6 都市再生
【問題意識】
我が国においては、1970年代以降、大都市圏への「過度の集中」をコントロールする政策が採られてきたが、これが一面では東京を始めとする大都市、ひいては我が国全体の生産性の伸びを低速させてきたとの指摘もある。近年、我が国の都市は、その生産性と魅力において、世界の諸都市との競争時代に入ったにもかかわらず、依然として長時間通勤、慢性的な交通渋滞等の従来から続く課題さえ解決されていない。また、これまでも不動産市場に係る様々な制度整備が行われてきたが、いまだに土地神話的な要素の残る不動産市場も存在している。
こうした状況の下、今後予想される環境変化にきちんと対応し得るような各種制度改革をスピーディーに行っていくことが重要である。まず、都市の魅力に直結する安全で豊かな生活空間の創造を目指し、住みやすく、働きやすい成熟した都市生活の実現に向けた政策の転換に加え、効率的な資源配分を実現する観点から、経済社会活動の中心となる都市の魅力と国際競争力を高め、その機能を十分に発揮させることが必要である。また、現代社会の状況に応じた、公正で透明な信頼のできる不動産市場を再構築するための構造改革を推進することが必要である。
【改革の方向性】
都市の価値を維持し高めていくためには、経済社会の成熟化の進展に応じた適切なマネジメント手法や様々な仕組み・制度の導入が必要であることは言うまでもない。しかし、そうした仕組み等を活用しながら、地域の活性化を推進していく主体は、地域の住民自身や事業関係者であり、そこで求められているのは土地利用の公益性とダイナミズムの確保である。この観点から、不動産市場の構造改革と、都市にかかわる諸制度の抜本的見直しを進めていくべきである。
不動産市場の構造改革は、都市再生の基本課題であり、まず、取引情報の開示、仲介業者の機能やサービスの質の向上、証券化の更なる促進による流動性の創出等、不動産市場の透明性を高める方向の制度整備が重要である。取り分け、取引情報の開示の徹底は、最も基本的な施策である。その際、プライバシーの保護等の問題が予想されるが、土地利用の公益性、不動産市場の活性化という公共性を踏まえれば、国民全体として長期的に得られる価値の方が大きいと考えるべきである。情報開示の結果として、現在の国家的課題である不良債権処理等に直接間接に寄与できる部分も大きい。また、借家制度等、不動産と密接に関連する諸制度について、事前予測可能性を最大限確保する方向での制度改正も必要である。こうしたことを通じ、透明で公正な信頼できる不動産市場を確立する。さらに中古住宅を良質な社会資本として維持・流通させるため、中古住宅市場の整備を推進することが重要である。
都市にかかわる諸制度の抜本的見直しに当たっては、まず国際的水準の都市づくりを誘導する具体的なグランドデザインの策定と実行が必要であり、その際民間主体による積極的投資が行われるよう、民間の都市計画に対する責任と自発性を醸成することが重要である。また、民間主導の再開発事業を円滑に進めるための制度整備等を図りつつ、例えば、大都市の骨格としての環状道路と周辺地域の再開発事業の一体的整備を推進するなど、都市機能の一層の高度化を実現するべきである。加えて、地震等の災害に対して安全な都市空間を創造するためにも、街区の統廃合を含めた敷地の統合化を図り、国際的水準の都市骨格を形成することが必要である。これにより、高度利用が推進され、集積の利益を通じた都市の生産性が向上することとなる。さらに、交通基盤・情報通信基盤等インフラ整備に重点的な資源配分を促すとともに、インフラ整備を阻む制度的要因を是正することが必要である。
また、分譲マンションについて、現在既に築後30年を超えているものが約12万戸あるが、10年後には、約93万戸に急増すると予想されており、老朽化マンションへの対応は、住宅政策上の喫緊の課題となっている。マンション建て替えについては、その制度に多くの課題が指摘されており、早急に制度を整備することが必要である。
なお、都市再生を効率的に推進するためには、都市計画道路を早期に整備するための財源問題や、不動産市場の活性化に有効な税制の活用等、規制改革に加え、予算、税制を合わせた総合的な取組を推進していくことが極めて重要である。
【具体的施策】
(1) 不動産市場の透明性の確保
ア 不動産関連情報の一層の開示
不動産市場の国際化や不動産金融市場の成長、さらには、国民の不動産の品質に対する関心の高まりに伴い、不動産に関する正確かつ詳細な情報に対するニーズは著しく高くなっている。しかしながら、各種不動産関連情報は、公共部門等に蓄積されているものの、十分に開示、活用されているとは言い難い。そのため、国民からの要請に応じて適切な形で提供できるような仕組みを早急に検討し、不動産関連情報を開示していくことが求められる。
具体的には、不動産に関するインデックスを作成する民間主体等が、守秘義務を前提としながら、実売買価格を含む不動産取引事例の情報を十分に活用できる仕組みを整備するべきである。【平成14年度以降逐次実施】
さらに、地価公示価格の透明性及び社会的信頼性を高めるため、取引当事者・取引対象地等が特定されない範囲で、評価に用いた基礎的情報及び評価手続について、閲覧等により一般に公開できるようにするなど、地価公示価格情報の一層の開示を図るべきである。【平成13年度以降逐次実施】
また、固定資産税評価額について、現在自己の資産に関する部分に縦覧が限定されているが、これを他の資産の評価額と比較できるよう、固定資産課税台帳の縦覧対象範囲の拡大を図るほか、更なる情報開示を進めるべきである。【次期通常国会に法案提出、平成14年度中に措置】
イ 不動産鑑定評価の適正化【平成14年度中に措置】
不動産の証券化、企業会計における時価評価の導入等の不動産をめぐる構造変化の下、不動産の鑑定評価に対するニーズが多様化・高度化している。このようなニーズに的確に対応できるよう、収益性を重視した、より精緻な手法や、より詳細な調査等を位置付けた不動産鑑定評価基準への見直しを行うことにより、不動産鑑定士等が依頼者に対するより一層の説明責任を果たすことができるようにするべきである。また、実務レベルにおいて、その基準に基づいた不動産鑑定評価の普及・定着を図るべきである。
ウ 透明かつ公平な不動産流通制度の再構築【平成14年度中に措置(検討結論)】
不動産流通を活性化させるためには、より透明で公平な不動産取引の確保を図らなければならない。そのためには、不動産関連情報の開示とともに、不動産仲介業務の再構築が必要である。
一連の不動産流通業務の中で、中古住宅の耐震性能検査や入居後の定期検査などについては、従来の宅地建物取引業務の範囲を超えるものであり、そのような高度なサービスを望む消費者のニーズに対応できるように、他の専門性を有する組織・専門家との協働を促進することが重要である。
このため、まず、宅地建物取引業者の業務及び責任の範囲を明確にするべきである。
その上で、それ以外のサービスの在り方について検討するべきである。
あわせて、複雑化している「重要事項説明」について優先度を考慮して再整理を検討するべきである。
エ 借家制度の更なる改善
居住用建物について、当事者が合意した場合には定期借家権への切替えを認めることを検討するべきである。また、定期借家契約締結の際の書面による説明義務の廃止、居住用定期借家契約に関して強行規定となっている借主からの解約権の廃止について、その是非を含めて検討するべきである。【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
また、借地借家法(平成3年法律第90号)上の正当事由制度について、建物の使用目的、建て替えや再開発等付近の土地の利用状況の変化等を適切に反映した客観的な要件とすることや、正当事由に関する賃貸人からの立ち退き料の位置付け・在り方について検討するべきである。【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
さらに、長期の定期借家契約の普及を促進する観点から、1か月とされる賃貸に関する仲介手数料について、実態の調査・分析を行い、その在り方について検討するべきである。【平成14年度中に措置(検討結論)】
オ 競売の実効性確保【平成14年度中に措置(法案提出)】
民法(明治29年法律第89号)第395条の短期賃貸借保護制度については、抵当権に後れる賃借権で事前に抵当権者が合意しないものは競売実施後の存続を一切認めないなど、廃止を基本として検討するべきである。
競売参加者による物件内覧の機会の拡充について検討するべきである。占有の正当性を占有者が挙証できない場合につき占有権原を否定する途を開くことを検討するべきである。民事執行法(昭和54年法律第4号)の保全処分など占有排除に関する処分については、当事者を確知できなくともその物件の占有者に対して効力が及ぶよう立法措置を検討するべきである。
また、最低売却価額の制度の在り方及び競売物件の瑕疵担保責任の在り方について検討するべきである。
カ 地籍調査の積極的推進等
土地情報の基礎である地籍の明確性は、都市再生の円滑な実施の前提条件であることから、その実施率が低い都市部において、一定の目標に向けて計画的集中的に地籍調査を行えるよう、財源確保及び外部専門技術者の活用等執行体制の強化を図るべきである。【平成14年度以降逐次実施】
また、土地境界紛争に関する裁判外紛争処理制度の仕組みについて、裁判手続との連携強化のための基本的な枠組みを規定する法律(いわゆる「ADR基本法」)の制定を踏まえて、必要な方策を検討するべきである。【ADR基本法を踏まえて平成14年度以降措置】
キ 都市再生のための関連施策の一体的推進【逐次実施】
都市再生の分野においては、規制改革に加え、予算、税制を合わせた総合的な取組が極めて重要である。特に、都市の再生のためには、土地の流動化を図ることが必要であり、例えば、多様な主体の不動産証券市場への参加促進による不動産市場の活性化等、投資促進の観点から規制の見直しや、予算、税制の活用を行うべきである。
(2) 都市に係る各種制度の見直し
ア 都市計画制度等の改革
(ア)都市のグランドデザインの策定【平成14年度中に措置】
現行の都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づくマスタープランにおいては、各地方公共団体の判断で、環境負荷の軽減、防災性の向上等の各種の社会的課題を都市計画の目標として定めることができることとされているが、特に大都市地域においては、都市の将来像に関するより一層の具体的かつ明確なグランドデザインを広く国民に示す必要性が高い。
その基本は、下記のようなエリアなどにより、高度利用するべきところは積極的に高度利用を図ることができるようにするとともに、ある程度抑制するべきところは抑制できるようにすることである。
高度利用するべきエリア:地下鉄の駅周辺などの高度利用を促進するべき地域については、安全性や都市基盤の充実を条件に、高度利用地区等を活用することにより、高い容積率を認める。
用途を複合化するべきエリア:特別用途地区等を活用することにより、住居、オフィス、商業の複合的利用を認める。
さらに、今後大都市地域においては、下記の項目についても明確に位置付けるべきである。
都市の骨格・中核となる都市計画道路、大規模公園、緑地等の整備目標年度
都市の過度な外延化の防止、職住近接の実現により、良好な都市環境を形成するための、都市全体と各エリアにおける人口密度(昼夜間人口)、一人当たり都市空間(住宅・オフィススペース)等に関する数値
ヒートアイランド現象の解消に資する、いわゆる「風の道」ともなる主要な緑地の配置の方針、確保目標
(イ)民間提案型の都市計画手続の導入
新しい時代のまちづくりに対する住民の自発性と責任を醸成し、住民が地区単位等で自律的に計画づくりに参画できるようにすることが必要である。そのため、住民の意向を尊重し、これを適切に都市計画に反映させるよう、都市計画の提案に係る手続等を整備することについて、次期通常国会での法案提出を目指し、検討するべきである。【平成13年度中に措置(検討結論)】
あわせて、都市計画審議会の運営について、都市計画の案の審議が円滑に進むよう、必要に応じ、開催間隔の短縮化、年間開催計画の公表、手続の短縮化等の運用改善に努めるべきである。【平成14年度中に措置】
(ウ)都市計画・建築規制の事前明示性の確保【平成14年度中に措置】
再開発地区計画等の都市計画・建築規制において、現在、都道府県知事等に容積率規制や斜線制限の緩和等に関する幅広い裁量が認められているが、決定前にその内容を確定的に予測することは困難であり、また決定までに相当の期間を要する。このため、より効率的な事業推進のために可能な事前準備に着手できず、結果的に事業が長期化する要因となっている。民間のまちづくりの意欲を高め、投資を積極的に誘導し、良好な市街地整備を実現するために、都市計画・建築規制の運用に関する基準について、さらに客観性・明示性の高いものとするとともに、容積率規制の緩和等の都市計画等に関する問い合わせについて、都道府県知事等が一定期間内に回答するような仕組みの導入を図るべきである。
(エ)計画許可制度の導入【平成13年度中に措置(検討結論)】
現行の敷地単位の建築確認制度では、複数の建築物の計画、既存の建築物との整合等について総合的に審査できないため、街区・地区単位で建築規制を課し、周辺との整合を勘案して緩和や規制を柔軟に行える仕組みについて、次期通常国会での法案提出を目指し、検討するべきである。
(オ)集団規定等の性能規定化の推進
建築基準法(昭和25年法律第201号)の集団規定をできるだけ仕様規定から性能規定に移行させることについて、次期通常国会での法案提出を目指し、検討するべきである。また
一定期間内にそれを完了させるための措置について検討するべきである。
オ 交通渋滞の緩和
(ア)道路の掘り返し期間の短縮化【平成14年度中に措置】
電線地中化・ガス管・水道管等の工事で、道路使用・占用許可が1日当たりの混雑を低く保つことを重視しているために、都心の工事期間を長期化し、工事全体の発生させる混雑のコストを高めている場合もあると考えられる。したがって、道路使用・占用許可は、工事全体が発生させる混雑のコストを引き下げることを考慮して運用されるべきである。
(イ)民間委託等の推進による駐車違反の取締り業務の効率化【平成13年度以降逐次実施】
都市における交通渋滞を緩和し、効率的な経済活動を実現するためには、違法駐車問題の解決が重要である。都心部における駐車違反取締りを効率化するため、引き続き当該業務の一部の民間委託等を積極的に推進するべきである。
(ウ)通勤鉄道における時間差料金制の導入【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
都心の土地の有効活用のためには、快適に通勤できる乗客の総数を大幅に増やす必要がある。そのために有効な手段は、オフピーク時の運賃を安くし、ピーク時の運賃を高くする「時間差料金制」である。
時間差料金制は、(1)安いオフピーク料金を利用した通勤者を増やす。これは特に商業を中心としたサービス業に従事する通勤者を増やすため、都心の活性化にも役立つ。(2)ピーク時の通勤者を他の時間帯に分散させる。現在の大都市の通勤鉄道では、ピーク時間帯の30分から1時間の間に集中している。この料金制は、ピーク時の混雑度を下げ、通勤時間帯を広げる効果がある。すなわち、この料金制度は、混雑時の乗客が発生させる外部不経済効果を内部化させることによって、資源活用の有効化を図れるという公益的な機能を持っている。
しかし、現在の料金規制制度は、時間差料金制を採用する誘因を鉄道事業者に与えていない。時間差料金制を採用する誘因を鉄道事業者に与える方策を検討するべきである。
カ 工業(場)等制限法の在り方についての抜本的見直し【平成13年度中に措置(検討結論)】
首都圏及び近畿圏の既成市街地等における産業及び人口の過度の集中の防止等を目的として、一定床面積以上の工場や大学等の新増設を制限する工業(場)等制限法については、産業構造の変化、少子化の進行等、社会経済情勢が著しく変化する中、次期通常国会を目指し、その在り方について廃止を含め抜本的に見直すべきである。
(3) マンション建て替えの円滑化等
ア マンション建て替えの円滑化
(ア)区分所有法(昭和37年法律第69号)の建て替え要件の見直し【平成14年度中に措置(法案提出)】
区分所有法の建て替え要件を5分の4以上の合意のみとすることや、隣接敷地との敷地共同化による建て替えや住宅部分以外の床(商業・業務床)の大幅な増加を認めることも含めて、マンション建て替えを円滑に実施するための方策を早急に検討し、平成14年秋までに改正法案を作成するべきである。
(イ)マンション建て替え法制の整備【次期通常国会に法案提出】
区分所有者による良好な居住環境を備えたマンションへの建て替え事業を円滑化するため、法的安定性の確保に留意しつつ、行政庁の認可に基づく法人格を有する建て替えのための団体の設立、抵当権等を含む関係権利が建て替えに伴って円滑かつ確実に再建建物に移行するための仕組みの整備等を内容とする新たな建て替えの制度について早急にとりまとめるべきである。
(ウ)既存不適格マンションの建て替えの円滑化【平成14年度中に措置】
総合設計制度等の容積率特例制度の積極的活用等により既存不適格マンションの建て替えの円滑化を図るべきである。
イ 中古住宅市場の整備
(ア)中古住宅の検査制度、性能表示制度の整備【平成14年度中に措置】
中古住宅の外装、内装、設備、耐震性能等を第三者である評価機関が買主又は売主に代わって標準化された方法により検査し、その結果を参考とし売買契約や賃貸借契約の締結を判断できるような制度を導入するべきである。
(イ)マンションの維持管理等に係る履歴情報の整備【平成14年度中に措置(検討結論)】
管理組合によるマンションの適正な維持管理を支援するとともに、中古マンションの市場での流通円滑化を図ることを目的として、管理組合及び中古マンション購入者による維持管理等に係る履歴情報の利用可能性を高めるための方策を検討するべきである。
ウ 公的資産の有効活用
(ア)公的土地の有効活用【平成13年度以降逐次実施】
地方公共団体等の公的主体が所有する公営住宅等の用に供する土地が必ずしも有効に活用されていないという実態を踏まえ、PFI事業の積極的推進等により、民間施設も含めた複合・高度利用を推進し、都市を中心とした、公的主体が所有する土地の有効活用を図るべきである。
(イ)適正な公営住宅管理
公営住宅については、真に住宅に困窮している者に的確に供給することが重要であり、入居における資産の考慮も含めた適正な管理や地域の状況に応じた効率的な運営の在り方について検討するべきである。【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
また、公的に家賃の援助を受けている公営住宅入居者の家賃滞納防止のため、家賃を公営住宅の担当部局が家賃援助の担当部局より直接受領する等の関係部局が連携した対策の推進など、公営住宅の家賃の滞納防止を図るべきである。【平成14年度以降措置】
(オ)集団規定等の性能規定化の推進
建築基準法(昭和25年法律第201号)の集団規定をできるだけ仕様規定から性能規定に移行させることについて、次期通常国会での法案提出を目指し、検討するべきである。また、移行できない規定についても、その趣旨・目的の明確化や内容の簡明化に努めるべきである。例えば、道路斜線制限(道路の幅員による高さの制限)は、道路上の採光等を確保するための制限であり、天空率等を指標として定量的に説明されるものであるが、今後、簡明さの維持という点も十分に踏まえつつ、各種技術進歩を活用し、基本的指標である天空率等の考え方ができるだけ柔軟にいかされるようにするべきである。【平成13年度中に措置(検討結論)】
また、同法の単体規定については、採光に関する規定の合理化について検討を行うべきである。【平成14年度中に措置(検討結論)】
(カ)都市計画・建築規制の説明責任
都市計画決定権者は、用途、容積率等に係る規制について、その根拠の説明責任を果たすようにするべきである。【平成14年度中に措置】
また、都市計画・建築規制に関する行政事件訴訟について、出訴要件の明確化の観点から、処分性、原告適格等に関する情報提供等ができるようにするべきである。【平成13年度中に措置(検討)、平成14年度中に措置(結論)】
(キ)違反建築物対策【平成13年度中に措置(検討)、平成14年度中に措置(結論)】
建築規制に関する違反是正の実効性確保のため、行政代執行の積極的活用に向けた違反建築物対策のためのマニュアル策定や運用の徹底のための措置を始め、違反建築物に関する情報開示、賦課金等の経済的なインセンティブ効果のある対策等について、幅広い観点から検討するべきである。
イ 市街地再開発事業等の積極的推進
(ア)市街地再開発事業の施行区域要件の緩和【平成13年度中に措置】
市街地再開発事業の施行区域要件について、耐用年限の3分の2を経過した建築物は、耐火建築物の算定から除外されているが、地震災害に強いまちづくりを推進していく観点からも、この耐用年限の短縮化を図り、施行可能なエリアの拡大を行うべきである。
(イ)第二種市街地再開発事業への民間参入【平成13年度中に措置(検討結論)】
民間の資金やノウハウを活用し、魅力ある都市の再生や木造住宅密集地域の改善を積極的に推進するため、用地買収型である第二種市街地再開発事業の施行主体として、地方公共団体、公団等の公的主体に加え、一定要件を備えた民間主体も認めることについて、次期通常国会での法案提出を目指し、検討するべきである。
(ウ)第一種市街地再開発事業の権利変換計画に係る認可の迅速化【平成13年度中に措置】
第一種市街地再開発事業の権利変換計画の認可について、事業の迅速化を図る観点から、法令等の客観的基準に違反しないと認められる場合には、都道府県知事等は速やかに認可しなければならないとする旨周知徹底するべきである。
(エ)都市再開発法における行政代執行の強化【平成13年度中に措置(検討)、平成14年度中に措置(結論)】
市街地再開発事業に係る工事のために必要がある場合、施行者は土地建物等の占有者に対して明渡しを求めることができ、明渡しがなされない場合、施行者の請求により都道府県知事が行政代執行を行うことができるとされているが、行政代執行が実施されることは極めてまれである。市街地再開発事業の迅速化を図るため、施行者より請求があった場合には、都道府県知事等による行政代執行の的確な実施が確保されるよう、マニュアルの充実等運用の徹底を図るべきである。
(オ)街区内の容積率の配分変更等の円滑化【平成14年度中に措置】
同一の街区内で複数の建築物を計画する場合、容積率の適切な配分変更等を円滑に行えるようにするため、一団地の総合的設計制度等を活用するほか、事業計画の変更等によって高度利用地区、再開発地区計画等の都市計画について、内容の変更が必要となった場合には、迅速な手続により行うべきである。
ウ 地方公共団体における制度運営の適正化【平成14年度までに措置】
地方公共団体による要綱行政については、駐車場や住宅付置義務、負担金や施設提供義務など実質的な強制を行うようなものは、これを条例化することを原則とするとともに、その内容を法令の趣旨に照らし適正なものとするなど、ルールの明確化・客観化を図るよう要請するべきである。
また、要綱による行政は、必要最小限の期間に限ることとし、その目的・意義を一定期間ごとに再検討し、できるだけ縮小することを基本とするよう要請するべきである。
エ 公共用地取得の積極的推進
(ア)都市交通基盤等の整備【平成13年度以降逐次実施】
国際的水準の都市づくりを実現するためには、整備が進んでいない都市計画道路について、整備目標年限を定めた上で、その早期達成に努めることが重要である。そのため、公共用地取得に係る財源確保及び執行体制の強化を図るべきである。
(イ)土地収用法の積極的活用【平成13年度中に措置(検討)、平成14年度中に措置(結論)】
都市計画道路等の公共事業の施行に当たっては、予算や実施体制等を総合的に勘案して適切な事業計画を定めるとともに、適切な時期に収用手続に移行することが重要である。
このため、事業者に土地収用法の事業認定等を適期に申請させるための措置について検討するとともに、事業の進行管理の適正化の観点から、適期申請に資する説明の責任を果たさせることを検討するべきである。また、都市計画事業についても、適切な時期に事業者が収用手続に移行すべきことを明確化し、一定期間内にそれを完了させるための措置について検討するべきである。
オ 交通渋滞の緩和
(ア)道路の掘り返し期間の短縮化【平成14年度中に措置】
電線地中化・ガス管・水道管等の工事で、道路使用・占用許可が1日当たりの混雑を低く保つことを重視しているために、都心の工事期間を長期化し、工事全体の発生させる混雑のコストを高めている場合もあると考えられる。したがって、道路使用・占用許可は、工事全体が発生させる混雑のコストを引き下げることを考慮して運用されるべきである。
(イ)民間委託等の推進による駐車違反の取締り業務の効率化【平成13年度以降逐次実施】
都市における交通渋滞を緩和し、効率的な経済活動を実現するためには、違法駐車問題の解決が重要である。都心部における駐車違反取締りを効率化するため、引き続き当該業務の一部の民間委託等を積極的に推進するべきである。
(ウ)通勤鉄道における時間差料金制の導入【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
都心の土地の有効活用のためには、快適に通勤できる乗客の総数を大幅に増やす必要がある。そのために有効な手段は、オフピーク時の運賃を安くし、ピーク時の運賃を高くする「時間差料金制」である。
時間差料金制は、(1)安いオフピーク料金を利用した通勤者を増やす。これは特に商業を中心としたサービス業に従事する通勤者を増やすため、都心の活性化にも役立つ。(2)ピーク時の通勤者を他の時間帯に分散させる。現在の大都市の通勤鉄道では、ピーク時間帯の30分から1時間の間に集中している。この料金制は、ピーク時の混雑度を下げ、通勤時間帯を広げる効果がある。すなわち、この料金制度は、混雑時の乗客が発生させる外部不経済効果を内部化させることによって、資源活用の有効化を図れるという公益的な機能を持っている。
しかし、現在の料金規制制度は、時間差料金制を採用する誘因を鉄道事業者に与えていない。時間差料金制を採用する誘因を鉄道事業者に与える方策を検討するべきである。
カ 工業(場)等制限法の在り方についての抜本的見直し【平成13年度中に措置(検討結論)】
首都圏及び近畿圏の既成市街地等における産業及び人口の過度の集中の防止等を目的として、一定床面積以上の工場や大学等の新増設を制限する工業(場)等制限法については、産業構造の変化、少子化の進行等、社会経済情勢が著しく変化する中、次期通常国会を目指し、その在り方について廃止を含め抜本的に見直すべきである。
(3) マンション建て替えの円滑化等
ア マンション建て替えの円滑化
(ア)区分所有法(昭和37年法律第69号)の建て替え要件の見直し【平成14年度中に措置(法案提出)】
区分所有法の建て替え要件を5分の4以上の合意のみとすることや、隣接敷地との敷地共同化による建て替えや住宅部分以外の床(商業・業務床)の大幅な増加を認めることも含めて、マンション建て替えを円滑に実施するための方策を早急に検討し、平成14年秋までに改正法案を作成するべきである。
(イ)マンション建て替え法制の整備【次期通常国会に法案提出】
区分所有者による良好な居住環境を備えたマンションへの建て替え事業を円滑化するため、法的安定性の確保に留意しつつ、行政庁の認可に基づく法人格を有する建て替えのための団体の設立、抵当権等を含む関係権利が建て替えに伴って円滑かつ確実に再建建物に移行するための仕組みの整備等を内容とする新たな建て替えの制度について早急にとりまとめるべきである。
(ウ)既存不適格マンションの建て替えの円滑化【平成14年度中に措置】
総合設計制度等の容積率特例制度の積極的活用等により既存不適格マンションの建て替えの円滑化を図るべきである。
イ 中古住宅市場の整備
(ア)中古住宅の検査制度、性能表示制度の整備【平成14年度中に措置】
中古住宅の外装、内装、設備、耐震性能等を第三者である評価機関が買主又は売主に代わって標準化された方法により検査し、その結果を参考とし売買契約や賃貸借契約の締結を判断できるような制度を導入するべきである。
(イ)マンションの維持管理等に係る履歴情報の整備【平成14年度中に措置(検討結論)】
管理組合によるマンションの適正な維持管理を支援するとともに、中古マンションの市場での流通円滑化を図ることを目的として、管理組合及び中古マンション購入者による維持管理等に係る履歴情報の利用可能性を高めるための方策を検討するべきである。
ウ 公的資産の有効活用
(ア)公的土地の有効活用【平成13年度以降逐次実施】
地方公共団体等の公的主体が所有する公営住宅等の用に供する土地が必ずしも有効に活用されていないという実態を踏まえ、PFI事業の積極的推進等により、民間施設も含めた複合・高度利用を推進し、都市を中心とした、公的主体が所有する土地の有効活用を図るべきである。
(イ)適正な公営住宅管理
公営住宅については、真に住宅に困窮している者に的確に供給することが重要であり、入居における資産の考慮も含めた適正な管理や地域の状況に応じた効率的な運営の在り方について検討するべきである。【平成14年度中に措置(検討)、平成15年度中に措置(結論)】
また、公的に家賃の援助を受けている公営住宅入居者の家賃滞納防止のため、家賃を公営住宅の担当部局が家賃援助の担当部局より直接受領する等の関係部局が連携した対策の推進など、公営住宅の家賃の滞納防止を図るべきである。【平成14年度以降措置】
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