第四章 NPO用語集

基礎編

NGO(エヌジーオー

NGOとはNon-Governmental Organizationの頭文字をとったもので、直訳すれば「非政府組織」。一般に、国連や国際会議などで、政府の代表者と区別して民間団体を指す必要があるとき使う名称である。一方NPOは、法人制度や税制度上「営利組織」(=会社)に対応する概念として用いられ、「営利企業でないもの」という意味である。NGOもNPOも民間の非営利組織であるが、同じ団体が、国際会議に行けばNGOとして扱われ、自国の企業と比べられるときはNPOと呼ばれるということである。

NPO(エヌピーオー

「Nonprofit Organization」の頭文字をとったもので、直訳すると「非営利組織」となる。政府や自治体も「非営利組織」と考えられるため、行政機関ではないということを明確にするために「民間非営利団体」と訳すこともある。元々は米国で非営利団体全体を指す言葉で、日本では市民活動団体やボランティア団体を指す場合に用いられることが多い。本来は「営利を目的としない団体」の総称であり、宗教団体、学校、病院、財団、業界団体、生協、農協、地縁団体なども含めて指すこともある。

一方で、1998年にNPO法が施行されてからは、この法律のもとで法人格を取得したNPO法人のみを指してNPOと呼ぶ人も増えている。(→「NPOの多様な意味」)

NPO支援税制(エヌピーオーしえんぜいせい

NPO法人が一定の要件を満たすときに、その団体に寄附金を出した法人や個人が、その寄附金の一定の額を確定申告の時に所得から控除する(差し引く)ことができ、税負担を軽くすることができる税制優遇制度。2001年3月28日に租税特別措置法が改正され2001年10月1日からこの制度が施行されている。この制度によりNPO法人が一定の要件を満たし、国税庁長官の認定を受けると認定NPO法人(→「認定NPO法人」)となることができ、この法人に寄附した法人や個人が課税の軽減を受けられる。この認定要件は非常に厳しく、制度ができて半年以上経過した2002年4月末現在まだ5団体しか認定を受けられていない。

NPO支援センター(エヌピーオーしえんせんたー

NPOの相談窓口を開設したり、NPOに会議室や印刷機などの設備を貸し出すなどの業務を行い、NPOの活動を支援する組織。全国規模で支援を行う団体と、行政区など区切られた地域を対象に支援を行う地域の支援センターがある。地域の支援センターは、その設立の経緯から、

  1. 民間主導で新たに作られたもの、
  2. 行政主導で新たにつくられたもの、
  3. 社会福祉協議会などのボランティアセンターなどを組織替えしてつくったもの、

の3つのタイプに分類できる。また、行政主導でつくられた支援センターも、行政が設立して内部の運営も行政職員で行う官設官営のものと、行政が運営予算をつけているが、内部の運営を民間に委託する官設民営のものの2つのタイプがあり、官設民営のタイプでは、NPOに業務を委託するケースが近年増えてきている。

NPOと税金(エヌピーオーとぜいきん

NPOも法人格の有無に関係なく、税法上の収益事業を行っていれば課税される。任意団体(→「法人と任意団体」、「人格なき社団」)の場合は、法人税法、所得税法、地方税法の適用を受けて課税され、贈与税、相続税などはその団体の代表となる個人に課税される。NPO法人は権利能力があると見なされるため、贈与税、相続税も団体に課税される。任意団体だったものがNPO法人格を取得しても、NPO法人の課税の扱いに変化はなく、課税に対する軽減などはない。しかし地方自治体によっては、NPO法人の地方税の減免の制度を創設しているところもあり、法人を取得することにより地方税が減免される場合はある。法人税に関しては、税法上の収益事業(→「33業種」)を行っていれば課税される。

NPOの多様な意味(エヌピーオーのたようないみ

日本においてNPOという言葉は次の4通りの意味で使われており、人によって示す意味が違うため、NPOという言葉の共通認識をもちにくい現状にある。

  1. NPO法に基づいて、特定非営利活動法人(NPO法人)になった団体。
  2. 法人格の有無に関係なく、ボランティア団体や市民活動団体といわれる団体。
  3. 宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、学校法人、医療法人、特定非営利活動法人、ボランティア団体など、「営利を目的としない公益団体」。
  4. 営利団体以外のすべての団体。この場合は、上記「3」の団体の他に、農協や生協、労働組合、共済組合、町内会・自治会などの共益団体を含む。

NPO法(エヌピーオーほう

1998年3月19日に成立、同年12月1日から施行された法律で、営利を目的とせず、なんらかの社会的目的のために活動している民間の団体(→「NPO」)が簡易に「法人格」(→「人格なき社団」)をとれるようにする「特定非営利活動促進法」の通称。この法律に基づいて設立される法人を「特定非営利活動法人」という。(→「NPO法人」)

この法律ができるまで、非営利活動を目的とする団体が法人格を取得するには、巨額の基本財産や何千人という規模の会員数、行政の許可が必要であった。しかしNPO法ができたことにより、小規模な市民活動団体やボランティア組織でも一定の要件を満たせば簡単に法人となれるようになった。

NPO法人(エヌピーオーほうじん

特定非営利活動促進法(→「NPO法」)に従って認証、設立された法人。「特定非営利活動法人」の通称。NPO法上の特定非営利活動(→「特定非営利活動」)を行うことを主な目的とし、定められた要件さえ満たせば簡易に取得できる法人格。2002年3月22日現在、日本には6380のNPO法人が認証を受けて活動している。認証(→「所轄庁」)を受けるためには、特定非営利活動を行うことを目的とし、定められた要件を満たしていること(→「法人化の要件」)が求められるが、設立時の基金や資本金、手数料なども不要で、書類を整えれば簡易に認証を受けられる。

企業の社会貢献(きぎょうのしゃかいこうけん

1980年代後半から徐々に、企業は単に営利を追求する主体としてだけではなく、市民として社会に貢献する責任も持った主体であるという「企業市民」という考え方が生まれてきた。そしてよき企業市民であることが社会的な評価を高め、本来目的である事業の発展にも貢献するという考えから、社内に社会貢献のための部署をおいたり、社員が社会貢献活動をすることを奨励する制度を整えたりする動きが盛んとなった。

こうした企業の社会貢献活動は、NPOなど公益的な事業を行う団体に対して寄附や助成を行うものや、社員がボランティア活動をするための有給休暇がとれる制度を作るなど、その企業の本来事業の特徴や社風などから様々な取り組みが行われている。

所轄庁(しょかつちょう

所轄庁とは、一定の事項について管轄し、監督する行政機関のことで、NPO法では、法人格を取ろうとする団体の事務所がひとつの都道府県内に存在するときはその都道府県、2つ以上の都道府県に事務所があるときは内閣府が所轄庁となると定められている。従ってNPO法人を設立する場合、団体の事務所が一つの都道府県だけに所在する場合はその都道府県に、事務所が2都道府県以上にまたがって存在している場合は内閣府に書類を提出し、都道府県の場合は知事、内閣府の場合は内閣総理大臣の認証を受けることになる。NPO法では、所轄庁は、団体から提出された法人申請書類が法令の規定に違反していなければ、4カ月以内に認証しなければならないと定められている。

助成財団(じょせいざいだん

個人や企業や国、自治体などが資金を拠出して設立された基金や財団のうち、事業や研究などを支援するために助成金や奨学金、表彰などを中心に行う財団。目的とする事業を財団が直接行う場合は事業財団と呼ばれるが、財団自身が事業を行いながら助成事業を行う財団も多い。助成財団の性格によって、助成の対象となる事業や研究、プロジェクトの種類はさまざまであり、また申請の方法や回数、金額なども多岐にわたっているので、助成を受けたいという場合は対象となる財団についてよく調べることが重要である。法人、任意団体を問わず、NPOの事業やプロジェクトを助成するような助成財団も増えてきている。

人格なき社団(じんかくなきしゃだん

社団とは、人や団体が集まってできている団体で、単なるグループではなく、団体としての目的や意思と、構成員が入れ替わっても継続できる組織を持ったものと定義されている。そのように組織された社団のうち、法人格を持たないものを「人格なき社団」または「権利能力なき社団」と呼ぶ。(→「法人と任意団体」)しかしたとえ法人格がなくても、団体として活動していれば税法上は法人とみなされ納税義務が課される。(→「NPOと税金」)その一方で団体として契約の主体とはなりにくく、団体が財産を所有したり、事務所の賃貸契約や銀行口座を開設することができず、組織の代表者などが個人名で契約を結ばなければならないため、団体の運営上さまざまな不便が生じる可能性がある。

中間法人(ちゅうかんほうじん

営利を目的とせず、共益的な活動を行う団体で2001年6月成立、2002年4月から施行される新しい制度により生まれる法人。NPO法人は「不特定多数のものの利益の増進」を目的としなければならないため、同窓会や互助会など、特定のメンバーのための共益を目的とする団体は法人格を取得することができない。これに対して中間法人は「社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ剰余金を社員に分配することを目的としない社団」と定められており、非営利で共益的な団体が簡易に法人格を取得できる。社員(→「社員」)が債務返済の責任を負わない代わりに300万円の基金が必要な「有限責任中間法人」と、が債務返済の支払い責任を負う「無限責任中間法人」の2種類がある。

特定非営利活動(とくていひえいりかつどう

特定非営利活動促進法(NPO法)では「特定非営利活動」を、次の12分野にあてはまる活動で「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」(→「不特定多数のものの利益」)と定めている。この条件を満たしていて、他に法令等に違反していなければ、提出を求める書類に不備がない限り所轄庁(→「所轄庁」)は法人認証しなければならない。NPOの行う事業の趣旨を検討すれば、この12分野のいずれかに該当できる仕組みだが、さらに今後法律の改正によって分野が増える可能性もある。

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 社会教育の推進を図る活動
  2. まちづくりの推進を図る活動
  3. 文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  4. 環境の保全を図る活動
  5. 災害救援活動
  6. 地域安全活動
  7. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  8. 国際協力の活動
  9. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  10. 子どもの健全育成を図る活動
  11. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

法人と任意団体(ほうじんとにんいだんたい

法人とは、私たち人間(自然人)以外で、法律上で人格が与えられ、それによって権利を持ったり、義務を負ったりできる地位または資格を与えられたものをいう。人格を与えられた団体(法人)は、人と同じように契約を結んだりすることができるなど、権利義務の主体となることができる。株式会社、有限会社、学校法人、財団法人などは、すべて「法人」という人格を得ている。こうした法人格は、法人の種類によっていろいろな定められた要件があり、そうした要件を満たさないなど何らかの事情により団体が法人格を持っていないとき「人格なき社団」「任意団体」などと呼ばれる。(→「人格なき社団」)

認定NPO法人(にんていエヌピーオーほうじん

NPO法人の中で、一定の要件を満たし、国税庁長官の認定を受けたものを認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)と呼ぶ。認定を受けることで、その団体に寄附金を出した法人や個人が、その寄附金の一定の額を申告の時に所得から控除する(差し引く)ことができるようになるため、認定NPO法人は寄附を集めやすくなる。認定を受けるためには、適切な情報公開や事業・組織運営の適正性などの基本的要件の他に、広く一般からの支援を受けていたり、活動対象が広い範囲にわかっているなど様々な条件をクリアする必要がある。この条件が厳しすぎ、NPO法人の実態に照らしてみても現実的でないことから、見直しの必要が求められている。

非営利(ひえいり

「営利」とは団体の利益を構成員に分配することを意味し、「非営利」とは、団体が利益を上げてもその利益を構成員が分配しない「利益の非分配」を意味する。

営利組織である会社は、株主(構成員)が出資して会社を運転し、あがった利益を株主に配当する仕組みである。この配当に当たる部分が「営利」であり、会社は、株主から見て「営利団体」である。それに対してNPOは、会員などの構成員が会費や寄附金を拠出し、それをもとにNPOが事業を行って利益があがっても、それを会員などの構成員に分配しない仕組みである。つまり、構成員にとってNPOは「非営利団体」である。

このように、営利、非営利は、その団体の構成員からみた団体の性格を示す用語である。

フィランソロピー

ギリシャ語のPhilein(愛する)とAnthropos(人類)とを語源とするギリシャ語“Philanthopia”(人を愛する)の英語。博愛、慈善活動、民間公益活動、奉仕などと多様に訳される。個人の自発的な利他的行為も指しており、寄附やボランティア活動をするといった、なんらかの行為を伴うものともいえる。

今日の日本においては、「企業フィランソロピー」などという表現で、企業の社会貢献活動(→「企業の社会貢献」)やチャリティ事業を指して使われることが多い。

不特定多数のものの利益(ふとくていたすうのもののりえき

NPO法人は「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」目的で活動することとされている。この「不特定多数のもの」とは、活動により直接的な受益のある者だけではなく、その活動の働きかけの結果において、反射的に実現される利益を受けるものを広く含んで、不特定多数であればよいとしている。例えば入会しなければサービスを受けられないという団体の場合でも、会員となるための金額(会費)や入会の方法等の要件が緩やかで、希望すれば誰でも入会できるのであれば、不特定多数を対象にしていると解釈される。また例えば国内に10人しかいない難病患者を支援する活動のような場合でも、現在の患者数は限定されていても、その難病にかかる可能性は誰にでもあると考えられるため、不特定多数のものの利益の増進に寄与していると解釈される。

法人化の要件(ほうじんかのようけん

NPO法では、特定非営利活動(→「特定非営利活動」)を主に行い、不特定多数の利益の増進に寄与することをNPO法人の認証の要件にしているが、政治団体や宗教団体、共益的な団体の活動をしていないと認めるために次のような限定が設けられている。

  1. 社員(→「社員」)の資格の得喪に関して、不当な条件を付さない
  2. 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下である
  3. 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的としない
  4. 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的としない
  5. 特定の公職の候補者若しくは公職にある者または政党を推薦し、支持し、またはこれらに反対することを目的としない

ボランティア

ボランティアは自発的に無報酬で働く人を指す英語で、原義では広い意味を含んでいるが、日本では、無報酬で働く個人を「ボランティア」という場合と、そのボランティアの行動を集合的に指す「ボランティア活動」やボランティアによって作られた「ボランティア組織」の意味で「ボランティア」と略して使っている場合があるので注意を要する。基本的にはボランティアは無償で働く「個人」に注目した言葉である。

そもそもNPOは何らかの社会的目的(→「ミッション」)を達成したい人が集まって活動を始めるもので、組織を支える会員やボランティアによって設立される。そしてその目的達成の課程で組織化を進め、人を雇って事業を行うようになると、結果的に団体のなかに報酬をもらう職員と、報酬をもらわないボランティアが生まれることは、矛盾しないばかりかむしろ当然といえる。(→「有給と無給」)

ミッション

「使命」を表す英語。そもそもNPOは何らかの社会的目的を達成させることを目的に組織化されるが、その社会的な目的を短く表明したものをミッションと言う。団体のミッションは、ミッションに従って事業をたて、活動評価を行っていく、NPOにとってはその団体の命ともいうべきものである。NPO法人の場合「ミッション」といえば、定款にかかれた目的の部分を指す。

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