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| 分権―まちづくり研究会報告 ・日時:2001年1月23日(火)19:00〜21:00 ・会場:新宿西口全労済東京本部会議室 ・ゲスト:町田市職員MHさん ●テーマ 「福祉のまちづくり条例と建築規制」 1.要綱から条例へ ■福祉環境整備要綱の施行 町田市の福祉のまちづくりの取り組みは30年前から始まっている。車いす利用者の「一度でいいから自分の力で買い物したい」という要望を受け、1972年に全国で初めて、車いすのまま乗車できるリフト付きバスを運行し、さらに公共施設の段差の解消、車いすトイレの設置、市役所周辺の歩道の切り下げを実施。そして、これらの整備基準が必要となり、74年に、公共性の高い建築物を対象とした日本初のバリアフリーに関する指導基準「建築物等に関する福祉環境整備要綱」を施行した。指導の手法としては、建築主事が置ける特定行政庁の権限を生かし、建築確認手続きの際に建築主に事前協議を求め、協議を通して実効性を高めることとした。 ■要綱改正と条例制定 84年に身近な施設も対象とする要望に応えて同要綱を改正し、対象となる建築物を拡大(9戸以上の集合住宅など)した結果、要綱の協議件数はそれまでの年間平均30件から10倍の300件に増大した。さらに、町田市高齢社会対策検討委員会の中間答申の提言(整備要綱の規制対象の拡大、規制強化)を受け、93年12月に「町田市福祉のまちづくり総合推進条例」(以下、推進条例)を公布した。なお、93年3月に建築基準法40条の施行条例である東京都建築安全条例が改正され、障害者および高齢者に配慮を要する特殊建築物の項目を規定したが、町田市の要綱の方が都条例より対象建築物が広いため調整が必要となったことも推進条例制定の背景にある。 ■駅舎、公園などを規制対象に 東京都はその後「福祉のまちづくり条例」を制定したが、都条例は町田市より規制対象や規制内容がゆるやかに規定された。都の条例は市の条例より優位という判例もあることから、町田市が都条例に従うとその先進性が失われることになるため、都は同条例の26条で適用除外規定を設け、都の条例よりも先進的な条例を定めたときは適用除外とすることで、世田谷区、品川区なども福祉のまちづくり条例で都を上回る先進的規定を設けることができた。この手法は環境基本条例でも踏襲されている。 推進条例制定における課題は、いかに駅舎を規制対象とするかであった。建築基準法上は駅舎とバスターミナルは建築物に該当せず、工作物とされるため、建築基準法40条の施行条例である都の建築安全条例では対象にできない。そのため推進条例は、建築基準法40条の施行条例とせず、自治法上の条例として建築物に入らない駅舎、公園、道路などを対象とした。 建築基準法第40条 (地方公共団体の条例による制限の附加) 地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、この章の規定又はこれに基く命令の規定のみによっては建築物の安全、防火又は衛生の目的を十分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。 2.条例による建築規制の課題 ■建築確認の民間化の問題点 推進条例との協議済証がなければ、建築確認協議を中断する。現在は法律すれすれだが、なんとか機能している。しかし、規制緩和措置によって導入された建築確認業務の民間化で協議手続きが空洞化するおそれがある。町田市では1999年度に3666件の確認申請のうち4件が民間指定機関に申請された。2000年度は4月から1月で3072件のうち17件が申請された。民間機関には申請の際に建築主事への通知を依頼し、建築主に推進条例との協議のことを知らせるようにしている。しかし、これまでに協議が済まない前に確認が1件下りている。これは地上3階までしか建てられない第2種低層住居専用地域に5棟のマンション建設が計画されたが、斜面を利用した地下2階地上3階で、実際は下から見れば地上5階建てと変わらず地元は大反対。なんとか協議のテーブルにはついたが、協議が済まない前に民間指定機関により確認がおりた案件だ。今後は市の建築確認では時間がかかるとみて、民間指定機関に申請する案件が増えていくと思われる。 ■建築基準法40条の拡大解釈 分権一括法で市区が独自の条例をできるようになったが、法律との関係で制約が多い。建築基準法40条についても、自治体で付加要件を施行条例として制定するわけだが、以前から「地方の特殊性」「特殊建築物」「安全」という付加要件を拡大解釈して規制誘導できないか工夫をしてきている。神奈川県が88年に「安全」という視点から拡大解釈を行なって建築安全条例を制定し、以後都道府県で安全条例が制定された。しかし、40条からは官公舎、郵便局、銀行などが「特殊建築物」の対象にならないので、大阪府は検討して施行条例改正で福祉施設を「特殊建築物」として対象とし、別に福祉のまちづくり条例を制定して官公舎、郵便局、銀行などを対象にした。今後の課題は自然環境だけに限定している「地方の特殊性」の対象をいかに拡大解釈で突破していくかである。 ■分権を阻む財源問題 また、建築基準法40条の委任条例の制定は現在、都道府県と政令指定都市に留まっているが、市区でも独自に制定できるかというと、現実には難しい。世田谷区が制定を検討しているが、制度面では都区制度がネックになっているという。都の建築安全条例を使えば人件費がつくので、市としても人件費を自己負担してまで独自条例をつくる意欲を持てない。開発審査会についても20万以上の特例市は設置できることになったが、町田市では審査会は都に残している。必要財源が17億円といわれ負担できないからだ。権限だけ移譲されても財源がつかなければ、手をあげる自治体は少ない。埼玉県が権限に財源をつけて特例市を増やしているのと対照的だ。 |
(文責 編集部) |