1.背 景
今後の都市整備の基本的方向については、国土交通大臣より社会資本整備審議会会長に対して「国際化、情報化、高齢化、人口減少等21世紀の新しい潮流に対応した都市再生のあり方はいかにあるべきか。」として、平成13年7月5日に包括的な諮問をさせていただいている。この諮問のうち、早急に検討をお願いした「民間の都市活動を促す都市計画の枠組み」及び「木造密集市街地解消のための方策」の二つの事項については、平成14年2月7日に中間とりまとめとして報告していただいたところである。
この中で都市の再生のためには、
@ 民間による都市計画の提案制度の導入
A 良好な市街地の整備を実現するための新たな土地利用計画の仕組み
B 地区計画制度の見直し
C 民間の資金、ノウハウを活用する観点からの市街地再開発事業の見直し
D 土地の健全な高度利用のための敷地の集約化
等が必要である旨明記され、これらの課題については、今通常国会で、「都市再生特別措置法」及び「都市再開発法等の一部を改正する法律」が可決成立したほか、「建築基準法等の一部を改正する法律案」が現在審議中であり、必要な制度改正が実現しつつある。
残る二つの検討事項である「21世紀型都市再生のビジョン」及び「次世代参加型まちづくりの方策」についても、引き続き御検討いただきたいと考えている。
「21世紀型都市再生のビジョン」については、近年の国民ニーズの多様化・高度化、地球環境問題の深刻化、少子高齢化の進展、投資余力の減少等の21世紀の新たな動向に対応しつつ、質の高い本格的なまちづくりを実現するためのビジョンとして、御検討いただきたいと考えている。このうち、特に、都市活力の維持や環境の保全、日常生活に欠かせない都市交通、下水道、公園緑地等の都市施設の整備及び市街地整備のあり方については、これら経済社会の動向に対応して、早急に中長期的な視点に立った検討を行う時期に来ている。
このため、
@ 便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地の整備
A 都市内の緑とオープンスぺ−スの確保
B 下水道等による都市の良好な水管理
について、専門的見地からの検討を行うこととし、各課題ごとに小委員会を設け、より具体的な議論を進めていただきたい。
なお、これらの検討がある程度深まった段階で、都市住民のニーズに沿った政策評価の観点から、施策の総合化についても、御議論いただきたいと考えている。
また、「次世代参加型まちづくりの方策」については、別途、都市計画部会に御審議をお願いする予定である。
2.小委員会の設置による検討
(1)中長期的視点に立った便利で快適な都市交通の実現と良好な市街地の整備のあり方
高度成長期の急激な都市化の進展、戸建て住宅指向や製造業の郊外立地需要の増大とこれを支えるモータリゼーションの進展によって、低密度市街地が外延化し、これに対応すべく都市内道路及び市街地整備を進めてきた。しかしながら、市街地の拡大は急激で十分こ対応できないことに加え、自ずと新市街地の整備に重点を置くことになり、既成市街地の再整備は遅れがちとなった。このため、交通負荷、環境負荷が大きい都市や都市基盤が未整備な市街地といった「20世紀の負の遺産」を遺すこととなった。
今後は、この負の遺産の解消を進め、人間回帰の都市を形成することが必要であり、都市再生の実現に向け、都市交通・市街地整備に求められる役割としては、
(a)誰もが容易かつ快適に移動できる交通環境を実現すること
(b)都市防災や交通安全など安全で安心できる質の高い生活空間を形成すること
(c)自動車に過度に依存しない都市交通システムを実現すること
(d)活力ある都市活動を支えるコンパクトな市街地を形成すること
などが考えられ、これらに的確に対応することが求められている。
また、都市計画決定されてから数十年経過しても未整備の都市計画道路が全国に存在し、投資余力や人口が減少するなど都市計画の前提条件が変化するなかで、民間都市開発との連携も実現しつつ、事業の進め方も見直す必要がある。こうした都市の交通及び市街地の整備についての要請に応えるため、
@都市の交通(含公共交通、駐車場)に関する諸施策の総合的な展開
A都市計画道路の効率的・効果的な整備推進方策
B地区特性に応じた多様な市街地整備のあり方とその推進方策
などについて、その実現方策も含め中長期的な視点に立って検討する必要がある。
以上を踏まえ、「都市交通・市街地整備小委員会」を設置して、御検討いただきたい。
(2)中長期的視点に立った都市内の緑とオープンスペースの確保のあり方
これまでの公園緑地行政は、主として一人あたり公園面積を整備指標とし、都市公園の量的な整備拡大に重点をおいて進めてきた。しかしながら、自然環境の保全・再生、都市の防災性の向上等の今日的な課題に応えていくためには、防災機能の強化等についてさらに重点化を進めるとともに、都市全体の緑の質的向上を目標として、公共空間の緑、民有緑地の保全・緑化等と幅広く連携を図りつつ、施策の展開を図るべき段階を迎えている。また、既存の公園ストックについては、市民参画社会の到来等の経済社会動向を踏まえ、これらの適切な管理と活用を進めることにより、緑の豊かさを実感できる生活の実現に寄与することも必要である。
都市再生の実現に向け、公園緑地に求められる役割としては、
(a)広域的な観点も含め、都市の環境インフラとして、失われた都市の自然の再生を目指し、自
然環境の整備と保全を進めること
(b)既成市街地の再構築を進める中で、防災面、環境面等から十分な緑とオープンスペースを
確保していくこと
(c)歴史的・文化的資産の保全等により、地域の個性あるまちづくりに寄与すること
(d)既存ストックを含め、地域住民に愛着を持って利用され、地域コミュニティの拠点となること
などが考えられ、これらに的確に対応することが求められている。
また、あわせてこのような社会的要請を実現していくためには、
@都市の緑に関する諸施策の総合的な展開
A地域の特性・自主性の尊重
BNPOを始め多様な主体の参画による整備と管理の推進
などの観点から、都市公園・緑地保全・緑化推進のあり方について、中長期的な視点に立って検討する必要がある。
以上を踏まえ、「公園緑地小委員会」を設置して、御検討をいただきたい。
(3)中長期的視点に立った下水道等による都市の良好な水管理のあり方
これまでの下水道行政は汚水処理サービスの提供に重点を置いてきており、依然として著しい地域格差の解消は現在でも喫緊の課題となっている。加えて、汚水処理が普及した都市においても、浸水対策や合流式下水道の改善、高度処理の普及等の諸課題が山積している。さらに、下水道は普及拡大に伴って流域の水環境・水循環において重要な役割を果たすようになりつつあり、流域の都市その他の関係者が共通の目的と適切な役割分担のもとに協働する「流域管理」のアプローチなど、必要な施策を計画的・体系的に展開すべき段階にきている。
都市の良好な水管理による都市再生の実現に向け、下水道に求められる役割としては、
(a)汚水処理の普及格差を早期に解消すること
(b)都市水害対策を進め、大雨に対する安全性を高めること
(c)高度処理や普及の重点化により、水道水源における良好な水質を確保すること
(d)合流式下水道の改善や閉鎖性水域における高度処理等を進め、きれいで泳げる海や川、
豊かな自然環境を取り戻すこと
などがある。
一方、厳しい経済財政状況の下で事業の一層の効率化が求められ、情報公開や住民参加への要請が高まっている。また、高度情報化社会、循環型社会の構築や地球温暖化対策等21世紀の新しい潮流に対応して、下水道の有するポテンシャルを十分に引き出すことが期待されている。
このため、下水道を中心に他の汚水処理施設、河川、水道等他部門との連携を含めて、
@施設の効率的な整備と管理運営
A流域管理のアプローチによる施策展開
B21世紀の新たな課題に対応した既存ストックの有効活用
などの観点から、今後目標とすべき成果とその実現方策について、中長期的な視点に立って検討する必要がある。
以上を踏まえ、「下水道・流域管理小委員会」を設置して、御検討いただきたい。
3.小委員会の検討に係るスケジュール(案)
・平成14年 4月以降:各小委員会による審議(3〜4回)
・ 7月 :中間とりまとめ(公表)
・ 9月以降:各小委員会による審議(適宜)
・平成15年 3月目途:とりまとめ
社会資本整備審議会第1回都市計画・歴史的風土分科会議事録(国土交通省)はアップされ次第リンクします。
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