第4回小委員会 審議内容(速報)

 中間とりまとめ(案)への東京ランポの意見
                           
平成14年7月8日


 2002年7月8日(月)の、第4回都市交通・市街地整備小委員会で、国土交通省より提示された
「便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地整備は、いかにあるべきか 中間とりまとめ(案)」
に対する、東京ランポの意見は以下の通りです。


コンパクトな市街地について

 中間とりまとめ(案)の文章からは、東京圏のような大都市圏における「コンパクトな市街地」のイ
メージがわきにくいと思います。4ページU(2)Dに、大都市圏の場合、複数の都市圏の市街地が
重層化しており、それを分節化すべきとありますが、これは、東京圏にあっては、都心3区ないしは
山手線内を単一の都心とするのではなく、周辺区や多摩地区の市がそれぞれに都心を持って、そ
れぞれに「コンパクトな市街地」を形成するという意味なのでしょうか?そうでないと、4ページU(2)
Aにあるような、「日常の生活活動が比較的狭いより身近なところで可能となる市街地」は実現で
きないはずです。大都市圏における「コンパクトな市街地」のイメージは、例えば東京圏を例に、実
際の地名を使って示さないとわかりづらいと思います。
 次に、欧米で「コンパクトな市街地」をつくる目的となっているのは「持続可能性」であり、中間とり
まとめ(案)のなかでも、地球環境問題への言及があります。しかし、欧米では、社会的・文化的側
面における「持続可能性」も目的となるのが一般的であり、持続可能な地域社会が実現されるた
めにも、そこに住む市民が都市の将来に責任を持つ「市民によるガバナンス」が必要なことも、4
ページU(1)や(2)に入れるべきです。4ページU(2)「コンパクトな市街地の概念」からは、東京都
心部で進められている大規模開発の市街地イメージしか見えてきませんが、決して、超高層ビル
をつくることが「コンパクトな市街地」ではありません。むしろ、超高層ビルは、コミュニティの構築を
阻害し、まちと住民の関係を、単なる生産者と消費者の冷たい関係だけに置き換えてしまう面もあ
ります。
 また、4ページU(2)@に「市街地の広がりが縮小し、市街地周辺部での自然の回復も可能とな
る」とありますが、所有関係もあるなかで、周辺部での空いた土地の利用がそんなに思い通りに転
換されるのか大いに疑問です。


都市交通について

 3ページT2で地球環境問題に触れてありますが、乗用・貨物を含め自動車利用の抑制策を強
力に押し進めることを明記すべきです。特に、歩行者や自転車が主役になれる「コンパクトな市街
地」を目指すのであれば、都心部に自動車排除区域を設けるべきです。そのことが、ひいては、公
共交通利用の促進にもなります。もっとも、公共交通にも改善点は多く、同じ地下鉄なのに異なる
会社線に乗り換えると初乗り料金を払い直すといった不便をなくすことは、様々な国の人が闊歩す
る国際都市を目指すのであればなおさら必要です。
 5ページV1の都市内道路の機能分化ですが、トラフィック機能重視とアクセス機能重視に分けて
考える以前に、自動車を排除・抑制する生活道路の区域を指定すべきです。生活道路を抜け道と
して利用することによる、子どもの遊び場の破壊や近隣商店街の分断こそが、生活の視点からは
大きな問題だからです。アクセス機能重視道路については、狭あい道路からは通過交通を排除
し、生活道路からは貨物車・私用の大型車を排除するのを前提に考えるべきです。それから、荷
捌きスペース、停車帯、パークアンドライドなどについては、本格実施する前に、社会実験を大規
模にやる必要があります。
 11ページV3(1)で、都市計画道路の見直しについて触れてありますが、ぜひ最後に次の一文を
入れていただきたいと思います。「とりわけ、計画決定から数十年経ても事業認可に至らない都市
計画道路は、原則廃止を前提に計画決定し直すこととする。」です。


民間事業者に対する支援について

 15ページW3(1)Cにある民間事業者への無利子貸付や債務保証、15ページW3(2)@にある容
積率緩和によって、民間事業者の事業を進めやすくするとありますが、これらの支援を行うにあた
っては、それらを実施する自治体に、厳格な審査のプロセスを義務づけるべきです。なぜなら、
1980年代のバブル経済やすでに懸念されている2003年問題に見られるように、民間事業者には、
楽観的な需要予測をもとに、付和雷同して大量の供給を行ってしまうという悪い行動パターンがあ
るからです。
 今後、経済のグローバル化が進むと、最近の世界的な株安のように、ビジネス環境が不安定に
なる機会は増えてきます。テナントとして期待していた外資系証券会社が、事業規模を縮小してし
まうといったリスクがあることをもっと考えなくてはなりません。また、人口減少社会になり、経済も
高成長はせず、さらにSOHOなど広い場所を必要としないビジネスが増えるなかにあっては、不動
産、建設需要はゼロサムゲームであり、どこでもかしこでも需要が増えるということはあり得ませ
ん。
 以上のようなことを考えると、民間事業者のリスクは大きなものであり、その民間事業者を支援
するにあたっては、厳格な審査と責任をとる体制が必要です。例えば、経済、金融、経営、法律な
どの専門家を交えた第三者機関が審査を行い、首長が責任を持って決定することです。しかも、
その情報を公開する必要があります。


住民の発意と公共性について

 中間とりまとめ(案)のなかで、「高い公共性」という表現がさらっとなされていますが、公共性が
高いかどうかは、どのように判断するのでしょうか。日本の政治・行政・司法システムは、行政職員
が間違いを犯さないことを前提に成り立っており、地方自治の現場でも、住民参加や住民との対
話が不十分なまま、行政職員がものごとを決めてしまい、後で対立や反発を生んでしまう例が多く
見られます。課題ごとに、適切な当事者の参加を図り、それらの合意ができていることを「高い公
共性」と呼ぶべきです。
 また、13ページW2(2)に、「市街地環境に課題があっても、民間の自主的な発意がなければ、行
政は基本的に関与せず、事業が立ち上がらない場合にもこれを是認する」とあること自体は悪くな
いのですが、14ページW3(1)@にあるように、事業の初動期またはそれ以前に、住民が発意を持
つことを支援する仕組みを充実すべきです。例えば、自治体はすでに活動しているまちづくりNPO
と協力することや、まちづくり協議会の立ち上げを支援して、できるだけ住民自身で事業を推進し
ていけるようにすることです。その際、気をつけるべきことは、コーディネーターが入るのであれ
ば、事業に関係する可能性のある建設、不動産業者とは無関係な、中立的・独立的な者が、住民
と行政と事業者の間に立つことです。事業者との間に、資本関係がない、売上高に占める割合が
一定以下といったことを要件にする必要があります。住民と事業者との間には、大きなパワーギャ
ップが存在するため、こういった中立的・独立的なコーディネーターがいることが、住民が事業者
の都合に偏重した判断をさせられないためには重要です。
 15ページW3(2)Aにある木造密集市街地の整備については、都市計画道路による「防災環境
軸」が目玉のようですが、このような大きな事業は、関係・周辺住民の丁寧な合意形成手続きなし
には進めない旨、明記すべきです。


いまある「まちのよさ」を維持できる手法について

 中間とりまとめ(案)では、新たに市街地を整備する手法だけが書いてありますが、そのまちを個
性づけ、住民や就業者の愛着を生んでいる、いまある「まちのよさ」が、どこにでもある画一的なビ
ルや、儲けしか考えない開発によって、破壊されないような方法をもっと考えるべきです。相続税
が高くて物納せざるを得ないことへの対策や、前面道路が4m以下でも建て替えを可能にすること
など、いろいろと知恵を絞る必要があります。そういったルールは、国が画一的に決めても、実態
に合った柔軟なものにはならないので、自治体で決めることができる領域を広げていく必要があり
ます。そうすることで、いまあるコミュニティのつながりや情緒ある街並みを維持することができ、海
外にも誇れる、日本らしいまちをつくることにつながります。いずれにせよ、市街地整備は、そこで
どのような暮らしや活動が営まれるかを考えたうえで、行うものでなくてはなりません。


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