東京ランポでは、1999年11月、分権―まちづくり研究会での論議を経て、建設省へパブリックコメントに対する意見を提出しました。



東京ランポ『都市計画制度の見直しに当たって
へのパブリックコメントに対する意見

  

  都市計画制度見直しに関するパブリック・コメントに対する意見

まちづくり支援・東京ランポ

 理事長   新井美沙子

東京都世田谷区赤堤4-1-6赤堤館2F

TEL 03-3324-4440

FAX 03-3324-3444

 

  まちづくり支援・東京ランポは、市民によるまちづくり支援、市民参加によるまちづくりの促進を目的に活動しているNPOです。(「ランポ」は、Local Action NPO の頭文字をとって名付けたものです)。
 今回の「都市計画制度見直し」について、私たちがこれまで活動してきた領域、すなわち「市民参加」や「地域のまちづくり」の視点から、求められている個別の項目のうち以下の項目について意見を述べます。
 1 都道府県の都市計画に関するマスタープランの創設
 5 環境問題等への対応のための制度の強化
 6 都市計画の決定システムの合理化


 なお私たちの意見は、NPOでもあり、また「中間のまとめ」は一般の市民にはわかりにくいということもあって質問形式にしていますが、意見を提出するにあたり、以下の点を要望します。

(1) いわゆるパブリック・コメント制度は本年3月23日の閣議決定によれば、「意見・情報の処理」として「行政機関において、提出された意見・情報に対する考え方をとりまとめ、提出された意見・情報と併せて公表する」としています。今回の意見募集もこの閣議決定によるものと考えますので、提出されたすべての意見と建設省あるいは都市計画中央審議会都市計画制度小委員会としての考え方を公表して頂きたいと思います。
(2) 同じく閣議決定では、「意見・情報の提出方法」として「公聴会の開催により意見・情報を聴取することもできる」としています。今後小委員会、もしくは中央審議会として公聴会を開催することを要望します。

1.「都道府県の都市計画に関するマスタープランの創設」について
(1) 市町村マスタープランについて
 <質問> 「見直しに当たっての基本的な考え方」において「自由度の高い現行制度を極力維持する」としています。この「極力維持する」するという真意は何でしょうか。
 <意見> 都道府県マスタープランの創設によって、市町村マスタープランの制度に「後退」があるとすれば、地方分権一括法施行後において理解しがたいものです。
(2) 都道府県マスタープランと市町村マスタープランの関係
 <質問> 「マスタープランの構成と法的位置づけ」において、「市町村は、都道府県マスタープランに即して市町村マスタープランを定める」となっています。これは、都道府県マスタープランを「上位計画」とするものでしょうか。
 <意見> 地方分権一括法において都道府県と市町村は対等の関係になりました。当然、都道府県マスタープランと市町村マスタープランとの関係は、上下関係にあるのではなく、都道府県と市町村との役割分担を踏まえたものとすべきではないでしょうか。
(3) 都道府県マスタープランについて
 <質問> 「マスタープランの内容」において「都市計画区域を越える都市施設の整備の方針を定める」とともに、「各都市計画区域毎に、土地利用の方針、主要な都市施設の整備の方針等を定める」としています。上記Aと関連しますが、市町村マスタープランとの関係をどう考えるのでしょうか。
 <意見> 都道府県マスタープランは、多くの都市施設(道路)が都道府県の都市計画に残されることから、「簡素」で「柔軟」なものにすべきです。各都市計画区域の都市施設の等の整備方針は市町村マスタープランに委ね、都道府県は広域的な視点から、都市計画区域を越える都市施設の整備等についての調整・計画を行うべきでではないでしょうか。その際、都市(計画)連合による水平調整の仕組みをつくることが考えられます。
(4) マスタープランの「法定」について
 <質問> 都道府県マスタープランに定めるべき内容は「法定する」としています。その理由は何でしょうか。
 <意見> 地方分権の観点から、また都道府県の地域性もあるところから、都道府県の自主性に委ねることにすべきです。
(5) マスタープランの決定・変更の手続について
 <質問> 「住民の意見を反映するために必要な措置」や「関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴く」ことは当然のことですが、そのプロセスが課題です。また「機動的な見直し」や「変更」も実現すべき課題ですが、その手続が問題です。「プロセス」や「手続き」についてどう考えていますか。
 <意見> 今後の都市計画は、国や都道府県が上から決定するのではなく、地域からの積み上げ(ボトムアップ)がきわめて重要です。私たちのようなNPOや市町村等の意見も踏まえて、「プロセス」や「手続き」を明確化していく必要があると考えます。
 
2.「環境問題等への対応のための制度の強化」について
(1) 見直しに当たっての基本的考え方について
 <質問> 都道府県や市町村には多くの個別の条例やマスタープランが存在します。個別マスタープラン等との体系整理をどのように考えていますか。
 <意見> 「地球環境の保全という重要な政策課題」に「積極的に対応し得るような仕組みが必要」であることはそのとおりです。しかし、課題によってはたとえば計画段階からの総合的なアセスメント制度が、手法としては望ましいと考えます。「地球環境の保全」という大きな目標のためには、「都市計画」を越えた総合的な体系が必要ではないでしょうか。
(2) 「各種の社会的課題に対する考え方のマスタープランへの明記」について
 <質問> 上記(1)と同様です。
 <意見> たとえば市町村マスタープランでは都市施設整備のほかに、自然環境、景観、福祉のまちづくり、防災・教育・文化などを網羅的に書き込んだものが大半だと思います。しかし基本構想(総合計画)や個別マスタープランとの整合性が明らかでないものも見受けられます。都道府県マスタープランの場合にも体系の整理と総合調整をどうしていくのかが課題になると思います。
(3) 広く緑地を保全・創出するための制度の強化について
 <質問> 「制度の強化」は理念としてはそのとおりです。問題は制度の実効性だと思います。現状を踏まえた実効性のある制度創出が課題だと思いますが、どのように考えていますか。
 <意見> 現行制度の風致地区や緑地保全地区は有効に機能せず、むしろ東京都などでは、都市緑地保全法と条例にもとづく「緑地保全地域」の指定が拡大しています。また緑地協定制度や市民緑地制度のような「地域性緑地」の方が有効である場合も多と思います。より実効性のある制度を検討すべきです。
(4) 廃棄物の処理施設や処分場の積極的な都市決定について
  <質問> 廃棄物処理施設などを都市計画決定することは評価しますが、なぜ産業廃棄物関係施設は「都道府県決定」なのでしょうか。
  <意見> 産業廃棄物関係施設は市町村決定とすべきです。市町村決定の方がより市民(住民)の意見が反映されるからであり、また今後の資源循環型廃棄物行政の展開に向けては、基礎的自治体の取り組みが重要だからです。
   
3.「都市計画の決定システムの合理化」について
(1) 「システム合理化」について
 <質問> 「合理化」とは何を意味するのでしょうか。
 <意見> 一般的に「合理化」とは「効率化」を意味すると思います。しかし今後の都市計画決定は、計画・構想段階から重層的な市民参加・参画を工夫し、現状よりははるかに「手間」と「時間」をかけることになるはずです。
(2) 「住民の意見反映」「市民参加」などについて
 <質問> 「見直しに当たっての基本的考え方」において、「都市計画の策定過程に住民の意見を反映させること」「意思決定過程におけるアカウンタビリティの向上や市民参加の要請」などをあげています。それは基本的にそのとおりであると考えます。そのためのシステムをどのように考えていますか。
 <意見> 現状の都市計画法や都市計画決定のシステムほど、市民にわかりにくい制度はありません。それは現在の都道府県都市計画地方審議会や、市町村都市計画審議会(任意設置ではあれ)の運営実体をみれば納得いくと思います。特に都道府県審議会の場合は審議案件が非常に多いということもあり、実質的な審議はほとんどされない、きわめて形式的な運営が行われています。「住民の意見反映」や「市民参加」は、まず、わかりやすいシステムをつくり、決定過程を公開し、わかりやすく十分な情報を提供することが求められています。
(3) 都市計画の透明性の確保と住民自らによるまちづくりの促進について
 <質問> 透明性を高める制度は当然ですが、「縦覧」「公表」などの仕方をどのように考えていますか。
 <意見> この「意見提出」の募集にみられますように、そもそも一般の市民はこのような手続きが行われていることをほとんど知りません。それは募集の仕方に問題があるからです。「縦覧」や「公表」も、その場所や期間などの手続をどうするのかのがきわめて重要です。制度的には、行政手続法の抜本的な改正やパブリック・コメントの法制化が必要であると思います。
(4) 現行の「縦覧」「閲覧」などの改革について
 <質問> 現行都市計画法におけるさまざまな手続きの改革も求められると考えますがどうでしょうか。
 <意見> 現行の「縦覧」「閲覧」などは、縦覧・閲覧場所や期間など多くの問題をかかえていると思います。すなわち、市民への周知や情報提供のあり方、市民からの意見聴取のあり方、意見を取り入れる仕組み、市民の意見や行政または審議会の考え方の公表などです。こうした現行制度の改革が行われなければ、透明性の確保はもちろん、「住民自らの意志によるまちづくり」など到底おこなうことはできないと思います。
(5) 都市計画審議会の改革について
 <質問> あらたに発足する都道府県都市計画審議会や市町村都市計画審議会の改革も重要だと思いますがいかがでしょうか。
 <意見> たとえば都市計画審議会としての公聴会の開催、市民(住民)の意見に対する「応答義務」の創設など、新たな仕組みをつくるべきだと思います。
(6) 地域の実情に応じた都市計画決定手続について
 <質問> 都市計画決定を条例により手厚くすることができることにすることは賛成です。したがって「合理化」ではなく、「充実化」ではないでしょうか。


                           以上

[HOME]

E-mail tokyo@la-npo.org     
東京都世田谷区赤堤4-1-6赤堤館2F 〒156-0044 TEL 03-3324-4440    FAX 03-3324-3444