社会資本整備審議会 都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会
第6回都市交通・市街地整備小委員会が開催されました。
【開催日時】 2003年3月5日(水)15:00〜17:00
【開催場所】 国土交通省都市・地域整備局局議室
【議事次第】 1. 開会
2. 議事
(1)
「便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地の整備」について
(2) その他
3. 閉会
【審議内容 概要】
※ 下記は、東京ランポの機関誌『月刊ランポ NO.60』に掲載したものです。
東京ランポの齋藤明子副理事長、小泉秀樹理事(東京大学助教授として就任)、林泰義顧問(褐v画技術研究所所長として就任)が臨時委員を務める、国土交通省都市計画部会の都市交通・市街地整備小委員会が再開された。
これまで、2月3日(第5回)、3月5日(第6回)と行われ、3月27日(第7回)を経て最終とりまとめをすることになる。最終とりまとめは、4月14日に行われる第3回都市計画部会にて、都市計画部会として議決する予定である。
今号では、第5回と第6回の都市交通・市街地整備小委員会について報告する。
第5回都市交通・市街地整備小委員会/2月3日
昨年12月13日の第2回都市計画部会では、小委員会が7月に出した中間とりまとめに対して、多くの指摘があった。その指摘をもとに、次の3つの議題が、今後議論すべきテーマとして示された。
1 総合的な交通政策
2 自転車対策
3 住宅市街地の空洞化対策
第5回小委員会では、1と2について国交省案が示され、議論を行った。
総合的な交通政策の国交省案
国交省が都市交通の目標として掲げたのは、「環境負荷が小さい」「アクセシビリティの向上」である。アクセシビリティとは、乗り場までの行きやすさ、どんな交通手段が選択できるかなど、いかに目的地に容易に到達できるかを表し、自動車等を使って、単に自由に動き回れることだけを表すモビリティとは異なる。
それらの目標のために克服すべき都市交通の課題として、「公共交通機関の衰退」と「交通政策における計画、事業、管理・運営の各段階の分断」を挙げている。後者は、現在の交通政策の体系では、計画があっても、事業段階は事業者任せになっているため、なかなか計画が実現しないことを指している。
これらの課題克服のため、交通政策に総合性を持たせる必要があるというのが、国交省の主張である。公共交通機関の整備のために民間事業者への公的関与を強めたり、政策の実現のために計画、事業など各段階での評価や進捗管理を行ったりする。また、各都市・地域の自主性と政策の社会的公正性を確保するために、住民やNPOを含めた合意手続きを担保するとしている。
総合的な交通政策への意見
国交省案に対しては、小泉委員がまとめていくつかの指摘を行った。まず、都市交通の整備は、土地利用計画と一体的に考えるべきものだが、その整合性が確保されていないこと。また、方向性としては国交省案でよいが、具体的なケースがないとイメージがわかず、国がいくつかのパッケージを示したうえで、モデル地区でやってみるというものであった。
公共交通機関については、様々な交通政策を実践してきた武蔵野市長より、効果や課題が述べられた。コミュニティバスは、市場原理でカバーできない部分を官民協働でやるもので、イニシャルコストは市、ランニングコストは事業者で持っていることが紹介された。
自転車対策の国交省案
中間とりまとめでコンパクトな市街地を目指すとしたわりに、自転車政策が不明確と指摘されたことを受け、自転車対策の案がまとめられた。
提案としては、需要や整備効果を分析して、歩行者や自動車と競合する「自転車走行空間の整備」をすること、行政による整備や取締りだけでなく、民間活力による「駐輪スペースの整備」を行うことなどである。また、自転車をどう扱うかは、都市・地区毎に合意形成すべきとある。
自転車対策への意見
自転車については、齋藤委員がまとめて指摘を行った。利用者さえ自転車のルールをよく知らないことが、歩行者に危害を与えるような利用につながっているので、テレビCM等で周知を図るべきこと。幼児のいる親の必要からすると、二人乗りを禁止するより、二人乗りをしても安全な自転車の開発などのインセンティブをメーカーに与えること。また、駐輪スペースについて、利用便益に応じた負担をすべきとあるが、利用者だけが負担するのでなく、鉄道や集客施設を持つ事業者も負担すべきことを述べた。
また、やはり武蔵野市長から、自転車対策の実践例が紹介された。利便性の高い場所に駐輪場を設ける場合、地価が高いため、イニシャルコストの回収が難しいこと。また、公共レンタサイクルは、利用者の回転率が低く、失敗に終わったことなどである。
第6回都市交通・市街地整備小委員会/3月5日
第6回小委員会では、1と2への追加提案、新たに3への提案が国交省よりなされ、議論を行った。
総合的な都市交通戦略と自転車政策の議論
総合的な交通政策については、計画、事業、管理・運営と段階的に展開していくには、各段階から前段階に評価をフィードバックするような「戦略」が必要であること。自転車対策については、アクセス機能重視道路(沿道施設への自動車のアクセスを重視する道路)で車道の一部を自転車専用道路に転換する提案や、固定資産税等の減免による民営駐輪場の整備促進の提案、民営駐輪場業者の事例などの紹介が、国交省よりなされた。
マナー向上なども含めた総合的な自転車対策にやる気を示すような自治体だけを支援すべきであるとか、公共の無料駐輪場が便利な位置にあることで民営駐輪場が成り立たないといった意見が、委員より聞かれた。
縮小する市街地の対策の国交省案
今後の人口減少下で予想される市街地の縮小について、国が明確に取り上げるのはこれが初めてという。人口減少はすでに都市・地域レベルでは始まっていることであり、九州大学大学院での北九州市を対象とした研究をもとに、国交省の考察が示された。
これまでの人口減少は、古くて居住環境が劣り、交通利便性の低い地区で発生していること、そのような地区では、若い世代の流入がないために高齢化が進み、居住者の転居や死去により空家・空閑地が増加して、犯罪や災害の危険度が高まっているとしている。
提案は、このような地区を、「市街地として維持すべき地区」と「市街地の縮小を受容する地区」に分け、前者に対しては、中間とりまとめで示したような、敷地の統合などによる市街地整備を行い、後者に対しては、地域住民やNPOと連携した、空家・空閑地対策、高齢者対策、防犯・防災対策など、都市環境の維持を図るソフト施策を中心に行うとしている。
縮小する市街地の対策への意見
林委員は、30〜40年前に欧米で起きた市街地縮小への対策を見ても、ソフトを含めた施策が有効であり、ハード偏重の従来の都市計画制度では対応できないことや、市街地を見る際には、都市経済のようなソフトな指標を、国交省でも用いる必要があると述べた。一方、齋藤委員は、NPOへの言及があったことについて、墨田区向島の木造密集市街地におけるアーティスト活動などを例に挙げて、NPOは風変わりなことをするものという前提で、行政はあれこれ口を出さずに支援すべきことを述べた。
委員から、縮小市街地への国交省の政策意図は、この機会に大規模な都市構造の転換を行うことなのか、問題のある市街地をソフトランディングさせることなのか、という質問があった。国交省としては、放置はできないため問題提起をしたが、政策の方向性はまだ定まっていないとのことであった。
(東京ランポスタッフ・庄嶋 孝広)
社会資本整備審議会第6回都市交通・市街地整備小委員会議事録(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/singikai/infra/city_history/city_planning/city_traffic/6/city_traffic_.html
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