都市再生関連3法制定後の動き(7〜9月) 2002.9.13

東京ランポ


 東京ランポが、その制定過程を追い、修正を求める活動を展開した、都市再生関連3法(都市再生特別措置法、都市再開発法等一部改正法、建築基準法等一部改正法)であるが、成立後、いわゆる「都市再生」に向けた様々な動きが始まっている。

都市再生緊急整備地域の第一次指定
 都市再生特別措置法に基づいて、都市再生本部より、都市再生基本方針(案)とともに都市再生緊急整備地域の第一次指定(案)が出されたのが、7月2日。10日間のパブリックコメント期間の後、24日に政令が出され、正式に第一次指定がなされた。東京都、大阪府、名古屋市、横浜市の計17地域、3,515haが指定されたが、うち7地域、面積割合にして約7割が東京都である。
 パブコメでは、「線引きの理由が不明瞭」「地元住民がほとんど知らない」「案に対する当該自治体からの回答期間が短い」といった意見が出されたが、都市再生本部の回答は、「自治体からの申出をもとに指定した」「自治体とは事前調整も行っており時間は足りている」というものであった。しかし、都内の指定された地域でビル経営をする地権者に聞いたところ、自治体が申出する以前に、説明はなかったという話であった。当該地域の地権者にとっては、生活や事業の行方を左右する重大事にも関わらず、「都市再生」に期待する自治体、東京都と国は、形だけの手続きで拙速に指定を行ったという印象は拭えない。
 なお、8月27日の新聞で、国土交通省が緊急整備地域内のインフラ整備や土壌汚染調査などに使える補助金(10年間で500億円程度)を新設することが報じられた。都市再生特別措置法には、都市再生特別地区における無利子貸付と債務保証の規定はあるが、補助金はなかった。これは、都市再生基本方針にある、法で規定されたものに限らない施策も必要である旨の規定に基づくものと思われる。また、実際に都市計画が緩和される「特別地区」ではなく、その前段の「緊急整備地域」で使えるもののようであり、「特別地区」にならなくても、道路整備などの形で「都市再生」に巻き込まれる可能性が生じたと言える。

都市再生特別地区のためのプロジェクト調査
 先述の、緊急整備地区内の地権者が突き止めた話では、7月23日付で東京都から緊急整備地域内の関係各位宛に、地域内で予定しているプロジェクトに関する調査票が送られていたことがわかった。これは、「都市再生特別地区」を設けるための、予備調査であると考えられる。「特別地区」は、プロジェクトの内容や地権者の合意状況に応じて、柔軟な設置が可能と考えられるため、どのような線引きであれば、実現可能かを考える材料となる。
 こういった調査が、見えないところで進められていることから、先述の地権者は、東京都に調査結果の情報公開請求を行った。結果は、事業者等の企業秘密に関わることや、公開しないことを条件に調査したことを理由に、非開示決定とされた。一般に公開しても差し障りのない情報しか公開しない、現在の情報公開制度の限界ではあるが、地域で生活や事業を営む関係者にとっては、不満の残る決定であろう。

東京都「身近な都市再生のための新たな仕組み」
 7月18日から8月16日まで、東京都が提示した「身近な都市再生のための新たな仕組み」に対して意見募集が行われた。「身近な」と銘打っているように、都市再生特別地区に比べて小さな単位を対象とした仕組みとされている。今回提示された「街区再編プログラム」「街並みデザイナー制度」「民間まちづくり団体の登録・支援制度」は、2001年10月に東京都が出した『東京の新しい都市づくりビジョン−都市再生への確かな道筋−』で示されていたものである。
 意見募集の結果は、東京都のホームページにあるが、件数のみで内容はわからない。東京ランポ職員が出した意見では、「街区再編プログラム」について問題点を指摘した。これは、木造密集市街地のような、敷地が細分化し建て詰まった地域で、小規模敷地を統合し段階的に建て替えることで、結果として空地や道路空間を確保する仕組みである。防災性の向上などが期待できる半面、低層の建物と狭い道路がもたらす顔の見える付き合いがなくなり、まちの活気や相互扶助、防犯性などを低下させてしまいかねない。また、「街区再編プログラム」のフローを見ると、今回の都市計画法改正に盛り込まれた、民間からの都市計画提案制度の活用が位置づけられているが、一説には提案に伴う挙証責任を果たすと、数百万円の調査費が必要とされる。東京都の意に沿うものだけが、都のバックアップを受けて、提案しやすくなることがないようにする必要がある。

東京都で用途地域の見直しが始まる
 先述の『東京の新しい都市づくりビジョン』の実現を図るため、東京都では用途地域等の見直し作業が始まった。これまで8年ごとに行われてきた用途地域等一斉見直しであるが、平成16(2004)年度の決定を目指す今回は、「都市再生」の流れに乗って東京都心部での土地利用の高度化が方針となっていることや、建築基準法改正による建築規制のメニューの拡充をどのように反映するかなどが注目される。
 7月22日付で、用途地域の都市計画決定権者である東京都から、都市計画区域を持つ区市町に「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」が示され、用途地域の原案策定依頼がなされた。杉並区を参考にすると、原案策定の大まかな流れとしては、9月の都市計画審議会で、自治体の用途地域の見直し方針が報告され、その方針に基づいて素案作成。年が明けると、住民説明会が行われて、住民からの意見を踏まえて原案が作成され、都市計画審議会の議決を経て、首長が決定し、来年7月に都に提出されることになろう。
 用途地域は、本来都市計画制度の基本中の基本でありながら、これまで市民が関心を持って意見を述べるということがなかった。92年の都市計画法改正で策定が義務付けられた、都市計画マスタープランにしても、用途地域の見直しと連動しなかったため、あいまいで実効性の乏しいものとなった。今回の見直しでは、改めて都市マスとの整合性をとる作業や、土地利用のより具体的なビジョンに基づいた市民からの提案があってもよい。また、「緩和」を求める意見だけが出てくる傾向があるため、現状が気に入っているという場合には、「現状維持」の意見を出す必要がある。
 もっとも、用途地域や建築規制は、一般市民にはかなり難解な制度であり、まずは住民説明会に向けた学習が必要となる。大田区の市民団体「まち丼」では、建築士のメンバーが講師となって、その他のメンバー向けに、建築基準法の基礎を手始めとして、今回どのあたりが見直しのポイントとなるかなどをレクチャーする勉強会を行っている。他の地域でも、同様の学習を持つことを期待したい。なお、東京ランポでも、そのような要望に応えられるよう、教材や出前講座の体制を整える予定である。



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