第3回用提出済意見第3回斉藤発言はこれに基づいて行われました
社会資本整備審議会都市計画分科会への意見と質問  
2001年10月22日  東京ランポ理事長 斎藤 明子  

<意見>

1. 民間による提案制度について

■企業とNPOが対等に参加できるように
 第2回分科会での事務局からの配布資料における新しい時代の都市づくりの仕組みには、「民間の構想や計画を都市計画として受け止める柔軟な仕組みを構築する」とある。その際まちづくりNPOなどが有効な提案を積極的に行えるよう、前提条件を整備することを忘れないでほしい。
 民間による提案制度については、まちづくりに多様な主体が参加し、相互の討論を踏まえて合意を形成していくという意味で好ましいものと考える。その場合、民間ディベロッパーなどの企業とまちづくり関連のNPOやコミュニティー団体などの非営利団体とが実質的に対等な立場で提案できるように制度を設計することが望ましい。

■NPOが計画から実施まで責任をもてるように
 そのためには、提案者であるNPOが実施まで責任をもてる仕組みをつくることが大切である。提案だけを行政が「いいとこ取り」したため、実施の段階で提案者の意図とは異なる結果となった経験がある。提案したNPO自身が事業主体となることが望ましいが、そうでない場合も計画の実施を監視し、意図と異なれば変更できる仕組みをつくっていただきたい。

■提案を引き出し支援する制度づくりを
 民間ディベロッパーなどの企業は経験、専門性、資金力などで、現時点では非営利団体をはるかに上回っている。また、まちづくり関連のNPOはまだ数も少なく、実際の経験も乏しい。したがって、まちづくり関連NPOが積極的に提案できるようになるには、財政的な支援、スキル向上のための支援制度が提案制度とともに創設される必要がある。
 具体的には、次のような制度を検討すべきである。
(1) 市区町村は、NPOまたはコミュニティ団体が提案するさいの費用を助成するための基金を造成することができる。国は、市区町村の基金に対して、一定率の国庫補助を行う。
(2) 市区町村は、NPOまたはコミュニティ団体が都市計画の案を提案しようとするときは、(1)の基金から必要な費用の一定率を助成するとともに、専門家の派遣その他の援助を行う。
(3) 民間開発事業者が行った提案に対して、NPOまたはコミュニティ団体が代替案を作成し、またはアセスメントを行おうとするときは、(2)の助成等に加えて、当該事業者が一定率の資金をNPOまたはコミュニティ団体に支払わなければならない。
(4) 民間の提案主体には、事業者とNPOまたはコミュニティ団体のパートナーシップによるジョイント・ベンチャーの方式も認める。
 以上の制度をつくるには、アメリカのCDBGやイギリスのSRBが参考となる。


2. 民間の都市活動を促す都市計画の枠組みについて

■「民」の定義について
 現行の都市計画や事業の制度には、NPOなど市民団体が位置づけられていない。前記の事務局の配布資料では、「民」の定義にNPOが含まれているにも関わらず、具体的な役割が書かれていない。都市活動をまちづくりという広い意味にとらえれば、既に各地域でまちづくりNPOが活動している。まずこうしたNPOの活動の実態を調べて、都市計画の枠組みに位置づける必要がある。その際、NPOを特定非営利活動法人に限定すべきではなく、任意団体としても公共的で重要な役割を果たしている非営利団体も含めて具体的に挙げていただきたい。
 東京を例にとれば、台東区谷中で10年以上にわたりまちづくり活動を続け、最近では地域に建設されるマンションをめぐって民間業者と地元住民組織との紛争のコーディネーターとなって解決に導いた「谷中学校」。やはり台東区山谷地区を中心に、路上生活者や失業者の支援活動を行ない、2年前から1人暮らしの高齢者や単身女性などが地域社会で自立するための中間・通過施設である宿泊所を開設し運営している「自立支援センター・ふるさとの会」などの団体である。

■都市計画への「民」の位置づけのあり方
 都市計画で事業者団体以外の民間団体の位置づけは、わずかな自治体が条例でまちづくり協議会を認定している程度である。「民」を制度的に規定する場合、基本的にはあらゆる段階の都市計画を民に開放したうえで、一律に扱わず、それぞれの団体の性格や能力の違いにより、具体的に細かく分けて考えるべきである。

■NPOの役割
NPOの役割としては、合意形成や技術支援などが得意分野であり、また財団からの資金調達を斡旋するなど、各主体をつなぐ役割も果たせるであろう。また、一方では今後はまちづくり協議会がNPOとなってくる動きも生じる。重要なことは、地域のコミュニティとつながっていながら、権利関係にとらわれない第3者的な市民の役割を果たせることであろう。


3.「事前明示性」と都市計画手法(規制)のあり方

 前記の事務局配布資料では、「土地利用の在り方を事前明示的に示すことは困難」と指摘されている。しかし、規制の内容が、事前にわかりやすく明示され、インターネットなどで確認できる仕組みはもっと進めるべきである。
 そのうえで、用途地域性や都市計画道路などは硬直的に運用するのではなく、住民参加による協議などにより、選択肢や例外、変更や廃止を認める制度をつくることが重要となる。ニューヨーク市のように、住民参加のコミュニティボードの協議で、ゾーニングのバリアンス(適用除外)を認める制度を、自治体の条例で認める仕組みはできないであろうか?
 特に、日影規制を緩和する意見に関しては、近隣紛争の現状から見て賛成できない。ただ、現行制度の枠内で紛争が起こっているわけであるから、日照権の保障をいっそう進め、よりよい環境づくりをする制度を強化すべきであろう。


4.都市計画の時間について

 都市計画決定に時間がかかりすぎるという主張があるが、むしろ計画決定が簡単すぎで、事業が進むのに時間がかかりすぎだと思う。もっと多様な主体を参加できるようにし、十分な時間をかけ、事業認可をスムーズにするべきだと考える。
 時間についていえば、20年以上経っても事業化できないような都市計画を廃止・再決定するサンセット方式で無駄な都市計画をなくすような時間管理の導入が必要となっている。


5.街区再編プログラムについて

■コミュニティを育てる制度とすること
 街区再編や木造密集地域の再開発に当たっては、第1に、それまでに培われたコミュニティの人間関係を損なわないように配慮すべきである。また、開発がコミュニティをより充実させていくように組み立てられるべきである。特に、転出者への優遇策だけが書かれていることが問題である。転出者が増えるということは、コミュニティが壊されることにもなる。むしろ、住み続けられるための優遇策を手厚くするべきである。米英のコミュニティ・ディベロップメントの考え方によれば、コミュニティ・メンバー自身の能力の拡充が目標のひとつとされ、それゆえ、コミュニティの当事者が開発に参加することが必須の要件とされている。日本でも既成街区の再編にさいしては、この点に最大の配慮を払うべきである。
 この場合のコミュニティの当事者には、地権者だけでなく、近隣住民、まちづくり関連のNPOなどの幅広い関係者がプランニングの段階から参加することが肝要である。

■都市マスとの整合性の確保を
 第2に、街区再編は画一的な用途地域指定を緩和し、地域特性を生かした開発を容認する方向にあるように見受けられる。しかし、街区ごとに異なる用途や容積率で開発した場合、アンバランスな都市機能・都市景観を生み出すおそれもある。地域特性を生かした開発は、都市計画マスタープランにそって、その枠内で行われるべきである。都市計画法に、地域特性を生かした再開発を行う場合には、都市計画マスタープランにもとづく旨明記し、その手続規定を置くべきである。

■取り残された地域こそNPOと行政の役割が大きい
 民間資金の誘導制度をつくっても取り残されるような地域こそ、問題が深刻である。このような市場原理が働かない地域で行政とNPOが協働して都市再生を図る仕組みを考えていきたい。


<質問>


1. 街区とはいったいどの区域のことを指すのでしょうか?
 敷地単位でなく、街区で建替えをする場合、どのような法的な問題が生じるのでしょうか?
 基本的には、話し合いで合意のできたところから共同で建替えを行う修復型の方法と折り合いがつくのでしょうか?

2.良質な街並みとは、どのような概念でしょうか?
 「良質な街並み」という言葉が何度か出ますが、どのような街なのでしょうか?
 誰がどのように判断するものなのでしょうか?


 以上、よろしくお願いします。


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