カレッジランポ2005(2005年12月10日開催)
市民参加条例の効き目を検証する
2.事例報告
◆和光市市民参加条例・・・全国初の市民政策提案手続を制度化 加藤賢司さん(和光市市民まちづくり推進課)
和光市市民参加条例の概況ということで、策定の経過、条例の内容、運用の状況についてお話したい。
まず、策定への取り組みである。きっかけは、市長のトップダウンであり、市長が選挙の公約で、まちづくりに関する条例を定めるとしたことであった。そこで、どのような条例が必要かという話になり、まずは市民参加を普及させることが大事であるということで、市民参加条例を策定することになった。
条例は2年間かけてつくった。まず、平成14年度に「和光市まちづくり市民会議」をつくり、1年間かけてご議論いただいた。この会議は、公募市民のみで構成し、無報酬であった。また、行政が全く案を示さない白紙委任の形をとり、提言書を出していただいた。平成15年度には、庁内検討委員会を設け、提言書の内容を精査して、最終的に条例案として上程して、9月議会において全会一致で可決された。
次に、条例の特徴であるが、次のような点がある。
ア 和光市の条例で初めて「です・ます」体を採用した。
イ 和光市の条例で初めて前文を規定した。
ウ 市民、市の機関、議会の三者の協働を基本として規定した。
エ 市民、市の機関、議会の役割を規定した。
オ 市の機関における市民参加の実施の義務付けについて規定した。
カ 市民が政策を提案できる手続について規定した。
キ 住民投票の請求に必要な署名の人数要件を、地方自治法の直接請求より緩和して規定した(1,000人以上)。
ク 市民参加を推進するため、和光市市民参加推進会議の設置を規定した。
では、実際にどのように実施されているかをご紹介したい。
施行は、平成16年1月1日からである。資料の『市民参加の実施状況一覧』には、15年度、16年度、17年度(11月30日現在)のものがある。条例で市民参加の対象とされている、基本的な計画、基本方針を定める条例と権利・義務条例、大規模な施設、重大な制度の4点の実施状況である。まずは、対象となるものがどの程度あるかを押さえていただければと思う。
次の資料は『パブリック・コメント実施一覧』である。条例では、4つの対象以外のものでも市民参加ができるとなっているため、ここには、対象以外でもパブリック・コメントを行ったものが入っている。対象案件、募集期間、提出者数、提出意見数をまとめているので、ご覧いただきたい。
『審議会等公募委員選任状況一覧』の資料であるが、ここでは、公募委員がいる以外の審議会等も載せてある。網掛けをしているものが、公募委員がいる審議会等である。公募委員欄に「有」とあるのは公募委員がいるものである。「不可」は、法令等で委員構成が決まっていたり、専門性が高度で公募になじまないと考えられたりするものなど、現在のところ採用を考えていないものである。「無(検討中)」は、現在はいないが、次期は公募を考えているものである。なかには、公募しても応募がない、応募者数が定員より少ないなど、なかなか公募しても集まらないという事例もある。
『審議会等委員選任状況』の資料を見ていただくと、委員の内訳がわかる。委員全体については、兼職されている方がかなり多い、長期にわたって委員を務めている方も随分おられる、というのがわかる。公募委員については、条例施行前はごく一部で採用するのみであったが、条例施行後、任期満了するごとに公募委員の採用が増えてきた。
住民投票についてであるが、条例では、有権者1,000人以上で請求可と定めてあり、この規定に基づいて請求されたものが1件あった。市が計画中の総合体育館建設を一時凍結することの是非を問うものであった。
請求要件は1,000人ということで、地方自治法の直接請求の場合(有権者の50分の1)よりハードルを下げてあるが、請求しやすくするためである。なぜ1,000人かというと、定数の方が数字を見ただけでわかり、何分の1と規定するよりもわかりやすいからである。また、和光市は人口が増加しており、定数であれば将来的にハードルがさらに低くなることが予想される。
ただ、請求があった場合、実施するにあたっては、市長は裁量権を持たず意見を付すだけであるが、議会の議決が必要であるとしてある。このケースでは、最終的には議会において10対11で否決されたため、住民投票の実施には至らなかった。
さて、検証に関することであるが、条例で「市民参加推進会議」を設けており、条例の運用状況や市民参加の推進に関する事項を検討していただいている。現在、平成18年1月の任期満了に伴い、提言をまとめようとしているところである。
このように、市民参加推進会議で検証を行っていただいているが、確立した検証システムはなく、気になっている部分について意見を出していただき、改善策などを出していただいているのが実態である。これまでのところ、条例を施行して間もないことから、検証よりも、いかに市民参加を進めていったらよいかに力点を置いてきたと言ってよい。
また、和光市の場合、市民参加はあまり行われていなかったなかで、条例を制定した。他の自治体では、すでにやられているものを制度化したという話も聞くが、和光市では、まずは制度を固めて、それから市民参加を進めていくということで行っている。
まちづくり市民会議や市民参加推進会議では、「情報なくして市民参加なし」ということが言われてきた。行政が情報を提供しなくては、市民が参加したくてもできないので、まずは市からの情報提供に努めている。ホームページにも、情報を詳しく載せており、本日の資料もホームページにあるものを加工した。市としても、情報の提供に力点をおき、検証は二の次になっているというのが実態である。
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(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
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