第1章 東京の新しい都市づくりに向けて
1 東京を取り巻く社会経済情勢の大きな変化(略)
2 新しい都市づくりの必要性(略)
3 目標時期
(前略)
本答申においては、長期的視点に立った政策誘導型の都市づくりを進めるため、50年先を見据えつつ、その中間年次である2025年を「東京の新しい都市づくりのあり方」の目標時期とする。
4 人口等の見通し
我が国の人口は、今後少子・高齢化が一層進むことにより、今世紀初頭に減少に転じるとされている。
他方、本答申では、東京都ないし東京圏の人口について、子供を生み育てやすい環境をつくること、生活環境の質の向上によって自然減を補う社会増を図ること、外国人の適切な受け入れを進めること等により、2050年において1割程度の減少にとどめることが可能であると想定した。
このような政策を前提とする長期的な人口見通しをもとに、「東京構想2000」における人口想定を参考としながら、今後の東京都の人口を、2010年の約1,226万人をピークに減少に転じ、2025年には約1,182万人になるものと推定した(図1-4-1)。
第2章 新しい都市づくりの基本的考え方
1 50年先の東京のあるべき姿(略)
2 都市づくりの理念と目標
2−1 都市づくりの理念
(1)国際競争力を備えた経済活力の維持・発展(略)
(2)持続的繁栄を可能とする環境との共生(略)
(3)独自性のある都市文化の創造・発信(略)
(4)安全で健康に暮らせる質の高い生活環境の実現(略)
(5)都民、企業、NPO等多様な主体の参加と連携(略)
2−2 都市づくりの目標
都市づくりの理念を踏まえ、今後の東京の新しい都市づくりの目標を、「世界をリードする魅力とにぎわいのある国際都市東京の創造」とする。(以下略)
3 東京がめざすべき都市構造
3−1 新たな都市構造の必要性
従来の東京の都市構造の基本的考え方である多心型都市構造(都心部への一極集中を是正し、均衡のとれた都市構造を実現するため、東京都が目指してきた都市構造。区部の7副都心(新宿、渋谷、池袋、上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎、臨海)、5つの「多摩の『心』」で構成される。)は、都心への業務機能の過度の集中を抑制するため、業務機能を副都心や多摩の「心」(多心型都市構造において、多摩地域の拠点として位置づけられた八王子、立川、青梅、町田、多摩ニュータウンの5地区。新たな都市構造では、核都市連携都市部市軸の中核拠点となる「核都市」に位置づけられる。)へ分散して、職と住のバランスのとれた都市構造をめざすことを主眼とするものであり、副都心や多摩の「心」の育成などに一定の成果をあげてきた。
一方、安定・成熟した都市型社会への移行により、東京への集中圧力は低下し、右肩上がりの時代は終焉を迎えた。業務機能の効率的配置に主眼を置いた多心型都市構造では、新たな時代の要請に応えることは難しく、21世紀の社会に対応した新たな都市構造へと発展させることが不可欠である。
(中略)
21世紀にふさわしい新たな都市構造を明確にして、多様な主体の参画を得て戦略的に都市づくりに取り組む政策誘導型の都市づくりを展開することが求められている。
3−2 新たな都市構造に求められる条件
(1)環境と共生できる持続性のある都市構造の形成(略)
(2)都市活動を支える交通ネットワークの強化(略)
(3)都市活力を高める機能配置と拠点連携(略)
(4)情報化の進展に対応したネットワーク構造の構築(略)
3−3 めざすべき新たな都市構造(環状メガロポリス構造)
(1)広域的連携による多様な機能の発揮
(2)水と緑の骨格による環境と共生する都市構造の形成
(3)集積のメリットを生かす多機能集約型の都市構造
東京圏に以下のような骨格的都市構造の構成要素を設定し、東京圏全体として職と住のバランスのとれた多機能集約型の都市構造を実現する。
1) センター・コア(「東京構想2000」において環状メガロポリス構造の構成要素の一つに位置づけられた「センター・コア・エリア」を、本答申では「センター・コア」と呼ぶ。)
2) 東京湾ウォーターフロント都市軸
3) 核都市連携都市軸
4) 水と緑の創生リング
(4)東京圏全体の効率的、効果的な機能連携を実現する、環状都市軸の形成(略)
(5)拠点の考え方
新たな都市構造における拠点の考え方は、以下のとおりとする(図2-3-7)。
1) センター・コアの中核拠点
センター・コアの中核拠点として都心、副都心及び新拠点を位置づける。
2) 東京湾ウォーターフロント都市軸の中核拠点
東京湾ウォーターフロント都市軸の中核拠点として、臨海副都心を位置づける。
3) 核都市連携都市軸の中核拠点
を備えた、豊かなライフスタイルを実現するための拠点となる。
4) 生活圏レベルの拠点
新たな都市構造には、東京圏の骨格的な都市構造とは別に、地域の内部的な構造が重層的に含まれる。
(6)新たな都市構造を支えるネットワーク(略)
4 都市構造実現のためのゾーン別戦略
(1)センター・コア再生ゾーン
(戦略1:国際的ビジネスセンター機能の強化)
(戦略2:都市を楽しむ都心居住の推進)
(戦略3:歴史と文化を生かした都市空間形成)
(2)東京湾ウォーターフロント活性化ゾーン
(戦略4:国際都市東京の「世界に開く窓」の充実)
(戦略5:活力と魅力のある「水辺の都」づくり)
(戦略6:アジアなどと連携する産業機能の育成)
(3)都市環境再生ゾーン
(戦略7:木造住宅密集地域の安全性の確保と環境の向上)
(戦略8:河川や幹線道路等の整備に併せた水と緑の骨格づくり)
(戦略9:コミュニティ活動の根づくまちづくり)
(4)核都市広域連携ゾーン
(戦略10:都市基盤整備等による活力ある多摩の拠点育成)
(戦略11:産学公連携による産業立地の促進)
(戦略12:質の高い計画的な住宅地の整備)
(5)自然環境保全・活用ゾーン
(戦略13:豊かな自然を生かした東京圏のレクリエーションゾーン形成)
第3章 政策誘導型都市づくりの展開
1 都市活力の維持発展(略)
2 豊かな都市環境の創出(略)
3 都市分化の創造発展(略)
4 安全で健康に暮らせる生活環境の実現
〜誰もが住みやすく、安全で健康な生活環境の都市をつくる〜
4−1 人口減少時代の到来に備えた住宅・住環境整備
(1)都心居住の推進(略)
1) 質の高いプロジェクトの積極的な推進
(前略)このような建設活動を適切に誘導することにより、豊かで個性的な魅力のある都市空間形成を図ることができる。それには、地区計画等により個別敷地における建築を都心居住に資するように誘導することのほか、敷地の細分化や細街路のために土地の有効利用が阻害されている場合には、街区全体の再編により質の高い都心居住プロジェクトを積極的に推進することが効果的である。
このため、都や区市町村の都市計画マスタープランに基づき、土地の有効利用による住宅建設を図るとともに、緑地の確保や道路の整備など質の高い都市空間の形成を促進していく手法として、街区単位で建築物の形態や容積率のコントロールを行いながら、事業化のための権利者調整を進める街区再編プロジェクトを誘導する新たな制度の創設を図るべきである。
また、日影規制についても、地区計画の策定を前提として日影時間の測定面の高さを緩和する新たなメニューを追加することや、地元自治体の地域特性に応じた独自の制限を可能とすることなど、都心居住の推進との整合を保てるよう規制の合理化を進める必要がある。
2)
マンションの建替えを円滑に進めるための仕組みの整備(略)
(2)良好な住宅ストックの形成(略)
(3)郊外住宅地における質の高い住環境形成
4−2 健康で安心して暮らせる都市の実現(略)
(1)健康都市づくりの推進
(2)ユニバーサルデザインの視点に立った都市づくり
(3)地域コミュニティを支えるまちづくり
1)生活拠点等の育成
2)地元自治体と連携した地域のまちづくり活動の支援
4−3 都市の安全性の確保
(1)都市の総合的な安全性の向上
1)震災に強い都市構造の早期実現
2)ライフラインなど都市施設の安全性・信頼性の向上
3)震災復興グランドデザインによる復興イメージや復興プロセスの明確化
4)治安のよい都市づくり
(2)木造住宅密集地域の整備促進
2025年までに、木造住宅密集地域の不燃領域率(市街地の燃えにくさを示す指標。建物の不燃化率や防災性の向上に役立つ道路、公園などの整備状況から算出する。)を市街地の焼失率が極めて小さくなる概ね60%に高め、安全で良好な居住環境を備えた地域へと再編していく必要がある。
1)新たな防火地域制度の創設による木造住宅密集地域の再生産防止(略)
2)街区再編プロジェクトの導入による整備促進
都市基盤整備公団や民間の有する人材、ノウハウ等を活用して、質の高い市街地整備を促進するため、木造住宅密集地域に適した街区再編プロジェクトを誘導する新たな制度の創設など、市街地の実態に即した手法について検討していく必要がある。また、PFIを活用した整備可能性についても今後検討を進めていくべきである。
(3)都市型水害等への対応
5 情報化の進展に対応した都市づくり(略)
第4章 政策誘導型都市づくりに必要な新たな仕組み
1 わかりやすく納得できる都市づくり
(1)都市づくりの目標の共有(略)
(2)都市づくりに関する情報提供体制の整備(略)
(3)計画決定プロセスの透明性の向上
都市づくりを誰にもわかりやすく納得できるものにしていくために、計画決定プロセスの透明性を向上させる必要がある。計画の早い段階から、行政は計画の必要性や費用対効果などの情報を示し説明責任を果たすとともに、市民の意見を十分に反映しながら、計画を決定していくことが必要である。
特に、都市施設や面整備事業など、事業の効果・影響が広範囲に及ぶ広域的な都市計画については、計画の構想段階からPI的手法(住民参加の一手法。計画の策定に際して、広く意見・意志を調査する時間を確保し、かつ、策定の過程を知る機会を設ける方法であり、参加はアンケート等さまざまな方法で行う。)を採り入れ、段階的な合意形成の仕組みを導入することを検討すべきである。
また、身近なまちづくりにおいても、まちづくり協議会などまちづくりに関わるNPO等の参画を一層推進し、市民参加の仕組みの強化を図っていく必要がある。
さらに、現行の市民参加の手続きについても、透明性を向上させる観点から、運用の改善を図っていくことが望ましい。例えば、都市計画案を縦覧する際に添付する理由書の内容を充実化することや、縦覧や意見書提出制度においてインターネットを活用していくことなどを検討すべきである。
2 民間の参画による魅力ある都市づくり
(1)公共投資プログラムの明示
(2)都市開発の活性化のための条件整備
民間の力を十分に生かすため、手続きの簡素化、基準の明確化などの条件整備を行っていく必要がある。
特に、街区再編プロジェクトを誘導する新たな制度を検討するに当たっては、街区に適用される新たなルールが、事業者と地権者等による積極的な取り組みを促進するよう、柔軟性と事前明示性を十分に備えることが重要である。
また、多数の地権者の権利調整が必要な面整備事業においては、一定の合意レベルに達した場合に事業を前進させることができる仕組みや一定期間内に事業の進捗がなかった場合に都市計画を見直す仕組みなども検討すべきである。
(3)民間資金を生かした都市開発の促進
都においても、面整備事業などに当たって、プロジェクトの証券化やSPC法(不動産などの資産を証券化することで企業の資金調達を容易にし、資産の流動化を促進することを目的に定められた法律。)の活用などにより、一般市民や小口投資家の資金を生かした事業展開ができるよう、制度的な工夫を検討すべきである。また、民間投資を引き出しやすい公有地の新しい処分方式の検討やPFIの活用についても併せて検討を行っていくべきである。
(4)NPO等の参画の促進
NPO等の参画を促進するため、人材育成などの支援を行うとともに、まちづくり活動を行うNPOの登録制度の創設を検討すべきである。登録されたNPOには、地区計画の運用や地域の景観誘導などまちづくりの一定の権限を付与することを併せて検討して、都市づくりの多面的な推進を図る必要がある。
また、現在、地区計画に制度化されている都市計画の民間提案権を拡充していくことを検討する必要がある。
(5)公民協調の都市づくり(略)
3 都市計画の機能を生かした実行力のある都市づくり
(1)都市の魅力を向上させる的確な規制の実施
(2)効果的な都市づくりを誘導する適切な規制緩和
(3)都市づくり事業の効率的で着実な実施
(4)都市づくりと土地政策の連携
4 限られた財源を有効に生かす効率的な都市づくり
(1)大都市への重点的な投資
(2)東京都独自の都市づくり財源の検討
(3)都市づくりと税制等の連携強化
(4)民間資金を生かした公共施設整備の促進
5 都としての主体性のある都市づくり
(1)都としての主体的な役割の発揮
(2)東京圏における広域連携体制の強化
第5章 新しい都市づくりへの転換(略)
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