| 1 市民参加のまちづくりとNPOを支える英国の制度 |
村木美貴(東工大助手) |
| 1999年4月6日 |
イギリスでまちづくりに関わる市民団体は、
(1)地域密着型組織―コミュニティ・ベースの活動組織―、
(2)市民・団体への支援組織に分類することができる。
そして、それらを支えるものとして
(3)市民・団体への公的支援、が挙げられる。
コミュニティベースの活動組織としては(a)市民中心型組織と(b)専門家介在型組織があるが、(a)はおもに居住者を中心としたグループで、居住環境の維持・向上・地域問題への対象を目的としている。(b)は専門家がそのノウハウを利用して地域の問題の解決や質的向上を図ることを役割としている。
市民・団体への支援組織は、
(a)ある程度広い地域をカバーする市民支援型組織と、
(b)全国組織などいわゆるアンブレラ組織といわれる後方支援型組織
とに分けることができる。市民・団体への公的支援としては、財政面では「包括的都市再生補助金(SRB)」などの公的資金がある。イギリスではこうした公的資金に基づくまちづくり事業はコミュニティ参加が条件とされ、住民、市民組織とのパートナーシップで進められるようになった。また、近年はロッタリーファンド(全国宝くじ基金)からの助成金が市民団体の安定的な財源になっている。
イギリスのまちづくりへの市民参加は(a)地域限定型まちづくり(b)行政計画への参加に分けられるが、(b)で注目すべきは「ディベロップメントプラン(=マスタープラン)」への参加で、行政のたたき台に対して地域の団地組合・居住者組合・アメニティ・ソサエティなどが意見を述べ、それに対する応答制度が整備されている。ここでの特徴は、エゴがあまり見られず、住民組織であっても政府方針などをしっかりケーススタディしていることだ。
イギリスは1970年代にイギリス病といわれる疲弊に見舞われ、福祉国家の限界を経験することになったが、80年代のサッチャー政権下、徹底した規制緩和と行財政改革で小さな政府を目指した。それにより英国経済は復活したが、新たな地域開発問題や貧富の格差拡大など社会問題も発生している。
一方日本では80〜90年代に、基礎的条件の改革を先送りしたため、まちづくりに関する改革はコミュニティ自助の動きがあるにもかかわらず、
・行政の縦割りによる細分化された都道府県を迂回する補助金制度、
・コミュニティ参画が制度化されていない、
・計画主体が自治体ではない、
など、従来型の開発手法にはばまれている。まちづくりの方法の改革には、インクリメンタル(増殖的)な方法と幅広いソフト面を含めた取り組みが必要である。
また、今後の課題として、コミュニティベースのまちづくりのための制度や条件づくりをはじめとして、
・ソフト・ハード一体の総合的まちづくり領域の実績づくり
・NPO等の実践/実績づくり
・総合的なまちづくり制度の創設を目指す活動を広げる
・活動の展開を支えるネットワークおよび活動資金調達システムの形成等々、
諸条件の整備を急がなくてはならない。 |