3月19日(火)の衆議院国土交通委員会で「都市再生特別措置法案」と「都市再開発法等改正案」が可決されたときの模様を、お伝えします。各党の「都市再生」への姿勢などがわかると思います。
私が傍聴したのは、午後3時からの参考人質疑−政府質疑−反対討論−採決−附帯決議採決の過程です。
東京ランポ関連の参考人、林泰義さん(顧問)と伊藤久雄さん(理事)の意見は、別のページに掲載されていますので、ご覧ください。
その後の参考人質疑での、お2人の回答をまとめると、以下の通りです。日ごろの主張が、よく表れていると思います。
<林>
・小ぶりで自分たちのスケールに合った、必ずしも新しいものでなくてもよい「都市再生」もある。
・オープンスペースができても、夜は歩くのが恐い。人がたくさん発生するような、地上面のにぎわいをつくる必要がある。
・住民が合意することに時間をかける方が、着工してから反対運動が起こるといったことがない分、結果として事業は早くなる。
・早い段階で、開発に関する情報開示をすることで、ディベロッパーにも住民にもいろいろな可能性を確保することができる。
・都市開発業は、装置をつくるだけでなく、ソフト産業であるべきであり、開発後にどのようなソフトが生まれるかが大切である。
・経済をよくするには、グローバルエコノミーとローカルエコノミーの両方からのアプローチが必要である。ローカルエコノミーは、まちづくりやコミュニティビジネスが関係するが、今回の「都市再生」では市民セクターの位置づけが欠けている。
<伊藤>
・今回の法案は、上からの都市計画になっている。NPOなどの力で、住民同士の合意形成が行われることが必要である。
・再開発を行うのであれば、都市計画マスタープランを住民みんなでしっかりつくり上げて、それに従うという方法が必要である。
・今回の法案が成立して、都市再生事業が行われると、全国的には東京の一人勝ち、東京内では都心の一人勝ちになるだけである。
・民間事業者に第2種市街地再開発事業の施行権限を付与することについて、民間事業者が公共性を持てるのか疑問である。
・防災面などを改善するための再開発は必要であると思うが、公共セクターがやるべきである。
次に、質問や意見をもとに、各党の「都市再生」への考えをまとめると、以下の通りです。なお、共産、社民の両党は、反対討論を行ったため、他党より分量が多くなっています(私がどちらかの党の支持者というわけではありません)。
<自民>
・事業のスピードを上げることが必要である。そのためには、緩やかな私権の制限も必要である。
<民主>
・今回の法案は、民間の工夫を活かす法律である。人口5万や10万といった地方都市の中心市街地の再生も重要である。
<公明>
・都心居住できることが、今後の都市のあり方である。但し、一部の高額所得者だけが、都心に住むのではダメ。
<保守>
・(発言した議員の地元である東京下町で言えば)再開発によって、素晴らしい地域に生まれ変わった。
<共産>
・民間事業者に第2種市街地再開発事業の施行権限を付与するのは、住民の追い出しにつながる。
・高度利用推進区の創設は、バブルの失敗に学ばず、企業、自治体の破綻を招く。
・都市再生緊急整備地域の創設は、財界の意見を聞いて、各種規制を撤廃するために設けられた。
・金融支援もあり、いたれりつくせり。
・住民抜きの巨大開発が行われることになる。
・都心部への集中は、20世紀の負の遺産を増長。
・上からの都市づくりは、2000年都市計画法にも反している。
<社民>
・民間事業者への第2種市街地再開発事業の施行権限付与は憲法違反。地上げを招く。
・高度利用推進区の創設は、不採算事業を生む。
・民間都市開発推進機構の総括が不十分。不良債権を塩漬けにするだけ。
・これは、ゼネコン救済法案である。
・地方分権にも逆行している。トップダウン方式、都市計画マスタープランの否定。自治体や市民を無視。
・自由度の高い計画は、事業者に有利。中曽根民活の再来であり、「敗北の都市計画」である。
・わずか2日の審議で拙速に決めたことは、将来に禍根を残すことになる。
東京ランポの活動の成果という観点では、ロビーイングを行った社民党の意見にはかなり反映されたと言えます。また、3月13日(水)に参議院議員会館で開催した集会を通して、出席していた共産党にも影響があったと言えそうです。ロビーイングを行った民主党については、法案は賛成に回ったものの、附帯決議を付けることにはつながりました。
また、この日の参考人意見が、それまでの審議で明らかにならなかった法案の問題点を、かなり浮き彫りにしたと言えます。政府質疑では、各党の質問のなかで、参考人意見が多く引用されました。なかでも、自由党(参考人質疑は行わなかったため、上には含まず)議員の、「今日の参考人意見などを聞いていると、明確な都市ビジョンもなく、このような法律をつくってよいのか、わからなくなってきました」という発言は、その極めつけです。
もっとも、この日に委員会で可決(本会議では22日に可決、現在参議院で審議中)されてしまったため、手遅れではあったのですが、新聞でもニュースでも取り上げられてこなかった「都市再生関連法案」にも、大きな問題点があることが、国会議員にも少しは認識されたのではないかと思います。4月の「建築基準法等改正案」の審議に、いい影響があるかもしれません。
ところで、政府質疑のとき、社民党が伊藤さんの意見を引用し、「パブリックコメントもやっておらず、国民の意見を聞いていない」と言ったことに対して、扇千景国土交通大臣が「社会資本整備審議会都市計画分科会では、民間事業者や学識経験者、NPOも含めた委員が議論しているので、国民の意見を聞いていないという批判は当たらない」と発言しました。まさか、その批判をした参考人が、分科会委員を務めているNPOの関係者だとは、大臣も思いも及ばなかったでしょうね。
それにしても、国民の意見を聞いたアリバイとして都市計画分科会を使うのなら、「都市計画における規制緩和」が多数意見を占めなかったことをもっと考慮した法案になってしかるべきでは?扇大臣のアリバイ発言に、予期せず(いや、予期していたが)加担させられてしまった東京ランポでした。
【今後の予定】
3月28日(木)の参議院国土交通委員会に、東京ランポ理事でもある小泉秀樹さんが参考人として出席します。「建築基準法等改正案」は、参議院先議になっていることもあり、参議院の各議員の感触をつかむことも兼ねて、傍聴する予定です。
衆議院ホームページ(会議録)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/index_kaigiroku.htm
参議院ホームページ(会議録)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0110/main.html
再生関連法案の論点と課題について―掲示板ができました!
http://member.nifty.ne.jp/Teru2/w-machi/ 3/13
|