パネルディスカッション第1部
@総合設計制度の問題点=代官山の事例から 2002.04.06
加藤 仁美(東海大学建築学科助教授)
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渋谷区代官山地域で総合設計制度を活用して建物を建てようとする計画ができたが、これを契機としてこのような建物が建つと良好な住環境を阻害するものになるという危惧感を持った地域住民が「代官山地域の良好な生活環境を守る会」を発足させ、対立・話し合いを行っている。
この事例を基に話をしながら、総合設計制度が利用された時にまちがどのように変わるのか、あるいは変わる可能性があるのか、さらに、今回の改正案の通りに、現在の許可制から申請・確認制に移ることがどのようなことを意味するかについて話をしたい。
代官山は以前は同潤会アパートや旧山手通りに面したヒルサイドテラスのような、ゆったりとした緑豊かな空間として設計された低層で界隈性のある空間と、4m未満の細い路地、その裏の低層・一戸建ての多い住宅地と、所々にあるおしゃれな店舗とが入り交じった魅力あるまちだった。
ところが2000年の夏に、同潤会アパートから代官山アドレスという地上36階建て、容積率560%(地上のみだと450%)という、超巨大高層ビルに建て変わった。それ以降まちは観光地化が進み、違法駐車・深夜営業店舗の増加とそれに伴う騒音問題・ごみ問題等が発生・急増するなど、まちの様子が大きく変わっていった。
そんな中で都心居住型総合設計制度を使った高層ビル建設の計画が出てきた。代官山の総合設計制度はそもそも都心の居住空間の増設・推進を目的として定められた制度で、許可基準は、環状6号線の内側に関しては敷地面積が一律1000u以上、接道義務は幅員8m以上、延べ床面積の2/3以上が住宅用途、3/4以上が住居若しくは日常生活を支えるための施設とすること、となっており、その他住戸の床面積等も決められている。
この他に渋谷区では、同じく都心の共同住宅化を促進しようとする姿勢を持っており、「都心共同住宅供給事業補助金交付要綱」(対象要件:敷地面積500u以上)という要綱も設けている。建替え計画はこの補助金も利用して行おうとしていた。
代官山には同様の条件を満たす敷地が非常に沢山ある。 |

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| 第1回の施主説明会の後、この計画はもちろん、今後総合設計制度を利用して同様の建物が建つようになると、これまであった代官山のまちの魅力が薄れ、逆に生活環境が著しく阻害され、まち全体が大きく変わってしまうのではないかという危惧を持った住民によって「代官山地域の良好な生活環境を守る会」がつくられた。(図は総合設計制度が活用された場合のまち並み予想図)この会は現在地区計画策定を目指して活動している。 |
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この計画においても、当初は26階建て(高さ約100m)・容積率583%(指定容積率365%)の計画だったが、地域住民が説明会等に参加して要望書を提出する等を行った結果、19階建ての計画に変更された。(それでも容積率450%・指定容積率の1.25倍)
この一件で守る会と有識者が、都知事、区長、都の建築審査会に提出した「代官山●●建替え計画に関する要望書」の中で、「許可制度とは、当該建築物がその地域の環境にふさわしいものでなければならないために、許可をする際総合的な見地から許可をしてほしい」との要望を出した。ところが行政の側から見ると「総合的な見地」とはどのようなものであるかを判断しづらく、代官山では結果的に急遽地区計画を定めようということになった。代官山のこれまでの発展と将来の目指すべき都市像・展望といったものも明確に提示するべき必要があるといえる。
そのようなことも含めて今回の件に関して出した要望は「まちの雰囲気に適合するか否か」「まちの景観に貢献するか、破壊するか」「交通、騒音、日影、風害、電波障害等」「建築後の利用状況の可能性」の4点。
特に4番目の点は非常に意味合いが高い。現行の総合設計制度の許可基準の中に住宅面積が2/3以上という規定はあるが、建設当初は住居であっても利用用途が変化してくる事はあり得る。実際に代官山アドレスの中でも夜中中電気が使われているなど、本当に住居系として使われているのかどうか疑わしい部屋がある。このような点についてきちんとチェックをしてほしい。
そして一番大切だと思われる点として、代官山とは本来非常に成熟度の高い、風格ある地域であると思うが、この地域のあり方というものをきちんと考えていく、その中で総合設計制度を認めても良い地域、認めてはいけない地区をきめ細やかに区分していく、地域の住民の参加を得て地域の将来像を描いていくことが大事、といったことを訴えている。
今回このような要望書を提出できたのも許可制だったからであり、これが申請・確認制に変わっていくと高層の建物が好きなように建ち、どんどんまち並みが破壊されていってしまう。このような問題点を解決していく必要がある。 |
| 《記録:東京ランポ事務局・深田 祐子》
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