、平成8年7月に当選した現市長の公約であった。公約に基づき、平成9年に企画財政部に調整担当理事を配置し、市民参加基本条例の検討を庁内で始めた。行財政改革推進市民委員会でも検討し、広聴会(市民説明会のようなもの)も2回開催して議会に上程したが、賛成少数で否決された。市民の理解を十分に求めていないのでは、市民の声が届いていないのでは、ということが理由であった。
 なぜ市民参加の条例をつくらなくてはならなかったのか。もともと、市長への手紙、市長と語る会、学び講座、市民説明会など各課で行っていたものはあった。しかし、各課のやる気に左右されるため、統一的なルール化の必要性があった。協働についても、すでに環境改善課などは、公園管理で団体と協定を結ぶなど進んでいたが、団体からの申し出を初めからはねつけるような課もあった。条例化することで、庁内で統一化が図れるのではないかということで、条例制定に向った。
 平成14年6月から、「市民参加基本条例策定委員会」を設置して、委員15名、全体会10回、市民参加分科会3回、市民協働分科会3回を開催した。市民の皆さんに随時情報提供をしながら進めていこうということで、住民投票制度や行政と市民活動の協働の課題をとり上げて講演会を行った。条例の骨子案がまとまった段階で市民フォーラムを行い、市民からこんなことも盛り込んでほしい、といった意見をもらった。条例案ができた段階では、条例案を説明するとともに、パブリックコメントを実施した。5名から19件の意見が寄せられ、1つひとつへの対応を、広報にも掲載して公表した。
 前の条例が否決された段階で、議会に「市民参加のあり方についての調査特別委員会」が設置されていたが、この特別委員会でまとめられた報告書の内容にも対応するような条例案とした。

 条例の特徴であるが、一番の特徴は、市民参加と市民協働の一体型条例ということである。市民参加は、個人が市の行政に意見・要望を寄せるもので、市民協働は、団体が対象であると位置づけている。市民参加で意見を言っていた個人が、自分たちの思いを達成するために団体をつくり、行政が思いを一緒にできれば協力するというのが協働である。
 策定委員会で、団体と協働でやるにしても、市民がどんなニーズを持っているのか市民の声をしっかり聞かねば、どんな協働をすればよいのかわからないのでは、という意見が出た。一方、箕面市などでも市民参加と市民協働は条例が別になっているので、別にしてはという意見も出た。結局、行政と団体との協働をしっかりするには、市民参加という根本的なところが重要ではないかということで、1つの条例でやっていくことになった。
 1つの条例にするメリットであるが、条例を別々にすると審議会も別々につくって運用しなくてはならないが、条例を1つにして1つの審議会でやっていければ、情報も統一できて効率的に進めていけるということである。デメリットは、職員意識の問題である。市民参加の部分は、職員が条例を理解して手続きに慣れていけばよいが、協働の部分は、相手が団体なので団体を理解しなくてはならならない。そのため、市民参加と協働を結びつけて運用する難しさも出てきた。あと、市民協働課の仕事が増えて、とても大変だった。

 その他の特徴としては、まず、市民の定義がないことである。どこまでが市民かについては、策定委員会でも話し合い、税金を払っていることか、在勤・在学までかといった議論がなされた。一番問題になったのは、パブリックコメントをするとき、全国からホームページを見て意見が寄せられる可能性があり、市民を定義すると縛ってしまうということであった。そこで、それぞれの市民参加の際に範囲を決めよういうことになり、要綱・要領などをつくって、そのつど在住・在勤・在学の範囲や年齢をどうするかを決めている。
 次に、青少年の参加というのがある。平成16年度に市の基本計画を策定するなかで、青少年アンケートを行った。また、教育現場と協力して、学校の授業のなかで、狛江市をよくしていくにはどうするか、といった意見を聞いた。多摩川を生かしたまちづくり、財源が厳しいのでお金儲けができるようにしようといった、子どもたちならではの提案が聞かれた。
 諮問事項の有無を公表することになっているのは、他の自治体にはない特徴である。市民の目から見て、何をやっている審議会かわからないということがよくある。第1回の審議会を広報で案内するとき、どういう審議会であるか紹介する。また、どういう審議をしているかも、広報で連載している。
 市民協働の規定を含めたところが特徴であるので、第24条以降にある協働の規定を簡単に説明したい。財政的支援、活動場所の提供、情報環境の整備、参入の機会の提供などが定められているが、財政的支援としては、新しい風補助金に取り組んでいる。対象となるのが、先駆的で将来性のある事業、市民のニーズや地域性に適合した特徴のある事業などとなっている。
 平成16年度に始めて、事業団体の募集、選考会を行った。これまで補助金は、既得権のように、同じところに毎年出ているという問題があった。この補助金は、団体が力をつけたい、新しい事業に取り組んでステップアップしたいときに利用してもらうもので、プレゼンテーションを行って、選考会で選ばれた団体に補助金を出す。平成16年度の実績としては、1団体の上限20万円、総額150万円で、応募団体は11団体、交付団体は6団体であった。17年度は、交付団体は9団体になった。
 この結果を受けて、補助金検討委員会は、既得権となっている他の補助金も、この新しい風補助金のような形にしていくべきであると答申を出した。

 条例の推進状況は、基礎調査、各課ヒアリング、審議会の総合的評価の3段階でチェックを行っている。
 基礎調査に基づいて、市民協働課が各課にヒアリングして、なぜ数字が下がったか、今年度やろうとしていることは何か、その注意点はここだ、といったことをやっている。ヒアリングの結果が出た段階で、「狛江市市民参加と市民協働に関する審議会」で評価を行っている。○×や評価点をつけて、ここが悪かったというものではなく、どのように次に進めたらよいかを、前向きな姿勢でご提案いただいている。審議会は、平成15年度の条例施行とともに設置され、総合的評価、条例の改正について仕事をしていただいている。

 条例の課題であるが、一番の問題は、第5条の市民参加の対象であり、市民協働課でも頭を悩ませている。市民からこの施策は市民参加の対象になるのではとの声が出るが、担当課では市民参加の手続きを行っていないというものがある。状況が悪化してから各課から市民協働課に相談が来たりして、初めから情報を出しておけばここまで悪くならなかったのに、というものもある。
 一例としては、公民館の2館を1つに統合したことがあった。市民は施設の運用が変わると考えたが、行政は組織改正と捉えたため、市民参加の対象としなかった。決定した後に市民に知らせたので、なぜもっと早く知らせなかったのかとなった。そこで、これらの対応策として、市民参加手続に関する提案が市民側からできる制度を設けるという条例改正の答申が、市民参加と市民協働に関する審議会から出ることになっている。
 次に、本日のカレッジランポに投げかけたい課題である。まず、参加する市民の顔ぶれがいつも一緒、パブリックコメントの提出者も一緒というのがあり、参加の輪を広げるにはどうするかというのがある。新しい取り組みとして審議会等の傍聴者から意見を述べることを試行的にやったり、諮問事項の公表、広報で紹介などもやったりしているが、なかなか進まない。
 次に、市民が意見を言っても、審議会のなかでとり入れられなかったり、行政が採用しなかったりしたときのフォローをどうするかというのがある。基本計画をつくるとき、50名の公募委員を募って検討したが、自分の意見がとり入れられるか入れられないかの中間報告を境にして、急に参加者が減った。自分の意見が入らなかったことでやる気をなくされたのか、その後の十分なフォローが足りなかったのか、今後対応を考える必要がある。
 また、審議会の答申の尊重の課題がある。市の財政的な事情、市の内部の判断でとり入れられなかったことが、次の市民参加のステップにつながらなかったと思われるシーンがあった。これらの課題について、皆さんからよいお知恵があれば教えていただきたい。

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(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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