第2回小委員会 審議内容(速報)

 「便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地の整備」
  に係るテーマ(その1)           
平成14年5月27日


テーマ0:コンパクトな市街地形成

背景1:拡散型都市構造の弊害
・ 長距離通勤を発生させ、生活時間に節約
・ 自動車依存と相まって、慢性的な交通渋滞の要因
・ 地方都市では中心市街地の活力低下
・ 都市機能の分散化によって、都市的生活を阻害

背景2:地球温暖化問題と後期高齢者への対応
・ 二酸化炭素削減のためには、自動車交通量(台キロ)の削減が必要
・ 着実に増加し続ける後期高齢者に対応して、移動が容易な市街地形成が必要

基本的考え方
1.土地利用密度を高めることによって市街地の広がりを縮小
○ 都市規模は維持しつつ、都心部を中心に土地利用密度を高めることによって、市街地の広が
   りを縮小
○ 縮小した市街地周辺部においては、自然の回復
2.複合的な土地利用の実現
○ 居住機能をはじめ、就業など多様な都市機能が集積した複合的な土地利用を実現
 ⇒ 徒歩・自転車によって日常的な移動の多くが可能
3.中高層市街地におけるオープンスペースの確保等
○ 良好な環境を形成するため、オープンスペースを確保
○ 低層階の用途やデザインの工夫により、にぎわいのあるヒューマンスケールの通り空間を創
   出
4.細分化された敷地・街区の統合
○ 現状の既成市街地における細分化された敷地・街区を統合、共同利用することによって、高
   密度化に相応しい敷地規模を確保
5.大都市圏におけるコンパクトな市街地の形成
⇒ 構成する圏域毎にコンパクト化
○ 様々な拠点性を有した中心市街地を核とする圏域が重なり合っている大都市圏では、この圏
   域毎にコンパクトな市街地を形成
○ 圏域毎の市街地の縮小によって生じる空間において、緑地や農地等を創出
○ 場合によっては、連たんしていた市街地を分節化
○ この際、河川等の既存のオープンスペースを活用
○ 母都市の都心部等では、土地利用密度を高めつつ、空地を創設・集約することによって、相
   当規模の緑地空間を創出

意義・効果
1.人と物の快適で円滑な移動の確保
・ 移動距離の短縮によって、自動車利用から徒歩や自転車に転換
  → 過度の自動車依存からの脱却
・ 物の移動についても、市街地のコンパクト化による移動距離の短縮と市街地の高密度化によ
  る積載効率の向上
・ 公共交通については、最混雑区間である都心流入区間で混雑緩和が実現
・ 交通機関利用に制約を受けがちな後期高齢者の日常的活動を容易に
2.豊かな都市活動を支える都市環境の実現
・ 魅力ある都市生活の実現←移動時間の短縮と各種都市機能の集中
・ 都市型産業の活性化と育成
・ 中心市街地の活力と魅力の創出
・ 良好な生活空間の創出
・ 都市経営コストの小さな都市の実現
・ コミュニティの再生

 《参考》宇都宮市(人口約45万人)を例としたコンパクト化の効果
  宇都宮市の市街地(概ね市街化区域)において都心居住を進めることによる自動車の総走行
 距離の短縮効果を試算した。
 (試算仮定)
  ○ 都心部(概ねJR宇都宮駅から東部宇都宮駅間の地域)への周辺市街地からの通勤者は、
    約1.4万人。この通勤者と家族(合計3.7万人)が都心部に転居したと仮定。
 (試算結果)
  ○ 自動車の総走行距離が約11.6%程度削減。
  ○ これは京都議定書でのCO2削減目標である6%よりも大きな数値である。
 (効果の解説)
  @ 例えば、転居前の通勤者1.4万人のうち、6千人が自動車で平均3.4kmの距離を通勤してい
    たが、転居後は自動車利用者が2千人に減り(徒歩等に転換)、その移動距離が平均1.2km
    になること等による短縮効果である。
  A 都心人口の増加(昼間人口は1.4倍)に伴い都市機能が都心部に集積することにより、例え
    ば、買い物等のために都心以外に自動車で移動していた1万1千トリップ(平均移動距離
    6.8km)のうち、2千トリップが徒歩等に転換し、自動車移動として残る9千トリップの移動距離
    も平均3.2kmになること等による短縮効果である。
                      (平成4年宇都宮都市圏パーソントリップ調査結果より試算)

テーマ1以降の検討に当たっての前提
・ コンパクトな市街地形成に当たっては、その市街地の地域性、歴史性、ポテンシャルや都市基
 盤の状況などに応じた目標像が共有されるべきこと。
・ 市街地の縮小によって生じる郊外の空間のあり方は、自然環境の再生が中心と考えられる
 が、居住機能の扱いは、今後の課題とすること。

論点
1:高密度市街地では都市内道路の水準や構造は、どうあるべきか。
⇒ テーマ1:都市内道路の機能分化
2:既成市街地の有効高度利用を実現する市街地整備手法は、如何にあるべきか。
⇒ テーマ4:既成市街地の新たな整備手法


テーマ1:都市内道路の機能分化

背景
・ コンパクトな市街地形成によって、高密度市街地となる都心部では徒歩・自転車交通が増大す
 るとともに、公共交通や自動車交通の増加も懸念され、都市内道路の効率的な整備、運用が必
 要
・ 都市内道路は円滑な自動車交通の処理が期待される一方で、駐停車需要等も発生するため
 に、本来果たすべき役割と実際の使われ方に齟齬が生じて、十分な整備効果が発揮されないこ
 とが多い
・ 都市内道路整備は、既存ストックの有効活用も意識しつつ、整備効果の高い路線に重点投資す
 ることが必要

論点
1:多様な機能が期待される都市内道路を効果的に整備し、使うための方策は、如何にあるべき
 か。
2:都市内道路の自動車のトラフィック機能(人及び物の移動のための機能)を確保するため、アク
 セス機能(沿道の建物等への出入り、荷捌きスペースとしての機能)をどこまで制限するべきか。
 また、どのように制限するべきか。
3:都市内道路のアクセス機能をどのように確保、充実させるべきか。
4:高度利用が実現した市街地において、自動車交通との錯綜を避け、多量の歩行者・自転車を
 快適かつ安全に処理するための方策は、如何にあるべきか。

提案
1.都市内道路については、トラフィック機能又はアクセス機能のいずれかを重視して、計画・整備
2.トラフィック機能を重視する道路(トラフィック機能重視道路)については、
・ 都市計画マスタープランに明示
・ 一般車両やタクシーの駐停車及び荷捌きを制限
・ 区画道路及び停車・荷捌き施設との一体的な整備を実施
・ 交差点容量の拡大(交通条件を考慮した構造形式の導入や工事期間の短縮による交差点立
  体化の促進、右左折レーンの設置、信号処理の工夫等)

 《参考》東京都区部におけるトラフィック機能重視道路の試算
  区部の都市計画道路(完成、概成)のうち、放射・環状道路をトラフィック機能重視道路と仮定す
 ると、
  ● 平均走行速度19.8km/h → 22.0km/h(11%増)
  ● 走行時間費用は約4600億円削減
  ● CO2排出量は6%減少

3.アクセス機能重視道路については、
・ 停車・荷捌きのための機能強化が必要
・ 中心市街地等においては、徒歩や自転車の空間と融合し、にぎわいを演出
・ 駐車場政策と連動して、駐車場の出入口の集約整備
・ 沿道空間との一体化を進めるとともに、まちづくりと連携
4.整備する区間だけでなく、既存道路も含め機能分化を図ることが効果的であり、このために
  は、沿道利用も含めた長期的な取り組み(例えば、沿道市街地の更新に連動した区画道路、停
  車・荷捌き施設整備や駐車場出入り口の誘導)が必要
5.徒歩、自転車のための空間のあり方は、自動車交通に関する機能分化にかかわらず、円滑で
  快適な移動ができるように計画・整備するとともに、民地内の空間確保も含め面的に確保する
  ことが必要
6.効果的、効率的な都市内道路整備を推進するためには、当該道路の機能に応じて、計画、整
  備、運用の方策を変えることが必要
⇒ テーマ5:事業の進め方の改編


テーマ2:駐車場政策の充実

背景
・ コンパクトな市街地においては、徒歩、自転車の利用しやすい交通空間の確保が重要である
 が、駐車場からの出入り交通が歩行者や自転車の動線を分断し、安全快適な交通環境を阻害
 することが懸念
・ コンパクトな市街地の中心部においては、市街地の高密度化により、駐車車両や荷捌き車両が
 増加し、路上駐停車車両や、沿道宅地からの自動車の出入りにより本線のトラフィック機能に影
 響を与えることが懸念
・ 従来の駐車場政策は、民間による量の確保が主眼であり、駐車場の配置や利用の仕方に関与
 できない

論点
1:走る、止まるといった自動車の動きを地区レベルで一体として計画・誘導できる駐車場政策とす
  べきではないか。
2:徒歩、自転車の交通空間や土地利用を阻害したり、接続する道路のトラフィック機能及びアクセ
  ス機能を損なわないよう駐車場の配置や出入り口の設置をコントロールできないか。
3:高密度な市街地における荷捌き交通需要の円滑な処理方策はいかにあるべきか。
4:地元が中心となって、地区単位で計画的な駐停車施設の整備・運用が図られる体制が創れな
  いか。

提案
1.地区の特性や交通状況等に対応した、地区レベルでの駐車場施設の規模、配置に関する方
  針の策定
2.附置義務駐車場制度(地方公共団体が商業地域内等において、一定規模以上の延床面積を
  持つ建築物を新・増築するものに対して、条例でその建築物又は敷地内に駐車場を設けること
  を義務化する制度)における隔地駐車場(建築物又はその敷地から離れたところ(隔地)に条例
  により例外的に設ける附置義務駐車場)を活用することによって、民間駐車場の共同化、集約
  化を促進
3.地区計画等を活用し、トラフィック機能重視道路やトランジットモールなどに対しての駐車場出
  入り口の設置を制限
4.駐車場の共同化、複数の駐車場の共同運営や地区の駐停車の秩序化を推進する体制の整
  備


テーマ4:既成市街地の新たな整備手法

背景
・ コンパクトな市街地を形成するためには街区再編と敷地集約化が必要
○ 我が国の既成市街地は、敷地が細分化
○ 土地の有効高度利用を図るためには、街区再編と敷地集約化が不可欠
・ 複雑な権利調整を伴う街区再編と敷地集約化に対しては、土地区画整理事業と市街地再開発
 事業の2つの事業手法があるが、その実施される範囲は限定的
・ 街区再編と敷地集約化のためには、全面的な建物移転とそれを前提とする複雑な権利調整が
 必要となり、その合意形成の難しさと高い移転補償費等により事業費が嵩むことが、事業が広
 範に実施されない原因

論点
1:事業実施に伴う合意形成をより円滑にできないか。
2:事業実施に伴う移転補償費等の事業費を軽減できないか。
3:既成市街地整備において、より民間の力が活用できないか。

提案
従来の整備手法による事業の推進に加えて、新たに以下の整備手法を提案する。
1.民間施行による事業を既成市街地整備に活用
○ 民間の有する都市整備のノウハウとマンパワーを既成市街地整備に活用
2.民間施行がより拡大するよう行政は条件整備
○ 規制緩和、資金助成等により民間事業の採算性を確保
○ 支援内容は、わかりやすく使い易い事前明示性を確保
○ 行政は対象とする課題地区を広く特定し、施行区域は民間が設定
3.民間による建物更新の機会を捉え事業に活用
○ 自主更新が前提であれば移転補償費が軽減
○ 移転に関する合意形成も円滑化し、事業期間を短縮化
4.法定事業ではない任意の民間再開発事業も推進
○ 任意の再開発は法的強制力を持たないが、手続き等に関する施行者の負担が軽減
○ 複雑な権利調整が任意の民間再開発事業で可能な場合は、積極的に支援
5.事業展開の空間的制約の自由度を拡大
○ 共同建て替えのパートナー捜しを容易にする離れた敷地間の権利変換
○ 課題のある地区に近接する区域で事業を実施し、移転者を受け入れるなど地区間のリンケー
   ジにより課題を改善
6.地区のポテンシャルに応じた市街地整備を推進
○ 都心地区等のポテンシャルの高い地区では、大規模な民間都市開発を推進
○ 木造密集市街地等のポテンシャルが相対的に低い地区は、民間の自主更新能力を活用
7.連鎖的な事業展開による大規模な優良民間都市開発の推進
○ 公有地などを活用した空閑地で行われる開発を種地として周辺へも連鎖拡大
○ 開発の規模の拡大により、オープンスペースの確保や複合的な機能導入など優れた都市環
   境を有する開発を実現
○ 再開発会社施行の第2種市街地再開発事業の活用
8.共同建て替えと一体となった街区の再編
○ 事業の立ち上げに必要なコーディネート等への支援
○ 敷地の離れた地権者同士の共同建て替え
○ 高度利用推進区の活用
○ 減価補償地区での民間施行土地区画整理事業


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