第2回小委員会 審議内容(概要)

 社会資本整備審議会 都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会 第2回次世代参加型まちづくり方策小委員会が開催されました。

【開催日時】 2003年4月25日(金)14:00〜16:30
【開催場所】 国土交通省11階特別会議室

【議事次第】 1. 開会
        2. 議事
         (1) 委員会の議事の公開について(前回の議論の確認)
         (2) 委員会で議論していく対象について(前回の議論の確認)
         (3) 国内外における参加型まちづくりの事例について(委員からの事例紹介)
         (4) 自由討議
         (5) その他
        3. 閉会

【審議内容 概要】
※ 下記は、東京ランポの機関誌『月刊ランポ NO.62』に掲載したものです。

 東京ランポの山内洋理事、小泉秀樹理事(東京大学助教授として就任)、林泰義顧問(褐v画技術研究所所長として就任)が臨時委員を務める国土交通省都市計画部会は、第2〜4回の次世代参加型まちづくり方策小委員会を開催した。
 参加型まちづくりという、国レベルでは未経験のテーマであるため、この3回をまず委員からの事例発表にあて、発表された内容から論点を探る手順をとっている。第2回(4月25日)では中井委員、小泉委員、林委員、第3回(5月15日)では山内委員、小林(郁)委員、森委員、第4回(6月2日)では土屋委員、山岡委員が発表を行った。第5回(7月11日)での検討を経て、夏頃に中間とりまとめが行われる予定である。
 今号では、第2〜4回の小委員会について、各委員の発表内容を中心にご報告する。

中井検裕委員(東京工業大学教授)
 イギリスでは、都市の将来像を描くデベロップメント・プランを策定する段階で広範な住民参加を行う一方、プランを実現するための個別の開発案件については、一般に参加は行わない。プランは正式な縦覧に入る前に、関心のある団体に送付され、事前協議が行われる。縦覧の際に出た反対意見のうち、合意に至らなかったものは、裁判に擬した公開審問にかけられ、計画審査官が判断を下す。
 事業への参加としては、地域のパートナーシップによる都市再生会社があり、再生マスタープランをつくることで、国から様々な補助金がまとまって出る。市と国、企業、コミュニティが再生会社の理事を構成するほか、マスタープラン策定の際に説明会、特設ブース、意見書などにより市民が参加する。

小泉秀樹委員(東京大学助教授)
 意思決定の民主化により、地域性が確保されることが大切である。都市社会は価値観が多様であり、代表民主主義だけでは不十分というのが、アメリカの都市計画の前提である。議会や首長の決定の場(アリーナ)のほかに、事前にいろいろな主体が協議する場(フォーラム)や、事後に決定の正しさを問う司法の場(コート)を備えている。そうして策定されたものの中心がマスタープランであり、ゾーニングや個別事業を拘束する。
 参加のプログラムとして、シアトルには、市からお金を得て住民組織自らが専門家の支援を受けながら策定する近隣計画や、住民組織が公募したプロジェクトに市がお金を半分助成するネイバーフッド・マッチング・ファンドがある。

林泰義委員(褐v画技術研究所所長)
 日本の90年代のまちづくりには、NPOの登場に伴う「新しい公共」の議論、コミュニティ・ビジネスや地域通貨などのローカル・エコノミー、ワークショップやインターネットによる新しい社会的コミュニケーション手法など、「7つの転回点」があった。
 具体的には、行政の呼びかけを受けて、新潟駅駅舎・駅前広場計画のコンペを、NPOの新潟まちづくり学校が企画運営したケース。専門家が長年にわたって関わりながら民間で進めてきた、谷中の建築や芸術を活かしたまちづくりや、山谷ふるさとの会のホームレス支援施設の運営などがある。今後は、このような「現場からのまちづくり」と「上からの都市計画」が協働の関係を持つことが必要である。

山内洋委員(東京ランポ理事)
 そこに暮らしている市民こそ、自分のまちの専門家であり、総合的・長期的な視点も持てる。都市マスや地区計画づくり、公園や道路や施設づくり、子どもの参加や多様なNPOなど、市民はまちづくりの実績をあげてきた。
 今後必要なことは、市民が合意形成する場を仕組みとして保障することや、NPOへの寄付金を税金のような公共的なお金と見ること、地区計画や建築協定より身近なルールがつくれる仕組みなどである。公募委員として策定に参加した杉並区のまちづくり条例には、身近なまちづくりルールを都市計画審議会の専門部会が認定する仕組みが入っている。

小林郁雄委員(株式会社コー・プラン代表)
 神戸市には、81年にできた地区計画の手続きを定めたまちづくり条例があり、市長がまちづくり協議会を認定できる仕組みとなっている。そのため、震災後も100近い協議会ができたし、以前から協議会のあった地区ではまちづくりが活発であった。協議会の活動は地区によって様々であり、区画整理事業や環境保護活動、マップづくりなどを行っている。
 都市計画の究極の目標は「自律生活圏の多重ネット社会」であり、個々の行動規範を持った市民の活動が連帯していくことが大切である。まちづくり協議会は、市民が参画協働体制をつくるうえで、重要な組織である。

森稔委員(森ビル社長)
 六本木ヒルズは完成までに17年を費やしたが、森ビルはデベロッパーとして様々な役割を果たした。約600人の地権者・借家人の権利調整をした結果8割の人が残り、値下がり前に約束した価格で保留床を買い取り、転出する人の移転先を確保し、行政や議会との折衝を行い、建築家とデザインを考え、道路や公園などの公的施設も生み出した。
 デベロッパーが存在して成り立つ再開発の場合、東京全体の活性化や国際化、文化施設など、目的が大きい。地元の人たちだけでは、多少の改良や保全といった話は出てきても、そういった展望は出てこない。

土屋正忠委員(武蔵野市長)
 武蔵野市が取り組んだ参加事例として、武蔵境駅北口の再開発がある。市の長期計画に位置づけられて以来10年以上進まなかったが、自分が市長になったのを機に、賛成派、反対派も入れた25人の市民委員会を発足させ、まちのあるべき姿について徹底的に議論してもらった。その結果、都市計画案として説明するころには反対者ゼロになっていた。なお、線引きだけは私有財産に関わることなので、選挙で選ばれた市長の責任で行った。
 木の花小路公園は、相続で売りに出された屋敷林を市が買い取り、大きな木を切らないことを条件に市民に考えてもらった公園。また、子どもの発汗機能の発達を考え、公立保育園に冷房を入れずに「涼」環境を創出するため、電子会議室を設けて保護者や保育士、専門家が議論できるようにした。

山岡義典委員(日本NPOセンター常務理事)
 参加・協働型ということばを使ったが、参加というのは行政活動に個人が参加する話、協働というのは行政とNPOのような組織対組織の話だと考える。参加・協働は、ハード−ソフトという軸、市民−行政という軸でタイプ分けできる。例えば、遊休の公共施設を市民が管理運営するのは、ハードとソフトにまたがり、市民と行政が協働するものである。
 まちづくり団体は、町内会のような住民型組織とNPOのような市民型組織の中間にあるような性格である。両者は対立しやすい面もあるが、いいまちづくりではどちらかがアプローチして、うまく協働関係が成り立っている。

議論の傾向
 これまでの議論で、多く話題に上っているのは、下記のようなものである。
・都市計画の手続きとして、「協議」「決定」「司法」の段階を備えることの制度化。
・3分の2の賛成が必要な都市計画法の提案権だけでは足りず、住民やNPOや企業が対等に代替案を出せることの保障。
・私権に手を出す都市計画の責任の所在の明確化。市民参加と市長や議会など代議制との関係。
・包括補助金、ファンド、税控除、アセットなど資金的支援メニュー。
・ビジョンを描くマスタープランのレベルで大きな参加を行い、個別事業では小さな参加でよいという組み合わせ。
・マスタープランに描いたものをどう実現するのか。デベロッパーの協力のあり方は。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)

社会資本整備審議会第2回次世代参加型まちづくり方策小委員会議事録(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/singikai/infra/city_history/city_planning/jisedai/2/030425.pdf
都市計画分科会トップページへ