社会資本整備審議会 都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会
第7回都市交通・市街地整備小委員会が開催されました。
【開催日時】 2003年3月27日(木)14:00〜
【開催場所】 国土交通省都市・地域整備局局議室
【議事次第】 1. 開会
2. 議事
(1)
「便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地の整備はいかにあるべきか」
とりまとめ(案)について
(2) その他
3. 閉会
【審議内容 概要】
※ 下記は、東京ランポの機関誌『月刊ランポ NO.61』に掲載したものの一部です。
東京ランポの齋藤明子副理事長、小泉秀樹理事(東京大学助教授として就任)、林泰義顧問(褐v画技術研究所所長として就任)が臨時委員を務める国土交通省都市計画部会の3月から4月にかけての動きをご報告したい。
まず、3月27日に第7回都市交通・市街地整備小委員会が行われ、小委員会の「とりまとめ」について最終審議を行った。その後、4月14日の第3回都市計画部会で、公園緑地、下水道・流域管理の2小委員会とともに、「とりまとめ」が正式に議決された。ここでは、議決された「とりまとめ」の概要を示したうえで(次ページ)、3月27日の審議の様子をお伝えしたい。
第7回都市交通・市街地整備小委員会/3月27日
小委員会が昨年7月に出した中間とりまとめに、その後の審議結果を加えた「とりまとめ(案)」が事務局より示され、小委員会としての最後の議論が行われた。
齋藤委員の反論
「とりまとめ(案)」に対しては、ほとんどの委員から根本的な異論は聞かれなかったが、齋藤委員は全体にわたって検討したうえで、まとまった反論を行った。以下に、その主な点をまとめた。
・とりまとめの内容が、国土交通省が取り組める範囲に限定されてしまった。審議会としてのとりまとめであるのだから、他省庁の担当に関わることであったとしても、あるべき姿としてきちんと盛り込むべきである。
・高度な土地利用がなされていない都心部が残ったまま、拡散的な都市構造になったことが批判されているが、問題なのは、一極集中をそのままにしたことであり、そのせいでスプロールが起こったのである。とりまとめに謳われている、市街地のコンパクト化は、一極集中を意味するものであってはならず、コンパクト化した市街地がたくさん分散(拡散ではなく)しているような都市構造でなくてはならない。
・「都市政策を経済政策として捉えることを改める」とあるのは素晴らしいが、実際に書いてあることは、民間事業者の経済活動を促進するようなことばかりで、それはまさに経済政策ではないのか。
・「人間回帰の都市への再生」と謳われているが、市街地整備の箇所では、人間がほとんど見えてこない。見えてくるのは、社会や人々を分断して、コミュニティを崩壊させるようなやり方ばかりである。土地利用密度を高める方法も、高層ビルを建てることを考えるべきでなく、建ぺい率を高めて、まちなかで人が密に出会うような賑わいを生むことを考えるべきである。
・オープンスペースを確保することが書いてあるが、犯罪の温床にならないだろうか。公開空地をいくつか見たが、まさに「空しい」場所になっており、お金持ちが庶民と接触しないでいられるようにつくられている。
・人口が減少していくなかで、一部の地区に人口を集めてしまえば、当然、他の地域は急激な人口減を招く。そのようなハードランディングではなく、全体的に減少の比率を一定にするようなソフトランディングも考慮すべき。
・市街地開発事業などに昨年の都市計画法改正で加わった都市計画提案制度を活用するとしている部分は削除すべき。NPOなどの多様な主体の参画ができるような手段を講じてからでないと、資金力のある企業だけを歓迎するというメッセージになってしまう。
・民間施行を支援するための自治体財源の確保に関する話があるが、後年につけを回すような方式になっており、よほど広範な市民の同意なくしてそんなことをすべきではない。
・市街地整備手法として、物理的な建て替えの話ばかりが出ているが、例えば、入居したテナントがすぐに出て行くといったことがないよう、開発後の利用可能性の検討などにも言及すべき。
・海外で力を入れて取り組まれたような、縮退する市街地への対策に見るべきものがない。どうしてよいかわからず、NPOに投げている感じ。NPOが活発に参加するには、税制や契約制度の改革、包括的補助金の導入などが必要であり、とりまとめにあるような、行政の下請けで草刈りをするのがNPOではない。
他委員の意見
齋藤委員の反論は、最終審議の場ということもあり、実際に「とりまとめ」の方向を変えるには至らなかったものの、他委員の議論を呼び起こし、小委員会内に大きな意見対立が存在することを明らかにした。
まず、ディベロッパーの委員は、齋藤発言を聞いて、「完全に意見が対立していることがわかった」とコメント。六本木ヒルズを例に、公開空地は、地権者がみんなで土地を出し合ってつくり、ガーデニングなどをやっていると反論。大企業にお金があってやっているのではなく、お金を懸命に集めてやっているのだと述べた。
また、東京都副知事(当時)の委員は、分散型の都市構造については、東京都も多心型都市構造として取り組んできたが、否定的な感想を持っているとし、審議会としては、分散型の時代は済んだと総括してよいのではないかと述べた。
結果としてできた「とりまとめ」は、大きな方向性として、「社会的・文化的な意味も含めた持続可能な都市づくり」、「人口減少を人々が豊かに活き活きと暮らせる魅力ある都市環境」、「目指すべき都市像、市街地像は、都市毎に市民合意のもとに共有される」などを掲げている。しかし、詳細については、「コンパクトな市街地」への転換の名のもと、既成市街地における民間施行による大規模整備手法や、そのための行政による手厚い支援内容ばかりが列挙されている。そこで暮らす人間の生活への視線なしに、既成市街地の土地利用の高度化と称して、超高層ビルとオープンスペースを生み出す施策だけを盛り込んだ、この「とりまとめ」が、果たして国民生活を豊かにするものとなっているのか、大いに疑問である。
「良好な市街地及び便利で快適な都市交通をいかに実現・運営すべきか」概要
平成15年4月14日
T 今後の都市政策を考える上での課題
1 社会経済の動向
・地球温暖化対策は最も重要な課題の一つ
・人口減少に対応した都市政策・都市経営
・少子高齢化に対応した交通基盤や居住環境整備
2 市街地及び都市交通の課題
・低密度の市街地が薄く広がる拡散型都市構造
・木造密集市街地の解消の遅れや都市犯罪の増加等、都市の安全性の低下
U 都市政策及び市街地整備・都市交通の基本的方向
1 今後の都市政策の方向
・地球温暖化への対応とともに、社会的・文化的な意味も含む持続可能な都市づくり
・人口減少を豊かに活き活きと暮らせる魅力ある都市への好機と捉える
・社会資本整備への投資の重点化・効率化
2 市街地整備・都市交通の基本的方向
・目指すべき都市像、市街地像は、都市毎に市民合意のもとに共有される
・コンパクトで多様な機能を有する市街地に改編し、誰もが住みやすくする
・重点を新市街地から既成市街地に移す
V 市街地のあり方とその整備推進方策
1 都市像及び市街地像の明確化
・目標とする都市像や市街地像を明らかにした上で、政策を重点実施
・都市像や市街地像は、住民と行政の共通の目標となるような手続きで定める
2 従来の既成市街地の整備手法の課題
・既成市街地の土地利用密度を高めたり敷地等を統合するには新たな整備手法が必要
3 今後の既成市街地の整備方針
・行政は、民間施行への支援条件を提示して、民間による事業の立ち上げを促進
・民間が施行可能な領域を拡大し、民間のノウハウ、資金力、機動力を最大限活用
4 既成市街地整備の推進方策
・民間施行の事業の推進のため、行政は資金助成と規制緩和を総合的に実施
・地区の開発潜在能力に応じた新たな市街地整備手法
5 市街地が縮退する地区の考え方
・特定の地区の人口減少が集中的に発生し、市街地として機能しなくなることを想定
・自然回帰・人間回帰の場となるよう、今後検討が必要
・高齢化や防犯・防災の対策等ソフト施策が重要で、地区レベルでの判断・対応が基本
W 都市交通のあり方とその実現・運営方策 (省略)
社会資本整備審議会第7回都市交通・市街地整備小委員会議事録(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/singikai/infra/city_history/city_planning/city_traffic/7/city_traffic_.html
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