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事業報告


カレッジランポ2005(2005年12月10日開催)
市民参加条例の効き目を検証する


0. 本日の目的 庄嶋孝広(東京ランポスタッフ)

 本日の進行にあたっては、「先行事例の経験をもとに、市民参加条例について、 1.条例で定められた方法がどのように使われているか 2.使われ方に問題があるとしたらどんな改善が必要か を探る」ことを目的としたい。

1.市民参加条例の検証の視点 庄嶋孝広(東京ランポスタッフ)

 市民参加条例とは何であろうか。似たような条例として、ここ数年、自治基本条例、協働条例などができてきている。市民参加条例を含めて、2000年の地方分権改革から起こってきた動きである。いずれの条例も、自治体運営に市民が積極的に参加することをねらいとしたものである。
 それらの条例の違いは何か。法人である自治体の構成員は市民であり、市民は選挙を通して首長を選んで行政活動を委任している。しかし、選挙は4年に1回、また、すべての事項に賛成しているわけでもないので、選挙を通して委任している首長の仕事に対して、日常的に参加して意見を言っていこうという動きが出てきている。こういった行政活動への参加を対象としているのが、市民参加条例である。
 それに対し、市民がNPOなどの(広い意味での)法人に参加して、法人である自治体と対等な立場で協力して仕事をしていくのが協働である。これを対象にするのが、協働条例である。
 岩手県立大学・高橋秀行教授の『市民参加条例をつくろう』(公人社)には、ほかに、コミュニティへの参加、議会への参加もある。
 参加する対象ごとに、別々に条例をつくるだけでなく、狛江市は、市民参加と協働を一緒にした条例をつくっており、2005年8月には、福岡の宗像市が、市民参加・協働・コミュニティの一体型条例をつくっている。
 自治基本条例の場合は、これらすべてが対象であり、広い意味での市民参加を対象としていると言える。但し、参加の手続きを細かく規定するのではなく、市民の権利・責務、自治体を構成する機関の責務、相互の関係性などを規定するものである。
 ただ、これまで実際に制定された自治基本条例を見ると、市民や機関相互の関係性だけでなく、行政活動への参加の部分だけは詳しく規定しているものも多い。そのため、自治基本条例を制定すれば市民参加条例はいらない、といった考え方が広まっていた。しかし、大和市のように、自治基本条例のなかで市民参加条例などを体系的に位置づけ、手続きの詳細を委任するところも出てきている。
 本日対象とする市民参加条例を定義すると、自治体の構成員である市民が、市長などの執行機関の意思を形成する過程に参加するためのルールを、条例という形で定めたもの、ということになる。狛江市は協働との一体型であるが、市民参加の部分を対象とする。

 なぜ市民参加が必要かは、高橋教授が簡潔に整理されているので、それをご紹介したい。
 1点目は、どんな場合にどんな市民参加手法がとられるかを行政の裁量としないため。
 2点目は、熱心な市長や担当職員が変わっても、市民参加が後退しないようにするため。
 3点目は、各種の市民参加手法を統一的な枠組みのなかに位置づけ、見通しをよくするため。
 4点目は、「条例」の形をとることで、議会からも共通認識を得るためである。

 では、市民参加条例では何を定めているのか。市民の参加権であるとか責務であるとか、様々な機関の責務であるとか、いろいろな規定があるが、本日は、すべては対象としない。市民参加条例の一番の骨格にあたる、参加の手続きに関する部分だけを見ていく。
 参加の手続きには、3つのことが書かれている。1つ目は、どういう行政活動に参加できるのかという「参加の対象」。2つ目は、どういう方法で参加するのかという「参加の方法」。3つ目は、どんな対象のときにどんな方法をとったらよいかの組み合わせ、高橋教授が「マッチング・ルール」と呼んでいるものである。
 具体的にどういうことが書かれているかを、首都圏で市民参加条例を持っている7つの市町の条文を比較しながら見てみたい。なお、これは、条例の条文にあるもののみの比較であり、規則などに書かれているものは含んでいない。
 まず、「参加の対象」であるが、市民参加の対象とするもの、逆に市民参加の対象としないものが規定されているのが普通である。小金井市だけはこの規定がないため、どんな行政活動に参加できるのかが明確でなく、改善の余地がある。他の自治体の場合は、「市の基本構想、基本計画、個別行政分野の基本計画」、「市の憲章、宣言、市の基本的な条例」、「市民に義務を課し、権利を制限する条例」、「市民生活に重大な影響を及ぼす制度」、「大規模な施設の計画」などが普通入っている。
 一方、「参加の方法」であるが、いくつかにタイプ分けができる。
 まずは、直接顔を合わせて議論を行う方法である。「審議会等」は、西東京市を例にとると、専門的・技術的知識及び経験、学識経験等に基づく審議により答申、報告等を行う審議会等や、個人の知識、経験に基づく自由な意見交換により、提言等の取りまとめを行う懇談会等と定義している。「公聴会」は、和光市の例をとると、政策等に対して広く市民等の意見を聴くため市の機関が行う会合とあるが、後で出てくる意見交換会との違いは、公述人を立てて行うことである。
 「意見交換会」は、白井市の例では、市民と実施機関及び市民同士の自由な意見交換により、複数の市民の意見を収集することを目的とする集まりであり、意見収集が目的であるが、「ワークショップ」は、同じ白井市の例では、市民と実施機関及び市民同士の自由な議論により、市民意見の方向性を見出すことを目的とする集まりであり、方向性を見出すのが目的となっている。
 議論を行う以外の方法としては、「アンケート(意向調査)」のように、行政が設定した問いに書面で答える方法や、「パブリック・コメント」のように、条例案などに対して意見を文書で寄せる方法がある。
 以上はいずれも、行政が場を設定しないと行われない方法であるが、和光市が全国で初めて制度化した「市民政策提案手続」は、市民が自主的に活用するものである。和光市では、10人以上の署名を集めて提案すれば、条例上の提案として位置づけられ、行政は検討して答えを出さなくてはならない。また、「住民投票」があるが、住民が発議するタイプのものは、住民が活用する方法である一方、市長が必要と認めれば実施できるタイプもある。
 最後に、「マッチング・ルール」であるが、1つ以上の方法を選択するとしている自治体が多い。また、より多くの市民の意見を求める必要があるものについては、複数の方法を選択するとしているものが多い。宮代町は少し違っていて、重要なものについては、審議会等とそれ以外に1つ以上となっていて、審議会等は必ず行うことになっている。

市民参加条例の検証の視点
○量的に評価するもの
 行政が実施する方法(審議会等の公募委員の採用、パブリック・コメントなど)
  (1)行政は条例通り実施しているか
  (2)市民は反応しているか
  (3)行政は市民の反応に対応しているか
 市民が自主的に活用する方法(市民政策提案手続、住民発議による住民投票など)
  (4)市民は活用しているか
  (5)行政は市民の活用に対応しているか
○質的に評価するもの
  (6)対象にふさわしい方法がとられているか
  (7)市民が力を発揮できるよう運用されているか(会議の進行など)
  (8)市民参加の結果が行政活動に影響を与えているか

 さて、検証の視点である。これまで市民参加条例をつくる際は、他の自治体の条文を比較研究するのが普通であったと考えるが、実際に使われてどうだったかという情報はなかった。本日の目的は、実際に使われてみてどうだったかを押さえることである。ただ、漠然とどうなっているのかを見ても検証にならないので、検証の視点を準備した。
 まず、量的に評価できるものと、質的に評価すべきものに分けられる。さらに、量的に評価するものには、行政が実施するものと市民が自主的に活用するものがある。
 「量的に評価するもの」で、「行政が実施する方法」とは、審議会等の公募委員の採用やパブリック・コメントなどで、「行政は条例通り実施しているか」「市民は反応しているか」「行政は市民の反応に対応しているか」で評価できる。一方、「市民が自主的に活用する方法」とは、市民政策提案手続、住民発議による住民投票などであるが、「市民は活用しているか」「行政は市民の活用に対応しているか」で評価できる。量的なものは、何年度に何件あったのかが数字ではっきりと出てくるが、その数字が多いのか少ないのかなど、どう解釈するのかは、報告者の皆さんに聞いてみたい。
 一方、「質的に評価するもの」である。まず、マッチング・ルールに関することであるが、「対象にふさわしい方法がとられているか」である。次に、「市民が力を発揮できるように運用されているか」、例えば、会議の進行が悪くて、公募委員がきちんと発言できていないことはないかなどである。最後に、「市民参加の結果が行政活動に影響を与えているか」、つまり、ただやっただけになっていないかということである。
 各自治体では、条例の推進・評価のための第三者機関を設けて、条例の検証を行っている。そこでどんな検証がなされているかも、本日の報告者にお聞きしたい。もっとも、そこで検証しきれていないこともあるだろうし、検証機関の答えと担当職員の考えが異なることもあると思うので、個人的な考えも含めて述べていただきたい。

※ このページの内容に関しては、当日の配付資料が、右からご入手になれます。 配付資料「市民参加条例の検証の視点」

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(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

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