「都市再生関連法案を考える会」でのやりとり 2002.03.13


  2002年3月13日(水)の「都市再生関連法案を考える会」で、小泉秀樹氏(練馬まちづくりの会)、林泰義氏(玉川まちづくりハウス)が提示した、法案の論点と課題について、参加者の間でやりとりされた質問と意見を、以下にまとめました。

《都市再生特別措置法案、都市再開発法等の一部を改正する法律案について》
●K氏(千代田区議会議員): これまでは、総合設計制度でマンション紛争などが起きた場合、区議会から行政にストップをかけることもできましたが、行政が関与しない民間建築確認だけでOKとなると、住民にも議会にもどうしようもないですね。
 既存の国の補助金制度では大規模事業が優遇されるようで、小規模事業に対する補助並びに助成する仕組みが欠けているように見受けられます。後者は地域の実状や特性を生かした事業と思われるので、今回この会で提案されている総合事業補助制度によって補助・助成の枠組みが構築されるべきだと思います。
●小泉氏: 大規模再開発事業を通じて箱ものをつくることが本当に都市の再生につながるのか?といった疑問があります。小さな、しかも様々な分野にまたがった「事業・ビジネス」を支援することが重要で、これが本来的な「地域の再生」につながるものだと思います。総合的に市民が発意する事業や企業活動を支援する仕組みが必要であると思います。
●林氏: 新潟県には、地域の再生を目指して、事業を総合的に支援する制度があります。
●小泉氏: (環境影響評価に関連して)再生特区では都市計画に関する様々な規制が特例的に緩和されることになるので、既存の環境影響評価法とは別に、特例的な環境評価が行われるべきと考えています。
●林氏: この他、事業者に関して都市再生特別措置法案に「再生事業を行おうとする者」と記載されていますが、明確ではありません。言い換えれば、再生特区に指定された地域における小さな地権者の提案権限が保障されるかどうかは不明確です。
●O氏(調布まちづくりの会): (都市計画法改正による)提案権限の行使が弾力的に活用できるような手続き上の仕組みがつくられるべきだと思います。また、都市再生特別措置法案の環境条項(36条3項)に日照、騒音などを追加すべきです。

《建築基準法等の一部を改正する法律案について》
●F氏(港区在住): 最近、白金・高輪周辺ではいくつもの大規模再開発事業が計画され、施行されようとされています。今回の法改正によって、現在凍結状態になっている事業が動き出すことは考えられるでしょうか?
 また、「地域特性」という言葉を使われていますが、「地域性」の判断材料とは一体何でしょうか?今の港区長は、「港区の特性は国際性である」という観点から、三田周辺の街並みを雑然であると見なして、クリアランス的な事業によって"きれいな"な景観が創出されると言っています。石原都知事も「国際性豊かな東京にしよう」と言っていますが、こういった地域性とは誰によって、そしてどのように確定されるものなのでしょうか?
●小泉氏: 「地域性」(の判断基準)は、地域の人々の判断に委ねられると思います。地域の多様性は画一的にすべきでないと思います。(その手法として)今回の法改正によって設けられる提案制度を活用した地域独自の基準の策定や、都市マスタープランにおける地域別構想を見直していくことがあると思います。
●林氏: 中間のとりまとめのなかで「20世紀の負の遺産」と言っている木造密集地域は、外国人は日本らしさを感じさせる場所と受け止めています。例えば、谷中では、地域住民が地域の特色を生かしたまちづくりを行っています。よって、クリアランス型でつくられた景観は地域特性を反映しないように思われます。
 現在、東京都は用途地域の全面改訂を行っていますが、これは区が作成した原案に基づいて進められます。原案策定段階において、商業者は積極的に意見を述べますが、住民からの意見表明が少ないように見受けられます。よって、今後、住民側から積極的にアピールしていくべきだと思います。
●S氏(大田区在住): 事業に対する補助金等の関係もあるのでしょうが、(事業決定手続きに関して)自治体は商業者・町会長からの意見を重視する傾向があるように見受けられます。事業決定手続きが商業者・町会長だけでなく、一般住民にも公表されるような規定が盛り込まめないでしょうか?
 また、民間事業者に勤める人のなかには、住民の意向を十分に取り入れたいと思っている人もいますが、会社が住民の意向を無視して事業を行ってしまうため、ジレンマに陥っています。今回の改正が行われると、ますます住民の意見を聞く必要がなくなるため、民間事業者に勤める人たちがさらに夢を持てなくなります。
●林氏: 地域住民のまちづくり活動を支援する仕組み、並びにまちづくりに携わる人たちを地域住民の側から支援する仕組みづくりが必要であると思います。
●A氏(多摩市在住): 多摩ニュータウンでは、用途地域の変更に伴う行政と地域住民との対立が大きな問題になっています。最近、用途地域変更並びに分譲地の公募に関する住民側への事前周知と合意形成について、東京都と多摩市と地域住民との間で、ルール化されました。今後はこの運用のされ方を注視していく必要がありますが、今回の法改正で地域住民への事前周知を規定することはできないのでしょうか?
●小泉氏: これまでの(国土交通省の社会資本整備審議会)都市計画分科会において、「提案制度を設けるのだから都市計画決定に至るまでの手続き上の過程を見直すべきだ」と発言しましたが、今回の法改正では取り入れられなかったようです。(建築確認申請型の「総合設計制度」の)運用方針基準が政令で定められますと、(申請された建築物に対して)説明会や建築審査会のような協議の場がなくなることになります。地域性を反映するためには、政令でなく条例によって規定されるべきだと思います。



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