東京都 都市計画担当部長殿


                                    建設省都計発第95号
                              平成5年6月25日

 


                              建設省都市局都市計画課長

市町村の都市計画に関する基本的な方針の策定等について




 市町村(特別区を含む。以下同じ。)の都市計画に関する基本的な方針の策定等については、平成5年6月25日付け建設省都計発94号をもって都市局長から通達(以下「局長通達」という。)されたところであるが、その具体的な策定に当たっては、下記の事項に留意することし、貴管下市町村(指定都市を除く。)に対して、この旨周知徹底取り計らわれたい。




1 基本方針を策定するに当たっての留意事項

(1)基本方針は、市街化区域及び市街化調整区域の区域区分のない都市計画区域においても定めるものであること。

(2)基本方針を策定する際は、商業その他産業活動の利便を損なうことのないよう商工行政との整合性にも配慮するとともに、中小企業の事業活動の効率化及び近代化に支障のないよう配慮すること。

(3)市町村の建設に関する基本構想とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第5項に基づく市町村の基本構想及び国土利用計画法(昭和49年法律第92号)第4条に基づく市町村計画を意味するものであること。

(4)基本方針は、都市計画に係る方針であることから、都市整備に係る事業以外の事業の実施、都市計画に係る制度以外の運用等に影響のないように定めること。

(5)基本方針と、都市計画法(昭和43年法律第100号)第13条第1項に掲げる計画、知事が定める都市計画及び一の市町村の区域をこえる広域的見地から整備される施設等の計画との整合については、市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針に即することも通じ、また、これらの基本を所与として基本方針を定めることにより保たれものであること。なお、基本方針の策定後に、これらの所与とすべき計画が都道府県等により新たに決定・変更された場合に、これらの計画と矛盾しない範囲で、基本方針がこれらの計画に特段言及しないこととなっても差し支えない。また、基本方針においてこれらの計画に言及する場合には、事前に関係機関との調整を図るものとする。

2 基本方針の内容及び構成

(1)基本方針は、市町村が、住民の合意形成を図りつつ、地域固有の自然、歴史、生活文化、産業等の地域特性を踏まえ、創意工夫に富んだ特色ある内容のものとすることが基本であるが、1の制度創設の趣旨からみて、その機能を十全に発揮するものとするため、少なくとも次の事項に留意して定めること。

 a.基本方針において定める都市の将来ビジョン、地域別の市街地像等は、土地利用、各種施設の整備の目標等都市の物的な側面のみを静的に捉えるべきものではなく、生活像、産業構造、自然的環境等について、現況及び動向を勘案して目標とすべき将来ビジョンを明確化し、これを踏まえたものとすること。この場合において、市町村の議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即する等当該市町村の政策運営に当たって定められる他の計画、広域的視点から定められる地域開発、施設等に関する計画等を参考とするとともに、必要に応じ、これらの計画を活用しつつ、前提となる人口等の想定を適宜行うこと。

 b.当該市町村における都市計画上の課題に応じ必要な施策を総合的に盛り込むととともに、個別施策、施設計画等に関する事項の羅列にとどまらず、その相互の関係等にも留意し、市町村の定める具体の都市計画についての体系的な指針になるように努めること。ただし、地域性を反映し、若しくは当該市町村の独自性を強調する等のため、特定の事項に重点を置き、又は中長期的な見通しの下に基本的事項を明らかにすることにまず力点を置き、住民の合意形成を図りつつ逐次その内容の充実を図ることは差し支えない。なお、その他事情の変化等に応じ、適時適切に基本方針の見直し・充実を図ること。

 c.基本方針は、その性格上、都市施設等についての都市計画と同様な即地的な内容及び具体的な事業について定めるものではなく、概略を内容とするものであるが、都市計画の基本的な方針であるので、都市計画法上の都市計画の基本理念及び都市計画基準を十分に参酌して定めること。


(2)基本方針の内容及び構成については、標準的には次に掲げるところに従って必要な事項を定められることが適切であると考えられるので、これを参考とすること。なお、b及びcについては、各市町村において、基本方針を地域特性に応じたものとし、また、基本方針を住民に身近なものとし、その理解を深めることに資する上で、より適切な構成がある場合においては、それによること。

 a. 基本方針は、本文及び附属図面からなるものとすること。

 b. 基本方針本文においては、当該市町村の都市づくりの理念や都市計画の目標、(1)aにより将来の生活像を想定しつつ、これを踏まえた目指すべき都市像及びその実現のための主要課題、課題に対応した整備方針等を全体構想として総合的に明らかにするとともに、地域別構想として、地域別にあるべき市街地像等の地域像、実施されるべき施策の方向を明らかにすること。
  また、これらの構想が単なるビジョンに終わることのないよう、目指すべき都市像等の実現のための都市計画上の方途等を極力具体的に示すこととし、定めるべき都市計画の種類、実施すべき都市計画事業の種類等に加え、可能な限り、これらの決定・実施の時期等を明らかにしたプログラムを伴うものとするよう努めること。

 c. bの全体構想及び地域別構想については、次に掲げる事項に留意して定めるものとすること。

  イ 全体構想においては、市町村が自ら定め、又は原案を作成する用途地域等の地域地区、都市施設、市街地開発事業に関する都市計画の前提となる都市構造・都市空間形成の基本的な考え方や、土地利用、施設整備等の方針とともに、都市内の自然的環境の保全その他の良好な都市環境の形成、都市景観形成等の指針を明らかにすること。

  ロ 地域別構想の策定に当たり、地域の設定は、地形等の自然条件、土地利用の状況、幹線道路等の交通軸、日常生活上の交流の範囲、市街化区域と市街化調整区域の区域区分を参酌し、例えば既成市街地の住宅地にあっては一ないし数個の小学校区程度の広がりを目安とする等、都市計画区域内の各地域像を描き施策を位置付ける上で適切なまとまりのある空間の範囲となるようにすること。

  ハ 地域別構想においては、全体構想に示された都市整備の方針、指針等を受け、地域の特性に応じ誘導すべき建築物の用途・形態、地域の課題に応じ地域内に整備すべき諸施設、緑地空間の保全・創出、空地の確保、景観形成上配慮すべき事項等の方針を明らかにすること。
 特に、地域別の課題に応じつつ地域社会共有の身近な空間の整備を図る上で、地区計画等の積極的活用を考慮し、地区計画等の策定を推進することが必要と考えられる地区のおおむねの位置・区域及び計画に定めるべき主要な事項の方針等を明示すること。

  ニ 全体構想と地域別構想の関係は、全体構想に示されたものを地域別構想において詳細化・具体化する事項と、逆に地域において積み上げたものが全体構想となる事項とがあると考えられるので、相互的・有機的な関係を保つよう留意すること。


d. 基本方針の内容については、極力図化を図ることが重要であり、少なくとも基本方針の全体的な把握に資するための総括図を作成するとともに、地域別の整備構想に対応する図面を地域別に作成して、これに土地利用、施設、事業等の各構想について、おおむねの位置又は区域を極力図示するように努めること。また、必要に応じ、土地利用、交通、緑、環境の保全等特定の分野について編集した図面を作成すること。これらは地形図上に表示するほか、適宜模型、イメージ図等によって補い、視覚的に理解が容易なものとするよう努めること。


(3)都市計画の総合性・一体性を確保するため、基本方針は都道府県知事が定める市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針に即するものとされているが、一方、市町村が都道府県知事の定める都市計画の原案を作成し、又は都道府県知事がその定める都市計画について市町村の意見を聴く手続等を通じ、これらの方針相互が有機的関係を保ち、一体として都市計画を推進するものとなるようにすること。また、同一の都市計画区域内に二以上の市町村の区域が含まれる場合において、一の市町村の区域をこえて他の市町村に影響を及ぼす可能性のある事項を基本方針に定めようとするときは、当該都市計画区域について一体の都市として総合的に整備、開発し、及び保全する上で必要な調整を関係市町村との間で図るものとすること。


  


3 基本方針の活用

 基本方針は、2のとおり、市町村における都市計画の総合的なマスタープランとして定めるものであり、美しい街並みの形成、環境負荷の小さな都市形成、まちづくりにおける高齢者、弱者等への配慮、都心周辺部における居住空間の確保、機能的な都市活動を支える新しい形態の施設の整備等、今後経済社会の変化に応じ新たに取り組むことが必要となる都市計画上の課題についても積極的に取り組むことにより、その時点における都市計画の今日的又は将来的課題を個別具体の都市計画、都市整備等に反映させる役割を期待されるものであること。
 また、三大都市圏の特定市における市街化調整区域内農地に係る計画的な市街化の推進及び住宅・宅地の供給の促進を図るため、各特定市において定めることとされている整備プログラムの内容についても、基本方針に適切に位置付けること。
 さらに、緑のマスタープラン、市街地整備基本計画、地下利用のガイドプラン等都市計画に関連した分野別の計画の内容のうち必要な事項を基本方針にも位置付け、住民の意見を反映させつつ、これを具体化・詳細化すること等により、各種施策を体系的かつ強力に推進する上で基本方針の積極的活用を図ること。



4 住民の意向反映、周知等のための位置

(1)基本方針を定めようとするときは、必ず住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとされているが、基本方針の策定過程それ自体が住民のまちづくりへの理解と参加を得ることや合意の形成に資するものであることにかんがみ、次に掲げる事項に留意の上、市町村の規模や地域の実情に応じた実効ある措置を適切に講ずること。基本方針の変更についても同様とする。

a. 例えば、地区別に関係住民に対しあらかじめ原案を示し、十分に説明しつつ意見を求め、これを積み上げて基本方針の案を作成するものとし、この場合、公聴会・説明会の開催、広報誌やパンフレットの活用、アンケートの実施等を適宜行うこと。

b.決定に際し、あらかじめ、地方自治法に基づき市町村に附属機関として置かれている市町村審議会の議を経るものとすること。

(2)基本方針を定めたときは、市町村は遅滞なくこれを公表することとされているが、市町村の庁舎(支所、出張所等を含む。)への図書の備付け及び閲覧、積極的な広報の実施、概要パンフレットの作成・配布等周知のための措置を十分に講ずること。



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