発言クローズアップ
カリフォルニア州公益事業委員会講演会について
日時;2000年6月22日(木)
場所;東京自治研究センター会議室
講演;カリフォルニア州公益事業員会(CPUC)
ロバート・フェラル(Robert.T.Feraru)市民参加局長
演題;カリフォルニア州公益事業員会(CPUC)について

●カリフォルニア州公益事業員会(CPUC)について
<NPOセクターにとって興味深い助成>
CPUCは、電話会社などへの罰金を市民団体助成基金にするという消費者支援プログラムを行う。電話サービスの不正勧誘に関し同州最大の地域電話会社パシフィック・ベルに6300万ドルの料金返還と1650万ドルの懲罰金を課し、この懲罰金でテレコミュニケーション教育基金(TET)を設立し、87年度から6年にわたり計2000万ドル以上(年間300万ドル)を180の通信、コンピュータ、消費者関係団体に助成した実績がある。電話会社の不正を抑止し、消費者教育を強めるという考え方である。
カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は電話、電力、ガス、交通などの民間公益事業を規制する州機関です。こうした規制権限のかなりの部分を州が行っているのがアメリカの特徴で、CPUCは職員1000名で州公益事業規制機関の中では全米最大です。この州機関の中に市民参加を促進するための「市民参加局」(パブリック・アドバイザー局)があるのがユニークなところ。フェラルさんはその局長(Public
Advisor)。市民が会議で発言したり、公聴会に出たり、意見書を提出したり、決定に様々に参加していくのを具体的に支援します。CPUCの中にはその他、消費者の立場にたって公益事業会社の調査研究を行う「消費者権利擁護局」、消費者苦情の窓口「消費者サービス局」などもあります。
アメリカは日本と同じ民主主義国家ですが、立ち入ってみると市民参加の面でかなり違っているのがわかります。例えばアメリカの市議会は、市民が参加して自由に発言できる住民集会のようなものです。そもそも自治体は住民の住民投票で設立を決めてはじめてできるのであって、決議しなければ自治体は存在しません(無自治体地区が広大にある)。市民が裁判の決着をつける陪審制、議会を超えて住民が法律をつくる住民投票、市議会ばかりでなく各部局段階の細かい施策まで住民集会型討議で決めるコミッション制度、市民活動家がどんどん行政の長に抜擢される“行政―市民間の柔軟な人材移動”(連邦政府でも政権交替ごとに官僚制の上部1万人程度が入れ代わる)など、民主主義について目から鱗の制度がたくさんあります。
フェラルさんのCPUCもこの例にもれず、例えばこの1州機関だけで年間、州内で600以上(つまり1日2ヵ所)の公聴会(ヒアリング)を開いています。CPUCの決議機関の公式会議(コミッション・ヒアリング)が公開で、市民の発言の場であると同時に、正式に「公聴会」(パブリック・ヒアリング)と称される会議では市民の発言に制限時間もなく、だれでも何人でもしゃべりたいだけ話します。フェラルさんたちが出している市民参加マニュアルにはそのような規定が書いてあります。
CPUCはカリフォルニアという米最大・最先端をいく州です。CPUCは、その電話通信産業、電力エネルギー産業を規制している点からも重要です。全米におけるインターネット・トラフィックの40%を占めるというシリコンバレー・サンフランシスコ地域をかかえ、ここの通信制度をどのように持っていくのかは、全米が注目しているところです。カリフォルニアはまた電力産業の規制緩和を全米のトップを切って実験していることでも有名です。96年9月に成立した下院法案1890号により、電気をどの会社から買うか消費者が選べるようになっています。
もう1つ、NPOセクターにとって興味深いのは、CPUCは、電話会社などへの罰金を市民団体助成基金にするかなり「イノベーティブな」消費者支援プログラムを行うこと。CPUCは1986年、電話サービスの不正勧誘に関し同州最大の地域電話会社パシフィック・ベルに6300万ドルの料金返還と1650万ドルの懲罰金を課しました。この懲罰金でテレコミュニケーション教育基金(TET)を設立し、87年度から6年にわたり計2000万ドル以上(年間300万ドル)を180の通信、コンピュータ、消費者関係団体に助成しました。消費者教育を強めて電話会社の不正を抑止するという考え方です。フェラルさんは、このTET助成配布委員長もつとめ、NPO助成活動の最前線で活躍しました。
現在、TET助成は終わっていますが、かわりに電話会社が10年間総額8000万ドルに及ぶ地域貢献策を行う「地域パートナーシップ協定」が98年から始まっています。アメリカでは銀行や公益事業の合併は厳しい地域監視下におかれます。1997年のパシフィックベル社(本社カリフォルニア)とSBC社(本社テキサス)の巨大地域電話会社合併時もそうで、地域の圧力の下でパシフィックベル側が出してきた地域貢献策です。パシフィックベルが金を出し、市民団体(州内9地域団体連合体=傘下134団体でつくる「カリフォルニア地域テクノロジー財団」)が助成その他のプログラムを行い、CPUCが実施を監督します。情報化時代の企業・NPO・公共のパートナーシップのモデルとして注目されています。
カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC) hittp://www.cpuc.ca.gov/
文責:伊藤
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