第四章 NPO用語集

運営編

委託費、委託料(いたくひ、いたくりょう

一般に、国や地方自治体、企業などがその権限に属している事務や事業を企業やNPOなどの団体、または特定の人に行わせた場合、その反対給付(→「反対給付」)として支出される経費。最近は、国や自治体の事務や事業をNPOに委託する事例が増えており、NPOにとっては、国や自治体に代わって行う業務に対する対価収入となる。

NPOの財源(エヌピーオーのざいげん

NPOの資金を提供する人や団体のこと。会費を納める会員、寄附をしてくれる個人や企業などの団体、助成金(→「助成金」)を出す財団や基金、補助金を出す行政(→「補助金」)、NPOのサービスや販売物などに対して対価を払う利用者(消費者)、また貸し付けてくれる金融機関など、NPOには多様な財源がある。

NPOの資金(エヌピーオーのしきん

NPOが組織として活動するためにはさまざまな経費が必要である。事業にかかる経費だけでなく、運営のための管理費、新しい事業を始めるための元手など、資金の確保は重要である。NPOが活動するための資金は、その財源である提供者や資金に対する見返り(→「反対給付」)などから、会費(→「会費」)、寄附金(→「寄附金」)、本来事業からの対価(→「対価収入」)(→「収益事業」)、非本来事業からの対価(→「対価収入」)(→「収益事業」)、助成金(→「助成金」)、補助金(→「補助金」)、借入金(→「借入金」)、金利等(→「金利」)の大きく8つに分類できる。これらの資金にはそれぞれ利用する上での特徴があり、多くのNPOでは活動や事業の目的とこれらの資金の特性を照らし合わせて、複数の資金を組み合わせて獲得しながら、事業や団体運営を行っている。

会員(かいいん

団体の構成員。会員には、団体が目的とする活動に賛同し、協力・参加するために加入して会費を払う「支援者」としての会員と、その活動を利用したりサービスを受ける「利用者」としての会員の2つのカテゴリーに分けられる。どちらか一方しかない団体や、両方の要素を兼ねた会員制度もあり、正会員(→「社員」)の他に例えば賛助会員、利用会員、家族会員、里親会員、ペア会員、購読会員などを何種類おいても団体の自由である。

NPO法人格を取得する場合には、正会員(社員)の資格の得喪に不当な条件を付けてはならないが、これは、高額の会費や、簡単に会員になれないような無理な入会条件を付けて入会を制限してはならないという意味で、その団体の目的に照らして妥当な入会条件であれば、入会に制限を設けることはできる。(→「会費」)

会費(かいひ

会員から年ごと、月ごとなど定期的に拠出されるお金で、団体にとっては一定程度の安定した、使途の自由度も高い収入。拠出される会費は、拠出する目的と反対給付(→「反対給付」)の有無によって次の3種類に分けられる。

  1. 社員の会費(総会で議決権を有する、いわゆる正会員の会費)
  2. 社員以外の会員の納める対価性のある会費
  3. 社員以外の会員の納める対価性のない会費

2.は、スポーツクラブの入会金や会費のように、サービスを利用する対価を「会費」という名称で徴収しているものを指し、名称は会費だが実際は対価収入である。また3.の会費は団体の目的に賛同して提供されてはいるが、NPO支援税制の要件(→「認定NPO法人」)では、寄附金として計上して良いなど、寄附的な意味の強い会費である。

借入金(かりいれきん

他から借り入れて必要な用途にあてる、いわゆる借金。最近はNPOを対象にした融資の仕組みも徐々にできつつある。中には「出資金」という名目で役員や会員などから資金を集め、法人の運営資金としている例があるが、「出資金」という用語は利益の分配権などを有するもので、「非営利」事業と見なされない可能性がある。

寄附金(きふきん

継続性がなく、NPOまたはその事業に対して賛同したものから、見返りを期待せずに拠出される金銭や財産。そのNPOの活動の全体に対して受けた寄附金であれば使途の自由度は高いが、一定の事業や活動などを指定されて受けた寄附金は、使途が限られる。

金利(きんり

資金の運用益。最近の極端な利率の低下により、財源として期待できなくなってきている。

決算(けっさん

ひとつの会計期間内のすべての勘定記録を整理し、収支状況や財産の増減状況および期末の財政状況を明らかにすること。NPO法では、NPO法人に対して、収支計算書、財産目録、貸借対照表などの作成と、それらの所轄庁への提出を義務づけている。

雇用(こよう

労働力を得ることを目的とする労働契約。労働者を雇用契約に基づいて雇い入れ、その労働に対して対価を支払う。労働契約にはこのほかに請負(仕事を完成させることを目的とする契約)、委任(特定の事務を処理するために結ぶ労働契約)がある。労働者を一人でも雇い入れれば、その団体は最低賃金法、労働基準法、労働者災害補償保険法(労災法)などの労働法の適用を受ける。(→「労働保険」)

33業種(さんじゅうさんぎょうしゅ

NPO法人の場合、法人税法上で収益事業となるのは、継続して行われる次に列挙された33の業種である。ここに列挙されていない業種や、一回限りで終わるなど、継続性のないものについては課税されることはない。

  1. 物品販売業
  2. 不動産販売業
  3. 金銭貸付業
  4. 物品貸付業
  5. 不動産貸付業
  6. 製造業
  7. 通信業、放送業
  8. 運送業
  9. 倉庫業
  10. 請負業
  11. 印刷業
  12. 出版業
  13. 写真業
  14. 席貸業
  15. 旅館業
  16. 料理飲食店業
  17. 周旋業
  18. 代理業
  19. 仲立業
  20. 問屋業
  21. 鉱業
  22. 土石採取業
  23. 浴場業
  24. 理容業
  25. 美容業
  26. 興行業
  27. 遊技所業
  28. 遊覧所業
  29. 医療保健業
  30. 技芸教授業
  31. 駐車場業
  32. 信用保証業
  33. 無体財産権提供業

社員(しゃいん

NPO法人の構成員である「総会で議決権を持つ正会員」を「社員」と表現する。NPO法人を取得するためには、「社員を10人以上置くこと」と定められているが、これは、「総会で議決権を持つ正会員が10人以上いる」という意味である。企業などの営利団体では、通常「従業員(会社員)」を指して社員と呼ぶが、NPO法人の場合は、従業員(→「スタッフ」)を10人以上雇っているという意味ではない。NPO法では、NPO法人に「社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと」を義務づけている。つまり、原則的に誰でもが会員になれ、また脱退できるようにしているのである。

収益事業(しゅうえきじぎょう

NPO法人の場合、NPO法上の収益事業と、税法上の収益事業とを分けて考える必要がある。NPO法上の収益事業とは、本来の目的達成のための本来事業とは別に、収益を得ることを目的として行われる非本来の事業のことである、税法上の収益事業とは、NPO法人の本来・非本来に関わらず、継続して行われる33の業種(→「33業種」)に当てはまる事業を指す。よってNPO法人の場合は、行われている事業を次の4つに区分して考える必要がある。

  1. NPO法上の本来事業で、法人税法上は非収益事業(非課税)
  2. NPO法上の本来事業で、法人税法上は収益事業(課税)
  3. NPO法上の収益事業で、法人税法上は非収益事業(非課税)
  4. NPO法上の収益事業で、法人税法上も収益事業(課税)

助成金(じょせいきん

事業や研究などを支援するために提供される金銭で、NPOが主体となって行う事業や研究に対して、その意義を認めて民間の基金や財団などが遂行の手助けとして出すお金。NPO支援税制においては、反対給付(→「反対給付」)を求めないで、国・地方自治体以外の団体・基金などが、NPOに出す金銭のことを指す。基本的には、「寄附」の一種。

スタッフ(すたっふ

職務を担当する人(広辞苑)。団体の職員のこと。NPO でスタッフという表現が示す範囲はさまざまで、団体が雇っている有給の職員のみを指して使っている場合、有給、無給を問わず団体に所属して継続的な事業を担当している人すべてをスタッフと呼んでいる場合、長期的か短期的かを問わず、その団体に所属してプロジェクトに一定の責任を持っている人をスタッフと呼んでいる場合もある。どちらにせよある人が「ある団体のスタッフだ」と表現されている場合は、その団体に所属し、業務の責任を任されていることがはっきりしている場合が多い。

総会と理事会(そうかいとりじかい

総会は、議決権を持つ会員(→「社員」)から構成され、会の方針や活動内容を決定する場である。一方理事会は、理事から構成され、団体の方針、事務の遂行など、運営のために決定する必要がある様々なことを決める場である。団体によっては、理事会という名称の代わりに、例えば「運営委員会」「役員会」などという名称を使う場合もある(→「役員」)。理事会でなにを決定していくかは、それぞれの団体で定めればよいが、NPO法人の場合はNPO法に、「特定非営利活動法人の事務は、定款をもって理事その他の役員に委任した事項を除いた事項は、すべて総会の決議によって、事務の決定を行う」という趣旨の規定があるため、法律で理事(監事)の仕事として定められた以外の業務を誰(どこ)がするか定款で決めていないと、なにか業務をするためにその都度総会を招集して議決しなければならなくなる。

損益計算書(そんえきけいさんしょ

ひとつの会計期間内の収益と、発生した費用を対応させ、事業の成果を示す計算書のこと。

対価収入(たいかしゅうにゅう

対価とは、物品を譲渡したりサービスを提供したり、自分のものを利用させたりする場合に、その報酬として受け取る財を指す。物品を売って受け取った代金や、サービスの提供で得た料金、労力を提供して得た賃金などによる収入をいう。

定款(ていかん

定款は、法人の基本的なルールを定めた文書。団体の目的をはっきりさせるとともに、組織形態や運営方法の基本的なスタンスを示すものである。

NPO法人になるためは、定款を作成して、所轄庁の認証を受けなければならない。定款に定められた事項は、法的な効力を持ち、違反した場合は所轄庁による監督の対象となるため、定款の変更は、基本的に所轄庁の認証を受けなければならない。定款の作成は団体設立・運営の要であり、団体にとって使いやすく効果的なものを作る必要がある。

反対給付(はんたいきゅうふ

何かをしてもらったときの見返り。例えば物品を売って代金を得た場合、売った人にとっては代金が反対給付となり、物品を買った人にとっては、入手した物品が反対給付となる。

NPOの事業でいうと、国から委託を受けてNPOが事業を行うとき、その事業の成果物は国に属するため、国にとっての反対給付はその事業の成果物となる。一方NPOにとっては受け取った委託料が反対給付となる。同じように、NPOが高齢者に介護サービスを提供して対価を得た場合、NPOにとって反対給付はそのサービスに対して支払われた対価となり、介護を受けた高齢者にとって反対給付は受けたサービスとなる。

報酬(ほうしゅう

「労務の提供、仕事の完成、事務の処理等の対価として支払われる金銭、物品をいう。典型的な例としては賃金がこれにあたる。」(『法律用語辞典』有斐閣)。交通費などの実費の支払いは報酬ではない。労務の対価としては報酬の他に賞与があるが、これは法律用語辞典では「1)商法上、取締役等に企業の年度利益から出される報酬。その支出は利益処分として株主総会・社員総会の決議が必要となる(商283、有46)。2)通常の賃金のほかに特別に労働者に支給される付加的な報酬。」の2つの意味があり、1)の意味の賞与は非営利活動ではなく、NPO法人には認められない。

補助金(ほじょきん

一般的に、国や地方自治体が、NPOなどの団体や個人が行う特定の事業などに対して支援する目的で提供される、反対給付(→「反対給付」)を求めない金銭のことを指す。実際上はこの補助金を助成金、奨励金、給付金、交付金など、さまざまな名称で呼んでいるが、NPO支援税制(→「NPO支援税制」)においては、名称のいかんに関わらず、反対給付を求めないで、国・地方自治体が直接にNPOに支出している金額を「補助金」としている。

ボランティア保険(ぼらんてぃあほけん

ボランティア活動で発生する事故を補償する保険で、全国の社会福祉協議会などを通じて加入する「ボランティア活動保険」では、通常の活動をカバーする「ボランティア活動保険」と、行事など宿泊を伴う活動をカバーする「ボランティア活動等行事保険」があり、また有償スタッフの事故をカバーする「在宅福祉サービス総合保険」などもある。このほかに、NPO団体を対象にした「NPO 活動総合保険」(あいおい損保)のような、ボランティア、職員を問わずNPOの事業全体をカバーする保険もある。

役員(やくいん

会の運営の責任を持つ人。NPO法人の場合は理事3人以上、監事1人以上の役員を置くことや、その役割が法律で定められている。理事は法人の代表機関として対外的に法人を代表し、対内的には、定款や社員総会の決議に従って法人の事務を執行する。理事の業務の状況や財政を監査するのが監事である。団体によっては理事でなく「運営委員」などという名称で役員を置いている場合もある(法人の場合は、異なった名称を使う旨を定款に書く必要がある)。

有給と無給(ゆうきゅうとむきゅう

有給とは給与の支払いを受けること(→「雇用」)、無給とは支払いを受けないことで、給与とは「賃金、俸給、給料、報酬、手当、賞与など名称の如何を問わず、労務に対する対価」(有斐閣法律用語辞典)である。貨幣賃金の代わりに支給するもの、税金、保険料の補助なども賃金と見なされるが、「甚だしく低額のもの」「労働者の福利厚生とみなされるもの」の支給は賃金とはならない(労働基準法)。「有償ボランティア」と呼ばれる、労働に対して何らかの報酬を受けて活動しているボランティアの場合は、その受け取る報酬の額(物品などの場合は貨幣価値に換算)によっては給与にあたる可能性がある。

予算(よさん

各会計年度の始めに、1年間の具体的な事業計画を前もって立て、その事業計画を実現するための財政的な裏付けとして財源とされる収入と、予定する事業にかかる費用などの支出を見積もった計算書。収入予算と支出予算を合わせて収支予算という。

労働保険(ろうどうほけん

労働者災害補償保険および雇用保険の総称。この二つの保険は、労働者の保護を目的としているので、その労働者の勤務形態に関係なく、一人でも労働者を雇った時点でその労働者を雇った事業主(個人、法人、任意団体を問わず)が加入しなければならない。

目次に戻る